安倍政権にお願いしたいデジタル7プラン

安倍政権は順調に船出しました。でも、デジタル屋からみると、まだIT政策も知財政策もハッキリしたプランができていません。前の総選挙でも、経済、TPP、原発・・・多岐にわたる論点がありましたが、メディア政策についてはほとんど議論になりませんでした。昨日、総務省で「ICT成長戦略会議」が開催され、新政策作りがスタートしたばかりです。

前回、自民党から民主党政権に移行する際、マニフェストには唯一「ネット選挙解禁」がうたわれていました。それさえ全く前進せずに民主党政権はおしまいでした。政治ってそんなもんなのかね。だから、これからも期待してはいけないのかもしれません。でも、自民党に移ってネット選挙は実現に向け急速に動きました。政治にしか期待できないことは依然あります。

例えば、ぼくは「文化省を作ろう」と何度も繰り返しています。文化庁、総務省通信放送部門、経産省IT部門、知財本部、IT本部を合体した役所です。これは政治にしかできない仕事。

これに対し、そんなハコのことより中身を考えろ、というご批判もいただいています。そりゃそのとおりですね。その役所にやってもらいたい7プランを挙げてみます。

1. 文化産業政策の強化

日本をコンテンツ産業の本場にしましょう。そのために、コンテンツ産業の法人税撤廃、そして、電波利用料のコンテンツ制作への使途拡充を行います。

2. 文化通商外交の強化

海外への情報発信量を増大させましょう。日本コンテンツ向けの海外メディア枠を確保するとともに、海外の日本コンテンツ輸入規制の撤廃を推進します。海外から人気のあるウェブサイトの多言語翻訳を無料でつけてやるのも実現したい。

3. 文化教育の強化

情報生産力を養う環境を整備しましょう。音楽・図画工作の授業を倍増します。子どもが創作表現活動を行う拠点を全国整備します。

4. 従来型文化行政の転換

著作権政策と芸術伝統文化保護策を刷新しましょう。デジタル著作権法案を策定します。また、文化寄付優遇税制を創設し、民間資金が文化に回る流れをつけます。

5. IT利用政策の強化

利用面の遅れを挽回しましょう。ネット選挙は即時実施。デジタル教科書の整備も待ったなし。全省庁・自治体のオープンデータの推進も急務です。NHKネット配信の義務化も進めたい。

6. ポスト・インターネット政策の構築

次世代IT基盤の整備と開発を推進しましょう。全国の学校を先端情報基地として重点投資します。スマートシティー、スマートグリッド、デジタルサイネージの全国整備を進めます。

7. 政策形成手法の改善

オープンでソーシャルな政策決定策を導入しましょう。ソーシャルメディアによる政策参加手法を試行したり、ポリティカルアポインティと専門家登用を強化したりします。

アベノミクス的にみると、金融緩和、財政拡大に並ぶ3本目の柱である成長戦略に、これらをどう組み込むかがポイントになります。

例えば1. 電波利用料のコンテンツ制作への使途拡充。電波利用料は携帯電話1台当たり年540円が徴収されているもので、それを下げろという意見もあります。だが、デジタルの下位層から上位層に資金配分する知恵があってもよい。年間700億円を超える利用料収入は、電波監視、研究開発等の限定的な業務に充てられているのですが、これをコンテンツなど有望なデジタル分野の拡大に投下できないでしょうか。

そして、5. デジタル教科書の整備とオープンデータの推進。教育と行政の情報化は、より大きなビジネス領域となります。

デジタル教科書は政府が2020年に一人一台の目標を据えているのに対し、大阪市橋下市長や東京都荒川区西川区長のように2015年に達成するという首長も現れ、地域主導で動き始めました。でも、法律上、紙でなければ正規教科書として認められていないという入口の壁が立ちはだかっています。すぐに制度改正に着手してもらいましょう。

統計、道路交通、気象など省庁・自治体の持つビッグデータを開放して民間も活用する「オープンデータ」もビジネスとして成立することが期待されていますが、役所情報の著作権をフリーにできるのかなど、民間の活用を促す課題の解決が求められます。

仕事は、たくさんあります。どぞよろしく。