世界のデジタルマンガ潮流 後編

シンポ「世界のデジタルマンガ潮流」@市ヶ谷DNP(大日本印刷)にて、ぼくが答弁したことのつづきです。

●子どもへの普及は?

ここDNPの中には「デジタルえほんミュージアム」があります。ぼくが取締役を務めるデジタルえほん社とDNPが共同で作ったもの。デジタル表現の展示やワークショップを行っています。

デジタルえほんというのは、デジタル技術を使った新しい絵本、これまでになかった新しい出版物の総称として生んだ造語。新しいデジタル出版物を子どもたちのために開発しています。これからの子どもたちにとって最も重要となる創造力や表現力をデジタル技術で高めたい。そのための場を広げていくことに力を入れています。

デジタル技術を使って子どもがマンガやアニメ、ゲームや音楽などのコンテンツを作る活動を13年前から続けてきています。

特に日本の子どもたちはマンガ表現が好きだし得意。4枚のデジタル写真を取ってマンガを作るワークショップを開催したときに、フランスの子たちはみんなファンタジックな芸術作品にしようとするのに、日本の子たちは全員、ギャグマンガを作りました。カンボジアの子たちは家族への祈り、という作品でした。

どの国にも地域にも、そこにふさわしい文化や表現があって、それをデジタル技術が支えていきます。前回ワークショップコレクションを開いたときに、マンガが描けるタブレットとPCを並べておいたら、それだけで長蛇の列ができました。みんな、描きたがっているんです。

多くの人がマンガを読んで、授業中に先生の話もきかずパラパラマンガを描く、その中から同人誌を作ったりネットに投稿したりする人がいて、プロが生まれていきます。

そこで今「デジタルマンガキャンパスマッチ」というプロジェクトも進めています。新人発掘・育成からビジネス化まで。里中満智子さんらマンガ家のかたがた、講談社集英社小学館ら10社のコミック編集部、そして70の専門学校・大学が参加しています。

デジタル作画・制作・編集のできる教育の場、そしてそれがビジネスにつながる仕組み、を作りたいと考えます。

●未来のマンガとは?

京都国立博物館で開かれていた鳥獣戯画展は、2時間、3時間待ちでした。鳥獣戯画はマンガの元祖と呼ばれる12世紀の作品。1000年近く、連綿と文化として息づいて発展してきました。 そして、それの12世紀の作品が今も数時間待の超人気なのです。

これから急速にマンガは変化・発展するでしょう。書き方も読まれ方も変わるでしょう。産業も変わるでしょう。国際化も進むでしょう。

でも変わらないものもある。表現へのパッションとか、読む歓びといったことです。変えてほしくないものもあります。

ちばてつやさんが「マンガが読まれる国は平和だ」と話していました。世界の国々にとって、なくてはならないもの、になっていってほしいと願います。