テレビとネットの結合、ふたたび。

テレビとネット。放送と通信。本格的につながり始めました。

IT・エレクトロニクスの展示会「CEATEC」。2012年秋は「スマート」一色でした。スマートなテレビがたくさん姿を現していました。地デジでテレビはキレイになるだけでなく、かしこくなる。テレビとネット、テレビとスマホの組み合わせで、面白くて便利になる。もう提案レベルではなく、実サービスの段階です。

スマートテレビだけでなく、スマート家電、スマートハウス、スマートシティなど、通信、メーカをはじめとする情報関連産業がスマートの名の下に戦略を模索する様子も明らかとなりました。

家電メーカはネット対応のテレビを展示。SAMSUNGのスマートTVやGoogleTVのように、テレビ画面でネットのコンテンツも見られる姿とは異なり、テレビとスマホ、テレビとタブレットといったマルチスクリーン連動モデルを前面に掲げていました。さらに、冷蔵庫や洗濯機など白物家電もみなつないでスマートハウスを提案してみたり、電力供給と結びつけたスマートシティを唱えてみたりしていました。

これは涙ぐましい努力である一方、「スマート」なるものの姿が確定しない現時点において、未来の可能性を示すものでもあろう。今回は自動車メーカも参加し、自動車とメディアの結合も数多く提案されていました。スマートテレビの可能性は、従来のテレビの延長線上ではなく、全く新しい姿を伴って提示されることになるのかもしれません。

ぼくのグループは、放送とネット、テレビとコンピュータをつなぐことに力を入れてきました。

その一つが、IPDC。アイピー、データキャスト。放送の電波を使って、IPプロトコルという通信技術でデータ配信することです。

放送と通信の融合。その普及を目指して、「IPDCフォーラム」を立ち上げたのが2009年。1)規格化の検討、2)使い方の検討、3)制度化への要望に取り組んできました。ぼくが代表を務め、放送、通信、メーカ、ソフトウェア、広告など会員は40社を超えます。

http://www.ipdcforum.org/

当時、放送の電波に通信技術を乗せ、ハード・ソフト分離、通信・放送サービス混合、有料・無料コンテンツ混合、なんてことは、技術的にはできても制度的には夢のまた夢。このため、ユビキタス特区を作れだの、法体系を抜本改正して融合法制を作れだの、そんなことを叫んでいたので、鬼っこ扱いでした。

しかし、地デジの全国整備が見えてきて、ブロードバンドの全国化も見えてきて、GoogleやらAppleやらも攻めてきて、事態は急展開しました。特区も法改正も実現しました。3年経ってみたら、IPDCにやおら脚光が当たるようになっていたんです。

CEATEC同様、毎年幕張で開催されている放送展「InterBEE」の昨年版には、IPDCフォーラムとしてブースを出展しました。放送局主導でマルチスクリーンをコントロールする技術の具体像を示しました。特に大阪の放送局を軸に発足した「マルチスクリーン型放送研究会」(マル研)の成果を展示。12テレビ局、15番組が参加しました。

放送番組とtwitterとを混在させたMBS「災害ニュース」、テレビとタブレットにアニメとマンガを表示させるよみうりテレビ「宇宙兄弟」など、多様なジャンルのコンテンツが日本的なダブルスクリーンモデルを模索していました。

IPDCは放送の電波1本でテレビもタブレットやスマホなどのダブルスクリーンもカバーする仕組み。放送局が全てをコントロールする方式です。だからネット界より放送局が注目してるんですよね。

これからの課題は、対応受信機の量産。このためには、日本だけでなく、日本の地デジ方式、ISDB-Tを採用する国々、たとえばブラジルなど南米と連携することがポイントとなります。いきなり国際対応が重要課題になっているんです。実は、ブラジル サンパウロ大学と国際連携策を進めているところです。

通信と放送の融合を議論し続けて20年。地デジが済んで、スマホやタブレットが現れて、やっと具体像が見えてきた、そんな気がします。今年のCEATECやInterBEEではどこまで進化しているか。楽しみです。