冨田ラボ〜ポップ・マエストロが若き才能たちと紡いだ珠玉の1枚

音楽プロデューサー、冨田恵一。数多くのアーティストにそれぞれの新境地となるような楽曲を提供し続ける彼の、“アーティストありき”のプロデュース活動に対して、“楽曲ありき”で、その楽曲イメージに合うボーカリストをフィーチャリングしていくことを前提として立ち上げられたセルフプロジェクト、それが冨田ラボである。過去に4枚のアルバムを発売していて、どれも素晴らしいのだが、今月30日、冨田ラボ名義の5枚目のアルバム、「SUPERFINE」が発売となる。

2013年の前作、「Joyous」では、原由子(サザンオールスターズ)、横山剣(クレイジーケンバンド)、椎名林檎、さかいゆうという4人をフィーチャーした、いわば“大人のファンタジー・テール”と称された作品で、それも傑作であった。今回、彼が選んだのは、今の音楽シーンにおいて輝きを放ちながら走る、若き才能たち。この人選が個人的にことごとく好きなメンバーで、そして彼らの才能を余すところなく引き出す冨田氏の作品に脱帽した。

今回のボーカリストは、

YONCE(Suchmos)

コムアイ(水曜日のカンパネラ)

坂本真綾

高城晶平(cero)

藤原さくら

城戸あき子(CICADA)

安部勇磨(never young beach)

AKIO

(※収録曲順)

の8人。それぞれ個々の活動で、今のシーンにおいての最重要メンバーと言っても過言ではないだろう。自分がDJを務めるFM802の番組でもよくOAされているアーティストたちである。FM802としては、毎週日曜日の午後10時から放送のアーティストDJプログラム、“MUSIC FREAKS“のDJ(YONCE・藤原さくら)が2人共フィーチャーされている、というのも誇らしい。局でも歴史のあるアーティストDJプログラムであり、次世代のミュージックシーンを担うであろうアーティストを局が選出し、依頼している。自分が選出したわけではないが、大好きな2人だし、やはり稀代のプロデューサーもこの2人に目を付けたのか、と思うととても嬉しい。ティーザーでは冨田氏の解説もあり、とても分かりやすく魅力がより伝わってくる。

「Radio 体操ガール feat.YONCE」の歌詞は、ラッパーのかせきさいだぁが書いている。彼と自分は同い年で、昔からのファンであり、自身の楽曲のリリックも独創的かつ叙情的で、楽しくて、大好きだ。歌詞をフィーチャーした特番を制作したこともある。「ミスターシティポップ」という楽曲も持つ、やはりポップさへのあくなき探究心を持つ彼の言葉遊びと、冨田氏のトラック、アレンジ、そしてYONCEの歌いさばき、が、見事である。ちなみに“Radio 体操ガール”という言葉は最初からかせきさいだぁが持ってきたものだそうだ。

同じく、“MUSIC FREAKS”で、昨年の9月までDJを務めた“cero”の高城晶平も歌っている。

こちらも、ティーザーで本人が語っている通り、自身のバンド“cero”とは違うアプローチではあるものの、冨田氏が感じた高城君の魅力を、冨田氏のやり方で引き出して、またあらたな輝き方を導き出していると思う。

前に、FM802のイベント、“MINAMI WHEEL 2016”のことをここに書いた時にピックアップした、“never young beach”の安部勇磨も素晴らしい。ティーザーでは、レコーディング風景の中で、あどけない笑顔を見せてくれているが、彼の声はどの世代も魅了するだろう。その世代を超える魅力をさらに生み出しているのが冨田氏のこのラボである。このアルバムを聴いて、リスナーはきっとそれぞれのアーティストへの興味が湧くと確信している。

冨田恵一氏(左)と筆者(筆者の番組ゲスト出演時)
冨田恵一氏(左)と筆者(筆者の番組ゲスト出演時)

このアルバムのプロモーションで、自分の番組に出演して頂いた。初対面だったが、想像通り、物腰の柔らかい、そして、宣伝、というよりも、このアルバムを作ることがどれだけ楽しかったかを話に来られた、そんな印象だった。制作時のワクワク感は、確実に音に反映されている。

年末のイベントシーズン、この1枚が、素敵な時間を演出してくれることは間違いない。

冨田ラボ オフィシャルHP

http://www.tomitalab.com

(敬称略)

(協力:ビクターエンタテインメント・FM802)