ケータイがテレビになるということ

スマートテレビが動いています。

NHK「ハイブリッドキャスト」がサービスを開始。民放は在阪テレビ局が中心となった「マルチスクリーン型放送研究会」がセカンドスクリーン連携システムの実証を続けています。日本テレビ「JoinTV」、フジテレビ「メディアトリガー」など、テレビ局個社によるセカンドスクリーン対策、ソーシャルメディア連携策も厚くなってきました。

民放と通信会社とが連携したmmbi「NOTTV」や、NTTドコモ「SmartTVdstick」のようにケータイ3社によるスマートテレビ事業も始動。放送と通信をまたがる動きも本格化してきました。エフエム東京が中心となり、V-Low周波数帯域を使った「マルチメディア放送」も始まろうとしています。

そして日テレがhuluの日本事業を買収。動きは国際化しています。

この3年、民放連ネット・デジタル研究会の座長として動きを見てきました。3年前は、GoogleTVやApple TVなど黒船来航に日本の業界は右往左往しました。2年前には、セカンドスクリーンという日本型のスマートテレビの姿がアメリカ型に対抗し得るという議論となりました。

そしてこの1年はもうアメリカの話題は影を潜め、日本でのスマートテレビを放送局がいかにビジネスにするかという論議になっています。まだまだビジネスは成立していませんが、放送局がトライアルを通じて、展望とまで行かなくとも、感触をつかみつつあるように見えます。

3年前の動きは、「ITからテレビへ」の接近でした。米IT企業がテレビ受像機をネットに取り込む。だから放送業界は身構えました。2年前の動きは「ITとテレビ」の両立作戦。テレビ受像機とIT=スマホというダブルスクリーンでのサービスが期待されました。

テレビとソーシャルメディアとの連携は一層強まります。テレビ画面を見ながらスマホでチャットしたり、テレビ番組に連動したクーポンがスマホに落ちてきたりするサービスは拡充するでしょう。パブリックビューイングでみんなで騒ぎつつ、スマホで応援メッセージを送るといった参加型の視聴も広がると思います。

しかし同時に、この動きは次の段階を迎えつつあります。マルチスクリーンは、テレビ、PC、モバイルの垣根をなくします。テレビが第一スクリーンでモバイルが第二、といった序列は崩れ、モバイル=スマホが第一スクリーンの位置を占めつつあります。そしてサービスは急速にボーダレス化しています。それは端末フリーを促します。どの国のどの種類の端末でも簡単に使えるサービスが生き残ります。

それは、どんなスマホでも世界のテレビが見られることを求めます。テレビ局からみれば、テレビがwifiで全てのスマホに流れることが促されます。2020年の東京では、世界中の旅行者が自分のスマホでwifiで日本のテレビを観る環境になっているのではないでしょうか。

ぼくが代表を務める「IPDCフォーラム」は昨年、HLS:HTTP Live Streaming配信実験を公開しました。TBSテレビのエリア放送設備を利用し、IP放送→wifiにより、スマホのブラウザでHDTVが見られるというものです。地上波を使った4K配信を狙っています。

これは「テレビからITへ」の動きによって実現します。テレビ局がITをいかに使いこなすかがカギ。チャンス到来とみてよいと思います。