転換するコンテンツ政策

知財本部コンテンツ専門調査会。政府のコンテンツ政策を束ね、アクションプラン「知財計画」作りをするのがミッション。その2013年審議が本格化しています。ぼくが会長に就いて4年目の知財計画作りとなります。

民主党から自民党に政権が移りましたが、知財本部が発足したのは10年前の自民党政権なので、この分野を強化する方針は不変、といいますか、一層力を入れてくれることを期待します。ただ、10年たったので、まずはこれまでの10年の政策を踏まえて次に進むべきです。

会議では、じゃあそもそも10年間で知財はどれだけ増えたのか、ビジネスはどれだけ拡大したのか、という問いかけもありました。厳しい問いです。フローでみると、世界のコンテンツ市場が年6%で拡大する一方、日本市場は縮小傾向にあります。他方、私の計算では、過去10年間で、日本の情報発信量は30倍に増大しています。M2M(マシン・トゥ・マシン)やビッグデータの活発化で、よりハイペースで増大するでしょう。

しかし、マッキンゼーによれば、この10年に「蓄積」された情報は、日本は北米の11%にすぎないといいます。情報は生まれるが、知財として蓄積されていないのです。これではビッグデータも活かせません。従来は産業規模の拡大を国の目標に据えていたのですが、情報量や情報行動などに目を向けることが重要になっています。

10年前にはスマホもタブレットもありませんでした。地デジもブロードバンドも整備中でした。今やデバイスも、ネットワークも、サービスも様変わり。しかもビジネスが全てボーダレスに移行しました。コンテンツ政策はこの数年で変化はしてきましたが、もはや断層的な転換が必要となっています。10年前、コンテンツ分野には成長産業という期待もありましたが、今や悲壮感をもって立ち向かう必要があります。

コンテンツ政策はこの3年で変換しました。

1 著作権制度で守るスタンス以上に、プロジェクトを開発して攻めるスタンスに移行しました。

2 エンタメより基盤整備:インフラや人材育成に力を入れるようになりました。

3 国内だけでなく海外展開に注力するようになりました。

方向としてはよいと思います。

このタイミングでメンバーも少し入れ替えがありました。吉本興業大崎社長、ドワンゴ川上会長、プレイステーションの久夛良木健さん、AVEXの谷口さん、デジハリ杉山学長、俳優の別所哲也さんら従来メンバーに、講談社野間社長、フェイス平澤社長、東映岡田社長らが加わりました。角川グループ角川会長、漫画家の里中満智子さん、中山信弘東大名誉教授らも会議に参加されています。このかたがたの意見を集約しろっていうのは、拷問に近い。

ただし、これまでの10年で、知恵はもう出尽くしています。頭をひねって新プランを出すことが大事なのではありますまい。さまざまな政策にどう優先順位をつけ、どう踏み込むかの決断が重要な段階なのです。実行なのです。その点、コンテンツ政策では韓国がよくモデルとして例に出されます。韓国と日本との違いは「国の気合い」。これを民間サイドから政府に強く求める。それが役割だと考えています。

重点は3つ。

1. 海外展開の強化

海外のメディア枠を買う、輸入規制を撤廃してもらう、そうした思い切った手が必要です。

2. 国内の基盤整備

長期的な底上げを図ること。デジタル教科書の完全普及、オープンデータ:政府保有情報のオープン化と利用フリーなど骨太の施策が必要です。

3. 政府の一体化

この数年で、文科、総務、経産など8省庁が一つのテーブルについて、前向きに施策をぶつけ合うようになりました。これが10年間の最大の成果かもしれません。これを前進させたい。特に、コンテンツ政策とIT政策の複合がポイントとなります。これも政治力が必要です。   

とりまとめに気合いを込めたいと思います。