あなたの組織では「やりっぱなしの調査」によって「無気力」が広がっていませんか?

(写真:アフロ)

 会社・組織のなかでは、昨今、様々な調査が行われます。

 従業員調査、ストレスチェックの調査、エンゲージメントの調査・・・

 様々な調査が行われます。さまざまな部門が、勝手気ままに、調査を企画して、実施していきます。

   

 調査は、組織の状況を「見える化」します。なかなか見えにくい現場の状況を把握するためには、組織調査もまた必要なことかもしれません。

 しかし・・・「見える化」を行っただけで、組織は変わりません。

  

 調査の結果が、現場のマネジャーやメンバーに返され、その結果について話し合われ、何かが意志決定されたときのみ、現場が変わります。

 

 しかし、組織の調査結果の多くは、現場に「届いていない」のです。

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 組織調査で見える化されているのは、「メンバーの声(Voice)」です。面と向かっては、組織のなかで、なかなか口に出せない気持ちや真意を、調査の質問項目に答えることで、表明しています。

    

 しかし、組織調査は、多くの一般の従業員にとっては、突然ふってわいた「巻き込まれ事故」のようなものです。

  

 ただでさえクソ忙しい中、突然、人事や経営企画から、調査票がおくられてくる。10分ー15分の時間を使って、何とか回答する。答えないでいると、何度も催促がくる。

   

 くどいようですが、多くの従業員にとって、調査とは「巻き込まれ事故」であり、「暴力」のようなものです。調査を行う側は、まずは、このことを認識しておかなくてはなりません。

  

 しかしだからこそ、調査の結果は、しっかりと現場に「お返し」して、現場の改善に役立てなければならない。

  

「デリバラブル(価値をお届けすること)」の意識をもつことは、調査を行う側にとって、非常に重要なメンタリティかと思います。

   

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 僕は、人材開発・組織開発の研究者です。

 仕事柄、多くの組織の調査を目にします。

  

 今では、ずいぶん少なくなりつつありますが、組織によっては、たくさん行っている調査の結果を、ほとんど現場に返していない、組織もあります。つまり、「やりっぱなし」。やりっぱなし調査が横行している組織もある。

  

 そうした組織の組織調査の自由記述欄を見ていると、悲しい気持ちになってしまったことが何度もあります。

 そこには、従業員の「あきらめ」があふれている。

    

「今年も、調査を行っているが、この前の調査の結果は、どうなったんでしょうか。社内で共有されているのでしょうか?」    

「前回の調査で、現場の問題を書いたのに、何も変わっていない。どうせ、この調査に答えても、何も変わらない」

   

 ここで吐露されているのは「深いあきらめ」であり「学習生無気力(Learned helplessness)」とも形容できる状況です。

    

 一般に、ひとは、勇気をもって、自ら、外部環境に働きかけても、ネガティブな状況が何も変わらない、何らネガティブな出来事が解消されないときに、無気力を「学習」していきます。

    

 どうせ、調査に答えても、何も変わらない

 どうせ、調査に時間を使っても、働き方は改善しない

 もういいよ、どうでも。

 こんなものに答えても、どうしようもない。

     

 かくして「無気力」は「学習」されてしまうのです。

   

 そして、「学習性無気力」に陥ってしまった状態では、調査への正確な回答は臨めません。よって、経営から現場は、どんどん「見えない化」していきます。組織変革の一丁目一番地は「現場の見える化」です。「見えない化した組織」は、その大切な「きっかけ」を失います。

  

 調査結果を「現場に返さない」ということ

 その果てに現場に生まれる「学習性無気力」

 そして、現場は「見えない化」する

  

 これが、最も避けたい事態です。

  

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 今日は、調査結果を「デリバラブル(現場にお届けすること)」することの大切さを書きました。

  

 あなたが、突然受け取る調査の結果は、あなた自身に返っていますか?

  

 あなたの行った調査の結果は、しっかりと現場に返されていますか?

  

 そして人生はつづく