広がるプログラミング教育

2013年10月末、東京・広尾の広尾学園中学校・高等学校にGoogleのエリック・シュミット会長が姿を見せました。われらがNPO「CANVAS」と協力して、日本のコンピューター科学教育を支援する「コンピューターに親しもう」プログラムを開始することを表明したのです。

このプログラムは、6~15歳の子どもがプログラミングの基礎を学ぶ取組。手のひらサイズの安価なコンピューター「Raspberry Pi」と子ども向けプログラミング言語「Scratch」を使うものです。5000台のRaspberry Piを提供し、2万5000人以上の児童・生徒にプログラミング体験を届けることを目指すとしています。

プログラミング言語「Scratch」は、ぼくがMITメディアラボにいたころ、共に子ども研究機関「大川センター」の設立に奔走したミッチェル・レズニック教授が開発したもの。現理事長の石戸さんらと2002年にCANVASを設立して以来、ぼくたちは30万人の子どもにプログラミングなど各種のワークショップを提供してきました。今度はGoogleの協力を得て本格展開することになります。 

石戸理事長は言います。「情報化社会を生きる子どもたちにとって必要な力は創造力とコミュニケーション力。そのためにプログラミング教育が役に立つ。こういう活動をしているとよく『プログラマーを育てたいのですか』と聞かれるが、そうではない。プログラミングを通じて論理的に考えて問題を解決する力や、他者と協力して新しい価値を作り出す力などを養ってほしい。知識を教える「教育」の場ではなく、自分たちで学んでいく「学習」の場を提供していきたい。」

これは、プログラミング「を」教えるものではありません。プログラミング「で」つくりだすことを目的にしています。プログラミングでアニメをつくる。ゲームをつくる。ロボットをつくる。自分のアイデアを形にする。生み出すための手段であり、道具なのです。そしてそれは、よみかきそろばんと並ぶ、基礎的な能力となります。

スティーブ・ジョブスは「アメリカ人は全員コンピューターのプログラミングを学ぶべきだと思う」と語っています。誰もが身につけるべき基本だということです。日本政府も成長戦略の中で、「義務教育段階からのプログラミング教育など、IT教育を推進する」と記載しています。

そして、驚くことに、プログラミング学習を必修とする高校が登場します。「コードアカデミー高等学校」という通信制の普通高校で、2014年4月の開校。ぼくが顧問を務めるキャスタリア社が推進しています。コンピューターを自らいじれないと卒業できない。そういう時代が、もうそこに来ています。

http://www.code.ac.jp/