オープンデータのご報告

オープンデータ流通推進コンソーシアム。117社の企業会員とともに、政府・自治体その他さまざまな情報のオープン化を進めています。いわゆるビッグデータをビッガーにほじくり出し、共有し、活用して、価値を生んでいく運動です。ぼくは理事・普及委員長として関わっています。

まずは総務省が推進した実証実験が成果をあげています。いくつか紹介しましょう。

交通分野では、鉄道やバスの運行情報、駅や停留所の施設情報を共通のデータ規格でオープン化し、都市部の交通状況を可視化。JR東日本、東京都交通局、東京地下鉄と横須賀リサーチパークが連携。電車やバスの位置・遅延情報を地図上で可視化し、都営バスの到着予想時間と列車運行情報を音声通知。

また、地盤情報に関し、国や自治体が持つボーリングの地盤データを活用して、防災に資する精緻なハザードマップを提供。

災害情報についても、ITSジャパン、NTTらが連携。東日本大震災時に、トヨタ、ホンダらのカーナビ情報を活用して通行情報をGoogle Mapsで配信。

さらに、被災地の自治体が持つ通行止め情報を国土地理院でデータ統合、それらも可視化。

ぼくは普及啓発を担当していますが、コンソーシアムには、技術委員会とデータガバナンス委員会の2委員会が置かれています。技術委員会はオープンデータを流通させるための技術仕様を検討しています。データガバナンス委員会では、公共データの知財問題に取り組んでいます。

国の保有するデータを活用しやすくするためには、著作権の利用の自由度を高める必要があります。国が保有する公共データには著作権が発生しないよう著作権法を改正する、国がその権利を自ら放棄する、クリエイティブコモンズなど二次利用促進のためのライセンスを採用する、などのアプローチが考えられます。

これに対し、一部省庁も前向きです。しかし、全省庁・全国の自治体に拡げるには相当な大仕事となります。IT本部や知財本部でも問題提起していきたいと思います。もし道が開かれれば、大変な成果となります。

さて、オープンデータの運動は、公共データをオープンにさせる、カナテコで開くことが当初の眼目だったのですが、やり始めたとたん、そんなことは些末なことだということが明らかになってきました。それよりも、個々人や企業のもつ超大量のデータを公共データとともに共有すること。「みんなのデータ」が公共性を持つことがハッキリしてきました。

頭が下がります。オープンデータは直接の見返りがない運動であるにもかかわらず、政府も自治体も企業も個人もみな、嬉々として参加し、前のめりに動いてるんですよね。

こういうのは、ホメるしかない。そこで、この春には優れた取り組みを見せる関係者をコンソーシアムとして勝手に表彰するという無謀なイベントをやってみました。

最優秀賞は福井県鯖江市「データシティ鯖江」。様々なデータをXML等の形式で公開しています。優秀賞にはOpen Knowledge Foundation、株式会社カーリル、税金はどこへ行った?チーム、気象庁、青森県、LODチャレンジ実行委員会、CKAN日本語化コミュニティが連なりました。

ノミネート活動を眺めて、さまざまな活動が展開されていることに、心を打たれました。新しい活動は、お金がもうかるか、やれという命令があってやるか、が相場です。ところがオープンデータは、みなさんの純粋な公共心と熱意でスタートしていることに感動する次第です。

さらに、より心強く感じたのは、受賞されたかたがたの多様性。中央官庁もあれば、首都圏の大都市もある。地方の県もあれば、市も町もある。企業も、非営利団体も。国立の研究所も、学生もある。地方も中央も、大組織も個人も、同じく熱意を持って取り組む主役がいる。大きな可能性を感じます。