IoT/AI時代の放送って?

さきごろ、民放連の研究会でプレゼンしてまいりました。その概要をレポートします。

テレビ番組のネット配信が本格化して、放送もスマート化しています。しかし、昨年あたりから、ITの分野は「脱」スマートといっていい動きに彩られています。スマートの次の世界に向けて動いています。ポイントは3つ。1) ウェアラブル、2) IoTーユビキタス、3) インテリジェントー人工知能。

いずれも技術的には15年前にできていましたが、高度化・低廉化して普及期に入り、急速に実用化が進もうとしているものです。

これが放送にも押し寄せます。それぞれどういう意味を持つでしょう。1) ウェアラブルはインタフェースの拡張、2)IoTは受信機の多様化、3) AIは放送の自律化、ととらえられます。

そして、いずれも、ダウンロードとアップロード、つまり、放送の受信と、視聴者から局への送信との両面に関わるものです。

1) ウェアラブル

CEATEC等の展示会では、めがね型ディスプレイが満載です。グーグル・グラスは芳しくないと聞きますが、多くのメーカから各種提案が見られます。

例えばエプソンの “MOVERIO”は、宅内のWi-Fi環境と接続して、録画してある番組やBlu-rayソフトを寝ながら大画面で視聴するスタイルを提示。外出先からテレビをリアルタイム視聴することも提案しています。

ウェアラブルの主力はメガネより時計かも。メガネはダウンロード=受信用ですが、時計は視聴覚データの受信だけではなく、時計から発信する動作情報、触覚情報、脈拍、発汗など視聴覚以外の身体データが注目されます。つまりアップロード=送信としてのウェアラブルです。

2) IoT-ユビキタス

全ての家電がつながってコミュニケーションする。冷蔵庫、エアコン、掃除機、全てがつながることで、テレビの位置づけも変わるかもしれません。その前に、クルマがスマホになります。クルマ各社がITに本腰を入れています。まずカーナビへの情報提供から、そして操縦のコントロールに広がるでしょう。

TFMグループが進めるV-lowマルチメディア放送。放送の電波で、テレビ以外のメディアに通信的なサービスを提供します。車載端末向けの専用情報サービスも企画しています。いずれ自動走行が実現します。クルマの走行を管理するためのベーシックな情報やデータは、放送として、クルマというモノに発信することになるのでは。

ロボットが放送の電波を受けて、踊ったり芝居をしたりする番組だってできます。15年前、MITでは、電波でレゴのロボットを動かす実験をしていました。技術的には簡単です。3Dプリンターで、データでモノをアウトプットできるということは、放送番組としてモノを伝送できる、ということにもなります。

一方、アップロードも考えてみましょう。御嶽山の噴火も、阿蘇山の噴火も、登山客が撮った映像やtwitterにのっていた写真が放送で活躍しました。いや、もはや人が撮るものだけではありません。街中に埋め込まれたカメラがコンテンツを作ります。事件が起きた時、防犯カメラの映像が役に立ちます。

ドローンは小型・軽量化、低廉化は進み、誰もが気軽に使うようになります。昨年のInteropでは、TBSが4Kドローンを展示していました。空中からドローンで撮影しアップロードする時代です。

しかし、ドローンは事件もいろいろ起こし、肩身が狭い。東京MXテレビがイギリス大使館にドローンを墜落させるという件もありました。今年のInterop、TBSはドローンをやめて、スマホ中継セットを展示していました。「ドローンは時節柄、手控えた」とのこと。いやいやいや。もったいない。どんどん使いましょう。

3) インテリジェントー人工知能

賢くなります。ソフトバンクPepperの対話プログラムは、KMDの卒業生が吉本興業で作っております。勝手にロボットがコンテンツを作り出す仕組み。技術的には15年ほど前に期待が高まったエージェントやアグリゲーターがいよいよ活躍するでしょう。

バーチャル・エージェントがAIで賢くなり、全て自分の行動を代行してくれるようになります。ぼくより賢いぼくの代理人がネットで活躍します。ぼくが見るべき、知るべき情報をエージェントが全部選抜してくれます。

1) ウェアラブルはインタフェースの拡張、2)IoTは受信機の多様化、3) AIは放送の自律化。ウェアラブルは、メガネに情報を送り、脈をテレビ局に送ります。IoTは、クルマが受信し、ドローンが発信します。AIは、番組を選び、機械がコンテンツを作ります。

そんな世界。どう受け止めましょう。受動ではなく、能動で攻めないと、過去20年の繰り返しになります。