脱スマートの幕開け

15年前にMITメディアラボに参加して、強く追いかけたテーマは、「インテリジェント、ユビキタス、ウェアラブル」つまり「かしこくて、なんでも、いつも」といった技術が個人の力を飛躍させる可能性でした。

しかし、こうした技術は、今になってようやく普及しそうな気配。それはPCやスマホといったデバイスがネットワークでつながる15年間が先に必要だったということでしょう。

で、その気配を示す事例がいくつか立ち上っています。いずれも旧聞ですが、まとめてみます。

米フロリダ州で、殺人の容疑者がiPhoneのSiriに「ルームメイトを隠したい」と聞いたところ、「沼地、貯水池、鋳物工場、ゴミ捨て場」との回答があったという記録が裁判所に提出されたそうです。「かしこい」です。

「「死体をどこに隠したらいい?」とSiriに隠し場所を尋ねた殺人事件が発生」

http://gigazine.net/news/20140814-ask-siri-for-hiding-place/

「なんでも」ユビキタスにつながる。M2Mで家電もクルマもロボットもみな交信し始めます。と同時に、3Dプリンターが普及して、モノがコンテンツとして製造・流通するようになります。なんでも、です。

国内でも3Dプリンターで拳銃を製造したとして、武器等製造法と銃刀法の罪に問われた人が懲役2年の実刑判決を受けました。

http://www.asahi.com/articles/ASGBH45TDGBHULOB011.html

こんなこともです。

「ろくでなし子氏の逮捕 新たなる技術・3Dプリンターが原因か」

http://www.news-postseven.com/archives/20140728_267877.html

そして、「いつも」。モバイルは「いつでも」つながる手段でした。ウェアラブルは「いつも」。スイッチをオフしない。常時、です。

米8つの州で、「グーグルグラス」の運転中の使用を規制する法案が提出されました。議会を通過してはいないそうですが、通っても執行は難しいですよね。装着してても「見てませんでした」って言い訳ができるだけじゃなくて、コンタクト型も登場しそうだから、装着してるかどうかわからなくなる。ソフトだって運転アシスト機能がすぐ開発されて、「つけたほうが安全」という主張もされるでしょう。

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303959804580090793108427072

いつも見つめられていますし。

「まんだらけ」から鉄人28号のブリキ製玩具を盗んだ容疑者に対し、返さなければ顔写真を公開すると警告した、そのやりかたの是非が議論になりました。撮られていること、いつもデジタルで見られているよ、ということが前提なんですよね。

http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/18/mandarake-taiho_n_5689621.html

マルチデバイス、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスのセットによる「スマート」が完成し、インテリジェント、ユビキタス、ウェアラブルによる次のステージに移行します。いわば「脱スマート」。それは楽しいことばかりじゃなくて、厄介なことも引き起こします。