日本の学校を世界一のデジタル環境に

タブレットパソコンで「未来の学校」の絵を描いた。先生はみんなの絵を電子黒板で見せる。そして、実際に設計できそうか、意見を聞く。みんなが書き込む。話もする。どんな学校がいいの。正解は1つじゃない。考える。

授業の模様は家からも見られる。帰ると、家族がアイデアを出す。明日、学校で発表してみようと思う。 地域の人も見る。給食に意見のあるスーパーの経営者が未来の学校を考える授業に来てくれることになった。

そんな近未来はどうです?いずれ学校でも家庭でも、情報端末やデジタル教材を使って、これまでにない教育・学習ができるようになります。日本の子どもたちに豊かな環境を与えたいですよね?

日本の教育はヤバい。OECD生徒の学習到達度調査2009年度の結果は、数学的リテラシー9位、科学的リテラシー5位。2000年度に数学的リテラシーで1位、科学的リテラシーで2位を誇った日本の成績はガタガタと下がったんです。

日本は教育に対する公的支出の対GDP比がOECD諸国で最低レベルで、子どもたちが学習に使えるコンピュータなどの機材も恵まれていない状況にあります。不登校児童も増え続けていて、勉強に対する意欲も国際的にみて低いんです。

そこで情報化の出番。学力や学習意欲の向上に情報化が寄与するという評価はほぼ定着しています。ところが、日本は動きが遅かった。欧米は言うに及ばず、韓国やシンガポールは2013年にPC1人1台環境でデジタル教科書の本格利用を予定しています。日本の政府目標は2020年ですから、7年!も遅れてしまいます。

「100ドルパソコン構想」。世界中の子どもたちに1人1台、PCを与え、インターネットでつなげることを目的とするMITメディアラボがスタートさせたプロジェクトです。35か国、130 万人の子どもたちが使っており、ウルグアイではすべての子どもに配布されたといいます。実はこれは、アスキー創業者の西和彦さんと私のグループが、2001年にMITに提案したアイデアがきっかけとなったものでしてね。言い出しっぺの日本が遅れているんです。くやしい。

とはいえ、政府を頼ることもできません。フラフラしてますんでね。そこで2010年、民間でタッグを組み「デジタル教科書教材協議会」(DiTT)が設立されました。政府計画を5年前倒しし、2015年には「1人1台の情報端末でデジタル教科書が使えること」を目指しています。130社の会員企業が集い、ぼくが事務局長を務めています。

政府は20の小中学校を選んで実証実験を進めています。ぼくらDiTTもこれと連携しつつ13の学校プロジェクトによる実証研究を始めました。現場の先生がたと問題点や方策を話し合うのはもちろんですが、ぐっと力を入れるよう国会に掛け合ったり、やる気のある知事や市町村長と協議したりしています。

課題も山積しています。コストは誰がどう負担するのか? 学校現場は対応できるのか? 忙しい先生の負荷を増すことにならないか? 画一的な教育、無味乾燥な教育がはびこるのではないかという不安にどう答えるのか?---こういうのを全部つぶしていきます。

学校をワクワクしたデジタル環境へと進化させたい。日本の学校を、世界一のデジタル環境にしてあげたいと思います。