クールジャパンで日本を売り込め!

NHKラジオで、クールジャパンについて答えろ!という番組がありました。ぼくが回答役。こんな感じでした。

Q:政府は「クールジャパン」の推進に力を入れ始めた。実際のビジネスの現状は?

コンテンツ産業は13兆円。世界160兆円の1/10で、2位を占めます。マンガ・アニメ・ゲームなどのコンテンツ産業がもともとの中心ですが、実は日本の市場は縮小傾向にあります。

日本のコンテンツの輸出比率は約5%で、アメリカの17%に比べずいぶん小さい。輸出力あるのはアニメ、ゲームですが、海外に出る潜在力はもっとあると思います。

ただ、コンテンツ産業はもともとGDPの3%程度で、国の経済の支柱になるほどではない。コンテンツ産業自体を大きくしていくのではなく、コンテンツ産業を通して、周辺産業を拡大しながら海外に展開していくことが大事です。アニメでPRして、ファッションやクルマや和食を売る、ということ。

Q:「クールジャパン戦略」に、政府が力を入れるのはなぜ?

日本の経済停滞の中で、ポップカルチャーが台頭して、世界に進出したのですが、実はこの流れは海外から入ったものです。

「クール・ジャパン」という言葉は、10年前にアメリカのジャーナリスト、ダグラス・マッグレイ氏が書いた論文「Japan’s Gross National Cool(国民総クール)」がきっかけでした。外交における「ソフトパワー」論を提唱したハーバード大学のジョゼフ・ナイ教授も日本はポップカルチャーを活かすべきと 提言しました。それで日本での議論が盛り上がった。つまり、日本自らプロデュースしたものではなくて、海外から発見されて入ってきたブームなのです。

政府としては、日本経済や産業構造の変化、少子高齢化で自動車や家電などの基幹産業が苦しい中で、新しい産業として日本独自の文化を世界に展開していくことに力を入れています。

コンテンツ政策は20年ほど前から始まったのですが、今回の安倍政権ではかつてない高まりを見せています。経済政策として、コンテンツ産業をブランド力やイメージを高める触媒として、家電や食品、観光など産業全体を成長させるのが狙いです。

Q:世界での日本文化の発信力の現状をどうみる?

マンガ・アニメ・ゲームは、すっかり日本の顔です。ピカチュウ、ワンピース、ナルトを知らない子はいません。確実に世界に広がっています。日本文化を総合 的に紹介するパリのジャパンエキスポは、特にマンガ、アニメが人気で、2000年に3000人の来場者で始まったものが、2012年は4日で20万人規模 になりました。

欧米の本は横書きで左とじですが、右手で開く右とじの日本のマンガが浸透しています。西洋文化始まって以来、逆にとじられた本が書店に並んでいる。アジアでもアニメ、マンガ、音楽を通した日本イメージが定着しています。

Q:K-POPや韓流ドラマのヒットなど、韓国は成功例として挙げられるが?

韓国では、1998年の金大中政権からコンテンツ予算を拡大しています。特徴は3点あります。

まず「集中」。映画、音楽などポップカルチャーにジャンルを集中して海外展開しています。

次に「連携」。家電、クルマなどの産業とタイアップして、ソフト+ハードのセットで売り込んでいます。

そして「政府」。本気で後押ししています。

これに対し、日本の海外進出は、集中ではなく多ジャンル総花的。連携ではなく業種タテ割り。そして政府の後押し少なかった。韓国のコンテンツ予算はこの10年で倍増しているんですが、日本は減少しています。

で、今回、政府は韓国を意識したスタンスで、ポップカルチャーに、食やファッションなどを総合的にプロデュースして海外展開を進める政策に本腰を入れるようになった、というわけです。