おまえこそ回し者だろう。

ぼくは政府やIT業界の仕事をよく引き受けるので、御用学者だとか業界チョウチン持ちとかいった批判を受けることがあります。御用だ!と。でもね、そういうこと言ってる人って、逆に霞ヶ関や業界や外国の回し者だと思うんです。

御用学者ってのは、政府や政権の意を受けて、その都合のいいように太鼓持ちをする輩のことですよね?ところが、ぼくはけっこう政府の逆張りなのです。

民主党政権が掲げた日本版FCC(通信・放送委員会)設立に真っ向から反対し、話が潰れるまで論陣を張りました。電波政策に対しても開放路線を主張、電波特区も推進しました。通信・放送融合法制も政府の意向を突き抜ける案で物議をかもしました。教育情報化は今も改革急先鋒で政府から目をつけられています。

つまり霞ヶ関からタンコブ扱いされることが多いのですが、至近距離に出かけてわあわあツバ飛ばしてるから、遠くからは御用っぽく見られるのかも。もちろん政府の正しい政策には乗ります。コンテンツ海外展開策の推進や情報公開構想には積極的に協力しています。

IT業界に近いという批判もあります。学者は研究や教育をしておれと。でも、逆じゃないですか? 日本は産学連携が弱すぎる。特にIT分野はそこが大きな課題です。基礎研究分野ならまだしも、ITのソフトや政策のようなジャンルで、学は産の役に立てずにどうする。

MITもスタンフォードもハーバードも、大学が揺りかごになって、技術もビジネスモデルも開発しています。GoogleもFacebookも学生が、大学が生んだじゃないですか。日本の大学はこの分野で何か生みましたか?

日本は産と官が遠いのも問題です。90年代半ばの大蔵省不祥事を受けて導入された公務員倫理法以降、特に官僚と産業界とのパイプが詰まっちゃって、霞ヶ関が情報不足に陥って的確な戦略が打てない。公務員倫理法はアメリカの陰謀ではないか!? そのパイプを開く役割を学が担うこともあっていいでしょう。アメリカの大学も結構そういう役割を果たしているんです。

慶應義塾大学に顔ぶれが偏っているのがいかんという批判も。IT分野では今のところ政府や産業界と慶應の距離が近いことは事実。だからといって、それを分散させるのは反対! そうではなくて、東大でも京大でも早稲田でも東工大でも関関同立でもいいので、他に高い山ができればいい。山脈になればもっといい。日本の大学は分散を考えてる場合じゃない。国際競争の中で負け組にならないように、筋肉を増強しなきゃいけない。

現役官僚の間も東京一極集中是正に反対していました。NYロンパリ、北京上海、ソウルにシンガポール。東京を弱めてる場合かよ。ぐずぐずするうち、案の定、日本は沈んでいきました。

脱官僚だってそうです。官が強すぎるから倫理法なんかで縛って平衡を保つ。違う。違う。国内的に強いセクターを弱めたら国際的に沈むだけ。そうじゃなくて、官僚=行政に比べ弱い立法と司法を強めることです。政治と裁判機能を強化すべきなんです。

何が強くて何が弱いか。何を伸ばすべきか。見極めが肝心です。