ネパールの小学校にて 

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メインの通りなのに、アスファルトは穴だらけ。車が揺れるというより、跳ねる。父と母に子どもが挟まって、3人乗りのバイク。パパーン、プゥ、パラパラ。クラクション、クラクション、クラクション。路地だってぶっ飛ばして逆走してくる。たまに見かける信号は、全く灯りがついていない。

若い男女は闊歩しながらケータイ。不作法だ。でも、ドンキングのようなイノシシの頭を置く肉屋には、作法がある。電柱に牛がつながれている。その頭上では電線が25重ぐらいに巻かれている。ペンキ屋。金物屋。チューブ屋。工具屋。基本、DiYなんだな。あちこちへこんだ乗り合いの三輪車はギュウギュウを通り越し、外にあふれた人が車体にしがみついている。日本語でそれハコノリって言うんだよ。パパーン、プゥ、パラパラ。

標高1330m、500万人都市。ネパールの首都、カトマンズです。

最初はグー。と同じアクセントでカトマンズ-。と言うと、現地の呼び方に近い。

人より神の方が多い町。イスラムに押されてインドから流れてきたヒンドゥーが8割、ヒマラヤの向こう、チベットからの仏教が1割。土着信仰も混じり、独特のネワール文化を築いています。36のジャート(民族というか、コミュニティ)が同居しています。

あんた日本人じゃね?とおぼしき人もいれば、日焼けサロンに通い詰めたギリシャ人のようなのもいます。ぼくが着物で歩いていても、腰に布を巻いた似たような男はたくさんいるので、日本にいる時より目立ちません。

町がモヤってるのは、排気ガスか、砂埃か。道路に座って靴磨き客を待つ男3人。たぶん、来ないね。しゃがんで、何もしていない男5人。潔く、日暮れを待っているのね。道の脇はレンガがうず高い。壊しているんだろうか。作っているんだろうか。赤と黄と緑の布をまとう女2人。勢いよく歩く。道に出てきて洗濯物を干す女2人。かいがいしい。

脇の太い木には枝にロープをくくりつけ、ブランコにしている。おい坊主、そんなに高くこぐと、間違ったら死ぬぞ。路地を全速力で走り回る子どもたち。おまえら裸足じゃないか。走れ、走れ。同じく走る、野良犬の群れ。こんな雑踏に。噛まれたら泡ふいて死ぬぞ。茶色のヤギと白黒の子ヤギ。並んで歩くが、親子か。野良か?この、道をふさいでいる牛も、野良かなぁ。道を外れると土煙が立ち上っている。壊しているんだろうか。作っているんだろうか。

GDPは鳥取県より小さく、一人当たりだと$650、後発開発途上国。しばしば停電となります。海外にグルカ兵を派遣し、傭兵を産業としている点では、昔のスイスのようですね。大国に囲まれ、世界の屋根たる山脈を持つのも似ていますが、「第三の男」の台詞、”スイスの同胞愛、500年の平和と民主主義は何をもたらした? 鳩時計さ。” てな のどかさはありません。

19世紀初め、英国とのグルカ戦争に敗れたものの独立を維持、しかし政治は混沌。2008年に王制が廃止されたばかりですが、第一党の共産党マオイスト(毛沢東主義者)と、連立与党22党と、国軍、そして大統領と首相とがせめぎ合っています。日本の政治がまともに見えてしまうじゃありませんか。

しかし、なのに押し寄せる熱気。ぼくがこよなく愛するこの雑踏の猥雑さは、イスタンブールやハノイ、カサブランカや西安、それらとも似た、大阪よりもでかい人口を持つ都市のみから沸き上がる発酵エネルギーなのでしょう。

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公立校Shree Rudrayanee Secondary Schoolを訪れました。眼下に壮大な棚田が広がり、母親たちが収穫に体を動かし続けている、その向こうにはヒマラヤの白い山頂が連なっています。村を歩き、4歳から16歳まで、260人の子どもたちが熱狂的に迎えてくれる門をくぐると、建物は崩れ落ちそうで、設備も乏しい。でも、子どもたちは英国風の立派な制服をまとい、レジメンタルのタイを結び、黒の革靴をはいている。みな英語を話します。ネパールの公立校はこんな感じだそうです。ハコよりヒトにかけていますね。

屈託なく、まっすぐにぼくの目を見抜いてくる。見たこともない格好をしてコンピュータを手にした不思議なぼくの目を透過して、もっと遠くの、これからの何かを見つめている。一緒に遊んでくれたみんな、ありがとう。名刺を渡したら、食べちゃった2歳のSanjey、ありがとう。またいつか、地上で、会おう。

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