テレビはスマートの宿題を済ませろ

高画質テレビ規格「4K」(フルハイビジョン)と「8K」(スーパーハイビジョン)が注目を集めています。昨秋のCEATECやInterBEEでも高画質モデルが展示されていて、スマートテレビと双璧をなしていました。1月には総務省が来年夏に衛星で放送する方針を示しました。

ぼくはIPDCなどスマートテレビに力を入れています。4K、8Kがキレイに見せる技術であるのに対し、スマートテレビはべんりに楽しむ技術。日本ではNHKハイブリッドキャストやマルチスクリーン型放送研究会などの動きがあります。最近はテレビをAndroid端末にする装置が盛んに宣伝されていますね。

キレイか、べんりか。両立させられるといいのですが、資源には制約があります。放送、通信、メーカ、ソフトウェア、コンテンツ・・・どのセクターがどういう資源をどう配分するか、そのスピード感はどうか、が大事です。

地デジはキレイでべんりなテレビを実現するものです。ハイビジョンと、テレビのコンピュータ化を同時に達成するものです。それが整備されて現れた問い、「4Kかスマートか」。さて、どうでしょう。4Kは苦境にある日本のメーカーが再生する切り札だと唱える人もいます。総務省も期待しているのでしょう。これに対し、ぼくはスマートが先だと考えます。

地デジでとりあえずテレビはキレイになりました。多くの家庭がテレビ受像器を買い換えました。そこですぐもっとキレイな4Kと言われても、というのが実態でしょう。さらにケーブル配信業者に聞くと、高精細HDの伝送は25%に過ぎず、以前のSD画像がまだたくさんあるといいます。さらなる高精細のニーズは本当にあるんでしょうか。高精細にしても広告が増えないことは経験済みで、ハイビジョンの頃と違って銀行もメーカーも弱ってる中で、どう資金を投下するかも課題です。

これに対し、地デジでべんりになったかというと、それがまだ達成できていません。デジタルならではの面白いサービスが開発されていません。その部分は、スマホやタブレットが単騎でニーズをくみ取っています。テレビとスマホを組み合わせて豊かなサービスを作り、テレビ広告以外の新ビジネスを組み立てる。こちらは次の市場とニーズが見えます。テレビにはまずはその宿題を済ませてもらいたい。

一方、デジタルサイネージやオープンデータの推進役としては、4K、8Kに期待しています。ビジネスはこの業務用から立ち上がるでしょうし、有望だと思います。スマートテレビ放送より業務4Kのほうが早いかもしれません。サイネージが超高精細を欲しがっているのは当然ですし、その表示技術も伝送技術もできてきました。課題だったコンテンツも、この数年でずいぶん充実しています。

より切実なニーズがあるとすれば、映像のビッグデータ活用じゃないでしょうか。監視カメラに写るデータを、目視ではなく機械システムとして抽出、処理、分析できるほどの精細な映像を得ることができれば、利用は面的に広がります。8Kのような超高精細の映像は、人間より機械のほうがより強く欲しているのではないか、と感じます。