V-Lowマルチメディア放送、始まるのね!?

「本当に始まるのね?V-Lowマルチメディア放送開始!!」という意味ありげなパンフがCEATEC2013の場で配られていました。

V-Lowマルチメディア放送というのは、地デジが整備されてテレビ局が引っ越したアナログ周波数の跡地のうち、1-3チャンネルで使っていた90MHz~108MHzの電波、つまりVHFの低い(Low)ほうを使って新しい放送サービスを展開するものです。

同じアナログ跡地でも、既にV-High(207.5MHz~222MHz)はNOTTVがスマホ向けに有料テレビ放送をスタートしています。フジテレ ビなどテレビ局各社とNTTドコモのジョイントです。通信会社とテレビ局とが組んで、スマホ向けエンタテイメントを提供しています。

これに対し、V-Lowの方は、方針がハッキリしませんでした。ラジオのデジタル化に活用する、地域の新しい防災メディアとする、さまざまな議論と調整が重ねられました。結果、FMラジオ局を中心に、これまでにないメディアを創り出す方向に舵が切られ、制度作りが進められることになったというのです。「本当に始まるのね?」というのは、業界の自虐ネタです。

政府の計画によれば、地方ブロックを7つに分け、マルチメディア放送を行わせる。マルチメディア放送というのは、テレビやワンセグケータイだけでなく、スマホ、タブレット、カーナビ、デジタルサイネージなどにも、いや、どちらかというとそういう新しいマルチスクリーンを主軸にしたサービス。広告つき無料 サービスも、課金型の有料サービスもOK。

参入見込みの事業者は、ぼくが団体の代表を務める「IPDC」を採用します。放送の電波にIP(インターネットプロトコル)という通信技術を重畳し、通信も放送も横断してマルチスクリーンに情報を流す手法です。テレビやラジオというより、ネットです。放送チャネルというより、アプリです。

これまでIPDCフォーラムでは、放送の電波を使って街角やバスのサイネージに情報を伝えたり、新聞や雑誌の紙面をテレビやタブレットに送ったりする実験を繰り返してきました。放送局が通信業を行うための規制緩和も求め、ユビキタス特区や通信・放送融合法制の提言などもしてきました。制度的にも技術的にもそれらはケリがつき、地デジも整備されて電波の都合もつき、ようやく動き始めたのです。

CEATEC会場でシンポジウムが開催され、総務省南俊行官房審議官、FM東京藤勝之取締役らによるトークの司会をしました。全国7ブロック を6社で請け負い、それぞれ9セグメントの放送を行う。電波を発射するハード事業と、コンテンツを編成するソフト事業とを分離するハード・ソフト分離型。

中心的な役割を担う予定のFM東京は、ネットワーク整備のため400億円を調達。総務省は急ピッチで制度を整え、早ければ2014年夏にはサービスインの見込み、ということが明らかになりました。

制度やネットワークのことはわかりました。問題は、端末じゃないですか?対応する受信機が少ないと立ち上がりが大変ですよね。これに対し、FM東京藤さんから衝撃的な話がありました。wifiチューナーを5年で100万台、無償配布するというのです。100万台!30億円になります。「社長にも黙って言っちゃった。」ってことで、会場にいた東京FM社の役員陣ものけぞっていましたが、言っちゃったものはしょうがない。

チューナー+wifiルータの機能があれば、その周囲はV-Low放送をwifi受信できる環境になります。スマホでもサイネージでも、チューナーなしでV-Lowが見られる。さらに対応デジタルサイネージも2万4千台を全国配備するそうです。

総務省南さんも呼応し、全国2万4千の郵便局を活用する案を提示しました。東京五輪に向け、4K8Kでのパブリックビューイングを津々浦々に整備していく。そこにV-Lowも乗せ、安全・安心サイネージの機能を持たせる。おお、総務省が郵便局にかけあってくれるなら、サイネージ業界としても歓迎です。

V-Low周波数帯の利用には、wifiなど通信利用に開放する提案もあり、紆余曲折を経た結果、現在のプランに落ち着きつつあります。この結論でよかったのかどうか。それは、いよいよスタートする新サービスがまずは答えを示すことになります。