マンガ改革に挑むコルクの戦略

モーニング編集部から独立して「コルク」を設立した佐渡島庸平さん。日本マンガがここまで発展してきたのは、出版社の編集システムに負うとぼくは考えます。それを独立させたエージェントはモデル化が可能でしょうか。コルクは革新的な挑戦を見せています。

竹芝CiPの勉強会「SALON CiP」で伺った話が実に刺激的でした。

まず、コルクは紙のマンガ、デジタルマンガ、動画を「同時」に制作・配信しています。紙ありきの従来モデルを壊すものです。マンガも単行本の第一巻から動画化します。雑誌→単行本→映像化のビジネス秩序を壊すものです。そして、国内と海外にコンテンツを同時に配信します。国内ありきの従来モデルを壊すものです。

マンガ作家とアナログ・デジタルメディアとを結びつけるコルクのプロダクション+プロデュース機能は、吉本興業に近いモデル。コルクは独立プロだから、モーニング(宇宙兄弟、インベスターZ)にもスピリッツ(テンプリズム)にも作品が出せる。出版社に属していたらできないことですね。

佐渡島さんは、パッケージやメディアでコンテンツの価格が決まるんじゃなくて、コンテンツでコンテンツの価値が決まって課金される仕組みを作ると言います。大事な指摘です。

例えば音楽のCDは、アーティストが誰でも価格が横並びでした。ヨーヨーマも北島三郎も少年ナイフもCD一枚の価格はほぼ同じ。パッケージや流通のコストで決まっていました。それがネットで価格破壊が起こり、ライブや物販にビジネスモデルが移っています。

マンガもモデルが移るんですかね。絵画などアート作品はコンテンツによって価格がピンきりです。そういうモデルができると面白いですね。

マンガ家と出版社をつなぎ原作・編集を行うコルクの仕組みは、わが研究室の博士課程学生、ユン・イナンさんが韓国で進めているモデルに似ています。日本で紙マンガ、韓国でデジタルを同時配信しているんです。こういうチャレンジャーが構造改革を進めてくれると、元気になります。

佐渡島さんはマンガは産業たり得ていないといいます。そう、規模からすると通信より2ケタ小さい。海外展開や他業種連携で産業化する、それを政府は「クールジャパン」と呼んでいるんですがね。まず事例を作らないといけません。成功事例を作りましょう。