コンテンツと国家戦略

「コンテンツと国家戦略」なる本を角川EPUB選書から上梓しました。コンテンツ政策やソフトパワー論について、知財本部で議論していることを中心にまとめたものです。

2013年、政府は「知的財産政策に関する基本方針」を閣議決定するとともに、「知的財産政策ビジョン」を決定しました。知財戦略の総本山として内閣官房に知財本部を設置して10年。その10年を総括し、今後10年の戦略を立てるものです。

ぼくは座長として、知財戦略を担当する山本一太大臣ら政府代表らに対し、こう追加しました。

「コンテンツやITの政策を結合して「文化省」を作るのがよいと思います。荒唐無稽な意見かも知れないが、韓国は新政権で IT政策や科学技術を統括する「未来創造科学省」を置くことにしました。国民を何で食べさせるかを端的に示しています。日本にもそのような腹づもりが求められます。」

霞ヶ関に省庁再編を促すのは、やりすぎです。

知財本部の議論と並行し、「クールジャパン推進会議」が設けられ、対外戦術を別枠で練ることになりました。ぼくはその下に置かれた「ポップカルチャー分科会」の議長も仰せつかりました。その提言には「みんなが『参加』して情報を発信する仕組みを構築しよう。政府主導ではなくて、みんな。」と書き込みました。

政府に頼まれた会議で政府主導を否定するのも、やり過ぎです。

でも、はっきりさせないと戦略を間違えます。

提言を繰り返してきました。残っている問題が2つあります。一つは「実行力」。プランは豊かなのだが、それを実行に移し、産業や文化を潤わせ、具体的な成果を示す。これがまだ弱い。そのためには強力な政治リーダーシップが欠かせません。霞ヶ関、外国政府、利害関係者に対する指導力や調整力が必要です。

もう一つは「覚悟」。コンテンツや知財というジャンルが日本を引っ張るという理解。日本が海外からこれで尊敬を受けているという認識。これで100年メシを食っていくという気合い。つまり、他の分野よりも政策の優先順位を上げて、知財立国するのだという腹づもりがまだできていないのです。

しかし、事態は悪くありません。この4年間に起きた最大の変化は、政府部内にコンテンツ政策の重要性が共有され、多くのプレイヤーが積極参加し始めたことでしょう。

われわれの会議でも、8省庁の代表が集い、それぞれが政策カードをテーブルに並べ、プランを立てるようになりました。以前ならどこが引き受けるのか譲り合いを見せていた案件も、今は取り合いの様相。

この熱気が「続く」ことを期待します。