タブーが破れたデジタル教科書

デジタル教科書。2年前に協議会を作りましたが、そう簡単には動きません。だいいちデジタル教科書などとうたってはいますが、デジタル教科書は存在しません。法律上、教科書は「図書」と定義されていて、つまり、紙でないと認められないのです。いくらデジタルががんばっても教科書にはなれないのです。

早く教科書になりたい!暗い定めを吹き飛ばすには、教科書の法的な位置付け、検定制度との関わり、著作権法上の扱い、の3大テーマに取り組む必要があります。しかしそれも実証研究を待て、という理屈に政府から門前払いを食ってきました。民間企業としても政府の反発を恐れ、表向きは言い出しにくいことでした。ずっとタブーだったのです。

しかし、もう待ってられないよ。ぼくは新参者だから、叱られたっていいや。ということで、4月に「デジタル教科書実現のための制度改正」を求める政策提言を発出しました。機が熟していたんですかねぇ。その後、化学反応が起こりました。

民主党、自民党、公明党ともに、「前向きにやりましょう」、「基本法を作ろう」、温度差はありながら、基本的に好感触が返ってきました。政局がガタついていたせいもあるんでしょう。

すると霞ヶ関の反応も変わってきました。5月末には、首相以下全閣僚が出席する知財本部会合で、デジタル教科書の法的位置付け、検定制度、著作権の3大テーマを「検討する」という文書が正式決定をみました。

驚きました。タブーが破れました。これで入口に立ちました。しかも、政府文書では、実証研究と同時並行に検討を進めることも明記されました。それでもまだ「検討」するに過ぎません。これを「実現」するまでやらねばなりません。さあ、早くやろう。

しかし、過去20年以上この分野の研究が続けられながら、タブーを破る議論にならなかったのはなぜなのでしょう?今回ぼくはよくわかりました。要するにやる気がなかったんですよ。これに携わってきた全員に。永田町も霞ヶ関も学界もね。

ここはやる気のある人たちを募って、次のステージに進みたい。そこで、この機に「教育情報化ステイトメント」を公表し、賛同者を集めることにしました。ここです。

http://mirainomanabi.net/

多くの有識者が賛同を表明してくれています。東浩紀さん、猪子寿之さん、大崎洋さん、角川歴彦さん、川上量生さん、河口洋一郎さん、季里さん、佐々木かをりさん、佐々木俊尚さん、白河桃子さん、孫正義・孫泰蔵兄弟、田中孝司さん、津田大介さん、夏野剛さん、中山信弘さん、村上憲郎さん、茂木健一郎さん・・・。

さらに重要なことは、1月足らずで全国50近くの自治体の首長が賛同の声を寄せてきたことです。政府は動き出したというものの、予算を仕分けてしまうなど、全面的に信頼をするわけにはいきません。この動きは地方から、現場から盛り上げていく必要があります。

教育情報化は、東京で政府のドアをドンドン叩くのが第一ステージとすれば、やる気のある首長たちと全国で風を起こしていく第二ステージに入ったと言えるでしょう。