Suchmos~常識を軽く飛び越える感性と実力

1月25日、Suchmos(サチモス)のニューアルバム「THE KIDS」が発売になった。現時点(1月31日)で、すでに出荷数は13万枚を超えている、と聞いている。2015年4月に1stシングルリリース、を考えると、驚異的なスピードで人気を獲得している。

Suchmosは2013年1月に結成された6人組のバンド。メンバー全員が神奈川育ちで、バンドの顔であるボーカルのYONCE(ヨンス)は湘南・茅ヶ崎生まれ、当初は都内のライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動していた。SNSなどの拡散により、“Suchmosがかっこいい”という情報は瞬く間に広がり、その人気は全国規模となっていった。もちろん、ラジオの現場にもその情報は入ってきて、音源も手にした。自分が初めて耳にした時、“今、ここになくて、とても欲しかったもの、それが何か分かり、手にした”という、不思議であり、とても心地いい感覚を得た。

1stシングルである「Essence」にも収録されている「Miree(ミレー)」という曲にまず魅了され(残念ながらMVは制作されていないので、1stシングルもしくは1stフルアルバム「THE BAY」で聴いてほしい)、その後、1stアルバムで完全に心を掴まれた。この「GIRL feat. 呂布」のMVは本当に好きで、何か憧れのようなものまで感じる。彼らは、神奈川・湘南~自分たちのホームグラウンドにおけるライフスタイルをとても大事にしている。小さな頃から見てきた街、海。仲間との会話、集まって聴く音楽、感じる流行。そして手にしたマイク、楽器。最初はオモチャだったのかもしれない。仲間と奏でることによって、その心地よさがかけがえのないものとなり、共感した人たちがその音を求めて集まってきた、そんな感覚を、彼らの話を聞き、彼らの曲を聴いていると、覚える。アーティスト写真や、MV、ライブを観ると、“見せる(魅せる)ことへのこだわり”を強く感じる。ただ、本人たちと会うと、とても屈託のない若者たちである。ミュージシャン、バンドマン~アーティストはこうであるべきだ、という確固たる意志、これは誰かに押しつけられたものではなく、自分たちで見て、感じてきた結論だろう。だから、会っても、かっこつけない。とても自然だ。バンドマンである上での、必然として生まれたプロ意識だと思う。その、ある意味の“気楽さ”も、彼らの音楽においていいエッセンスになっているんじゃないか、と。

3rd E.P.に収録された「MINT」がFM802のヘビーローテーションになり、昨年10月からはYONCEがFM802のアーティストDJプログラム「MUSIC FREAKS」のDJを担当し、自分たちもより距離が近くなった。最近手に入れたもの、観たライブ、そんな話を、目をキラキラさせて話す彼を見ていると、こっちまで笑顔になる。そこには、ものすごいスピードで全国区になり、誰もが注目するバンドの顔、という感覚は感じられない。しかし、バンドはあきらかに、より大きなマスの方向へシフトしているな、と、今回のアルバムを聴いて思った。もう、小さな会場には観客は入りきれない。

FM802 RADIO CRAZYのライブの様子
FM802 RADIO CRAZYのライブの様子

大きな会場でより大きなグルーヴを生む音、それを自分たちのスタイルで作り上げた。素晴らしいアルバムだ。

ニューアルバムから、いち早く届いた曲が、この「A.G.I.T.」だった。そのイントロに驚かされた。今のポップミュージックの主流とも、ロックミュージックの王道とも、そして彼らが愛するジャズやヒップホップ、ブラックミュージックとも一線を画すサウンド。ある種の懐かしささえ感じられる、しかし何よりも新鮮な音。それぞれの曲にちりばめられた言葉は、主張にも聞こえるし、音の要素にも感じられる。その言葉たちも、6人の普段の会話から生まれる思いだったり、遊びだったりするのだろう。受け取り方を委ねられる感じも、またいい。何より、自然に体が動く。

ワンマンライブで、とてつもなく大きな会場に観客をいっぱいにしてステージに立った時、彼らはどんな形で発信し、表現するのだろう。自然に進化し、常識を軽く飛び越えてくる彼らに、期待しかない。そしてそれは、そう遠くはない、と思う。

Suchmos OFFICIAL HP

http://www.suchmos.com

(敬称略)

(写真:田浦ボン)

(協力:SPACE SHOWER MUSIC、FM802)