知財本部の新ラウンド開始

知財本部「検証・評価・企画委員会」が設置されました。それまでの「コンテンツ強化専門調査会」の改組で、引き続きぼくが座長を務めます。知財本部も設立10年を経て、検証・評価に重きを置くということです。

メンバーは、KADOKAWA角川歴彦さん、吉本興業大崎洋さん、ドワンゴ川上量生さん、久夛良木健さん、トーセ斎藤茂さん、一橋大学井上由里子さん、弁護士野口祐子さんら引き続き参加される委員に加え、日本レコード協会斉藤正明さん、NHK木田幸紀さん、松竹迫本淳一さん、ニッポン放送重村一さん、竹宮恵子さんといった面々。

政府全体に動きが出てきました。文化庁はクラウドサービスに関するワーキング設置、著作権の裁定制度の見直しへと動いています。IT本部はビッグデータ利用の制度見直し方針を策定しています。いずれも個別の戦術vs全体の戦略という構図の議論となります。全体戦略が求められているのです。

例えば著作権裁定制度は、その制度の使い勝手に止まる問題ではありません。孤児著作物、ひいては過去のあらゆる知的資産を国としてどう活用するか、根本的な哲学が問われるものであり、既に欧州や米国とGoogle等のグローバル企業とのせめぎ合いが表面化している問題です。

クラウドサービスも根本問題。著作権保護を十全にすることにより、日本ではサービスが不自由となり、結局はアメリカのプラットフォーム事業者にビジネスを根こそぎ持って行かれるという状況、つまり局地の解決によって全土が崩壊する状況を改めるグランドデザインの問題です。

ビッグデータも同様。個人情報保護という部分最適とビッグデータ活用という公共の便益との折り合いをどうつけるかの問題。俯瞰して戦略的にとらえることが大事です。

一方、コンテンツの海外展開はようやく勢いがついてきました。放送番組も音楽も権利処理の円滑化や正規版ネット配信などに力が入れられています。しかし、映画の輸出実績が2012年には前年比8%減少となるなど、コンテンツ全体でみると、一筋縄ではいかないのです。

知財本部の資料によれば、コンテンツ市場11.2兆円に対し、コンテンツ関連産業は22.2兆円(ネット関連13.4兆円、広告1.9兆円、メディアハード5.0兆円、キャラクター商品1.9兆円)。倍の規模があります。さらに、これを日本の輸出総額64兆円にいかに波及させるか。コンテンツだけでなく、他の産業も含むヨコ展開が不可欠になっています。この問題も、よりマクロに戦略を立てる必要があります。

ひとまずこの会議は政府の施策を検証・評価することが任務ですが、まずは失敗も含めて検証し、次のプランを立てる必要があります。同時に、コンテンツに閉じず、分野横断、省庁横断の幅広い戦略を論じなければなりません。ま、戦略の前に、成果を上げないといけないのですが。