上司が変われば「職場の生産性」は変わるのか?

上司(写真:アフロ)

 会社は、いくつもの「異なる島」からできているのだとします。

 島は、それぞれ「課」と言われ、それぞれをマネジメントする「上司」がいます。

   

 島の間は、わずか「3メートル」くらいしか離れていないのかもしれません。

 しかし、島には、それぞれ「目に見ること」はできない「独自の文化とルール」がしかれており、

 島における「人々の暮らし」を決めています。

   

 島の文化、島のルールにもっとも強い影響力を与えているのは、島の主である「上司」です。

  

 島が異なれば、上司も異なります

 そして

 上司が変われば、島は変わります

  

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 つい、せんだって、ある文献に出会いました。

  

 Lazear et al(2015) The Value of Bosses. Journal of Labor Economics 33, no. 4 (October 2015): 823-861.

  

 という論文で、上司が職場に与える影響力を考察する論文でした。

  

 論文は、下記のように

  

1.職場の生産性に対して、上司が与える影響力は少なくないこと

  

2.もし仮に「下位10%の質の低いドサイアク上司」と「上位10%の質の高い上司」を置き換えるとすると、職場全体の生産性は1割程度高くなること

  

3.質の高い上司のもとで働く部下は、会社を辞める可能性が低いこと

  

 を明らかにしていました。

  

Replacing a boss who is in the lower 10% of boss quality with one who is in the upper 10% of boss quality increases a team’s total output by more than adding one worker to a nine-member team would. Workers assigned to better bosses are less likely to leave the firm.

(上記、論文要旨より引用)

  

  

 とりわけ2で指摘されている内容は、なかなかに香ばしい(笑)

  

「下位10%の質の低いドサイアク上司」と「上位10%の質の高い上司」を置き換えるとすると、職場全体の生産性は1割程度高くなる(笑)アチャパー!

  

 ドサイアク上司とキラキラ上司のつくりだす生産性は、かくのごとく異なるのです。

  

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 先ほどの論文の数字、皆さんは、それぞれいかにお感じでしたでしょうか?

 おそらく、ハダカン的には「そうだよな」と感じる方が多いのではないか、と思います。

 

 むしろドサイアク上司とキラキラ上司の差が「10%程度」というのは「思っていたよりも低めだな」と感じた方も多くいらっしゃるのではないか、と思いますが、いかがでしょう?

  

ドサイアク上司とキラキラ上司の差がどのくらいかって?

  

 そりゃ、

  

「月」と「スッポン」

「美女」と「野獣」?

「天国」か「北斗の拳的世界」

  

 くらいに「大きな差があるよ」と思われた方も、いらっしゃるのではないかと推察します。

  

 ただし、ここでは、その程度の是非について問うことはせず、「ドサイアク上司とキラキラ上司の職場の生産性には差があること」を、とりあえず「是」として話を進めましょう。

  

 しかし、問題は、ここまで「職場の生産性に差があること」はわかっているのにもかかわらず、企業の中には、

  

1.「上司になるとき」にきちんとしたマネジメントスキルを教えている例は、そう多くはない

  

2.「上司になったあと」に、 日々のマネジメントを振り返ったり、フィードバックを与えたりする機会を提供したりしている例は、そう多くはない

  

3.数回にわたり行動改善をうながしても、変わろうとしない「ドサイアク上司」を下げる仕組みが、あまり多くはない

   

 というのが現状かと思います。

 要するに「野放し」。

「北斗の拳的世界の野放し」

   

 そして、そのような場合、結果として

  

 プアなマネジメントの犠牲は、いつだって、一般従業員に及びます。

   

 生産性をあげたくても、あがらない

 どうしようもないので、長い時間働くことでカバーをする

 よって生産性がさらにさがる

 次第に疲れて、離職につながる

  

 もう一度、申し上げます。

  

 プアなマネジメントの犠牲者は、いつだって、一般従業員です。

 あべし(泣)

 オマエはもう死んでいる

  

  ▼

  

 今日は、上司が職場の生産に与える影響力についてお話をしました。

  

 皆さんは、ドサイアク上司のもとで働いたとき、どんな影響を受けていましたか?

 皆さんの知っている「ドサイアク上司」と「キラキラ上司」の生産性の差は、どのくらいありますか?

  

 島が異なれば、上司も異なります

 そして

 上司が変われば、島は変わる

  

 そして人生はつづく

(※この記事は、中原の個人ブログ「NAKAHARA-LAB.NET」からの再掲記事です)