「グーグル、アップルに負けない著作権法」

角川歴彦さん「グーグル、アップルに負けない著作権法」。タイトルとは違って、がっぷり四つのメディア論です。

2009年・2012年の著作権法改正を周回遅れと斬り捨て、過度なまでにコンプライアンスが重視される日本企業はグローバル市場でアメリカ勢とどう戦えばよいのかと提起します。デジタル時代の法整備を政府に求め続けてこられた、その思いがストレートに伝わります。

そこでは通信・放送の区別にこだわる異質な法制度への批判も加えています。ただ日本は、角川さんも参加する知財本部も後押しし、他国に比べ先駆的な「融合法制度」を2010年に導入しました。制度論は一段落し、どちらかというと企業側のやる気の問題に移っていると私は思います。

一方、通信・放送融合がクローズアップしたのは「政府の力技」で地デジを完全実施したからで、日本はイノベーションに政府の力が必要だったと指摘します。同時にそれが限界であり、21世紀の行政を変革することが不可欠と説きます。この点、私も同意します。

そして、総務省は放送のネット化にとどまらない次のステージとして、放送のオンデマンド化を検討せよと説きます。言い換えれば、番組配信からマルチスクリーン・クラウド化。必然だと思います。

角川さんは、「テレビがなくなる日」のシナリオとして、ハードとしてのテレビは残るが日本市場を外国勢が独占するか、本当にハードとしてのテレビがなくなるか、その両方を提示します。案外、後者の可能性があるのではないでしょうか?

テレビ局の制作力は強く、簡単には崩れません。だけどテレビ端末がファーストスクリーンであり続けるという消費者行動は確かなものではありません。ユーザ行動のほうが先に変わっていく可能性がもう見えているのでは。

そう、ユーザから変わる。著作権法の対象がプロの制作者から一般の人に広がることに関し、私たちの「デジタルえほんアワード」の審査員を角川さんに務めていただいたときの模様を記していただいています。今後ともよろしくお願いします。

著作権とテレビに関していえば、まねきTVとロクラク2の最高裁判決でテレビ局は二次流通の資格を勝ち取りました。でも、それを利活用できないジレンマがあると指摘します。そのとおり。"放送事業者は何を守りたかったのだろうか”との指摘に放送側は答える必要があります。

厳格な著作権法の適用により、テレビ局の権利を守りました。ように見えて実は、国内はクラウド事業が萎縮し、結局プラットフォームを米IT企業に取られ、根こそぎやられています。局地戦で勝って戦争に負ける。その事態を認識しないと、戦略が描けないと私も思います。

アップルiTunes Storeの審査を "一個人の判断で一冊一冊の取り扱いが決まる。モノポリー者の行動原理の極致、これこそ漫画” とぶった切ります。ジョブスへの敬意が深いからこそ、その過ちへの反発も強いんですね。