知財戦略:基盤整備と海外展開

知財本部のコンテンツ政策論議。2013年の知財計画をどうするか。

本年の初会合で、デジタル化・ネットワーク化(基盤整備)とソフトパワー(海外展開)の2本柱で進めることが了承されました。

1 デジタル化・ネットワーク化

デジタル化、ネットワーク化が本格化して20年。新しいビジネスチャンスが広がっています。

特にこの10年間で、コンテンツが注目を集め、著作権法を改正してデジタル化に対応するなどの政策が採られてきました。しかし、コンテンツの利用や情報の生産は爆発的に増大する一方、コンテンツ産業は拡大するどころか縮小傾向にあります。さらに、この数年、マルチスクリーン、クラウドネットワーク、ソーシャルサービスといったメディアの刷新が起こっていて、デジタルやネットワークは新しい段階に入りました。

その中で、日本のコンテンツ産業はプラットフォームのグローバル競争にも勝利できていません。教育、行政といった分野でのコンテンツの生産と利用も遅れています。

世界的なデジタル化・ネットワーク化に対応して新しい産業と文化の発展を続けるためには、権利者と利用者の利害対立、ハードとソフトの対立といった構造を超えた、総合的な制度設計や新分野の創造が必要になっています。

コンテンツを日本の経済と文化の原動力として推進するための戦略を実行すること。その政策のプライオリティを高めていくことが重要です。

2 ソフトパワー

日本の現代文化は、クールジャパンとして世界の共感を得ています。その共感は、マンガ、アニメ、ゲームといったコンテンツにとどまらず、ファッション、食、伝統工芸、観光などに広がっています。さらに、工業デザイン、サービス水準、家族経営、生活様式、といった経済・文化全般に注目が集まっています。

こうしたソフトパワーを経済成長につなげるために、海外市場を取り込むことが政府のミッションです。手法としては、メディアやイベントでの情報発信を強化するというアウトバウンドが第一。さらに、人も技術も取り込んで、日本を本場に、産業文化の増殖炉にするというインバウンドがもう一つ。

コンテンツやファッションなどの競争力ある産業分野を横断する施策に政府も民間も力を入れるようになりましたが、本格的な成果が上がるのはこれから。成果を見せることが大事です。

重要なのは、クールジャパンの力をきちんと認識することです。

力には2つあると考えます。一つは「総合力」。文化の力、コンテンツやデザインを産み出す力と、技術の力、高品質な製品やサービスを作るものづくりの力、この文化力と技術力の双方を持ち合わせる総合力が、古来から培ってきた日本の強み。

もう一つは、国民の、庶民の、みんなの力。「みんな力」。日本のポップカルチャーは限られた天才というより、みんなが庶民文化として育んできたものであり、いわばソーシャル力。ネットワークでみんながつながる時代は大いなるチャンスです。

しかし問題は、その力を日本人が認識していないことです。

Adobeの国際調査によれば、世界で最もクリエイティブな国は日本だという評価が圧倒的第一位だったのに対して、日本人だけが日本のことをクリエイティブだと思っていないという結果でした。そもそもクールジャパンという言葉も海外から入ってきたものです。日本が自らを評価したものではありません。

自らの力や持ち物を点検し、評価しつつ、外に出て行くことが重要です。