クールジャパンの次にくるもの

初夏にパリ郊外で開かれる「ジャパンエキスポ」の会場。おっさんどもが「涼宮ハルヒ」の主題歌をバックに踊りまくっています。女の子たちが日本の女子高生の制服をまとっています。日本では絶滅種のガングロもヤマンバもいます。

12年前に3000人の来場で始まったこの日本文化イベントには、2012年には4日間で20万人が足を運びました。マンガ、アニメ、ゲームの御三家は海外に定着しました。政府もコンテンツ産業に期待を寄せるようになりました。

ところがコンテンツ産業はあっぷあっぷしています。市場規模は拡大はおろか逆に減少しています。出版も音楽も映画も放送もみな苦しんでいます。広告も縮小傾向。御三家も苦戦。マンガもアニメもテレビゲームも国内市場は減少しています。

「クールジャパン」という言葉もよく聞くようになりましたよね?しかし海外で御三家が奮闘しているとはいえ、コンテンツ全体の国際競争力は高くありません。収入の海外・国内比は日本は4.3%で、アメリカの17%に遠く及びません。政府はアジア市場の収入を2020年までに1兆円拡大する意向ですが、道筋は見えていません。

ゲームもビジネスの主戦場はテレビゲームからネットゲームに移行し、日本は完全に出遅れました。GREEやモバゲーが巻き返してくれるでしょうか? 10年前にアジアでJ-POPというジャンルを確立したポップ音楽も、今は韓国のK-POPに地位を奪われています。初音ミクが巻き返してくれるでしょうか?

ただ、かつて取締りの対象でしかなかったマンガやゲームを政府が今や国の宝として扱っているのは、それが産業に元気を与えてくれるから。外部経済効果ってやつです。産業規模は小さくても、コンテンツがもたらすイメージやブランド力が他の産業を押し上げる効果を持つからです。

そこで求めたいのが複合クールジャパン策。コンテンツと、他業種との連携です。エンタテイメントに家電、ファッション、食といった日本の強みを組み合わせ、総がかりで海外進出を図ることです。コンテンツという文化力と、ものづくりという技術力をかけ合わせる。いずれも日本の強みです。その両方を国内に持ち合わせている国は多くない。チャンスなのです。コンテンツがらみの多面展開はこれまで、商品ごとや企業ごとの連携はみられたものの、産業を横断する面的な取組は乏しかったんです。

韓国メーカは政府の後押しもあり、K-POPや韓流ドラマの映像を組み込んで販売することでアジア市場での家電製品のシェアを伸ばしています。韓国旅行を題材にした映画をヒットさせてアジアからの観光客を引き寄せたりもしています。

「政府?いらんコトするぐらいなら黙っといてくれ。」

以前はコンテンツ業界はそう言い捨ててたんですが、韓国の官民攻勢を目の当たりにすると、そうも言ってられなくなりました。

アメリカでは日本のスナック菓子が静かにヒットしているそうです。菓子のおいしさと、かわいいパッケージデザインやキャラクターが受けていて、日本食品店に行かなくてもネットで手に入るようになった。製造力と文化力の融合がデジタル技術で新しい市場を開く可能性が見えます。

こうしたジャンル融合による輸出戦略がほしい。政府には異業種を連携させるコーディネイト役を期待します。タテ割り省庁の壁を超えて取り組んでください。身の回りに眠る日本の魅力を掘り起こし、ハードとソフトを組み合わせた総合力を発揮できれば、新しい成長エンジンの芽も見えてくるでしょう。