イベントやワークショップなどを「開催する側の立場」におりますと、「古参プロ(Old Pro)問題」をいかに乗り越えるか、ということが、次第に、大きな問題になってくる場合がございます。
ここで「古参プロ問題」とは、あるイベントやワークショップやコミュニティに繰り返し参加していただいている常連さんが、あまりに「固定化」し、次第に、「新規参入者を抑制してしまう」までに「権力」を有し、実際にそのような権力的行動を新人に対して、とってしまうことをいいます。
端的に申し上げれば、「常連さんが権力をもって困ったちゃん化した」ということですね(笑)。
「困ったちゃん化した常連さん」を放置しておけば、その果てに広がる光景は「新規参入者の抑制と減少」。
はてには「コミュニティの質的劣化と衰退」ということになるのかな、と思います。
まぁ、ろくなことがありません。
くわばら、くわばら。
どうやら、「古参プロ問題」は、主催者側にとって、避けてはとおれない問題のようですね。
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誤解をさけるために申し上げておきますが、ここで大切なことは「常連さんになることや、常連さんの存在が悪いのでは1ミリもない」ということです。
むしろ、常連さんは、リピートしてお越しいただいているので、主催者・運営者側としては、まことに「ありがたい存在」です。心より感謝を申し上げてしかるべき存在ですね。ありがとうございます。感謝の言葉しかございません。
おそらく問題は「別のところ」に存在するのではないかと想像します。
そのひとつは「常連さん」に対する「主催者の対応の仕方」にあるのかな、と思うのです。
もっとも避けたいのは、
常連さんにだけ「特別扱い」をしてしまうこと
・常連さんにだけ「話しかけたり」する
・常連さんにだけ、ものを渡す
新規参加者を抑制するような常連さんの行動を「放置」してしまうこと
・経験者然として振る舞うことを許容する
常連さんにしかわからないような「身内の話題」の展開をしてしまうこと
・常連さんに「好みの内容」ばかりを展開してしまうこと
・コンテンツにある種の「排他性」が存在してしまうこと
かなと思いますが、いかがでしょうか。
自戒をこめて申し上げますが、このような行動を主催者がとっていたとしたら、そのイベントやワークショップにとってよい影響をもたらさないことが想定されます。
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今日は「古参プロ問題」について書かせていただきました。
ひとつだけ確かなことがあります。
新規参入者が確保できないコミュニティは、必ず、「衰退」します。
人には出入りがあり、自然減がありうる以上、必ず「衰退」します。
その理由は、コミュニティからの自然減が一定数あることに拮抗できないからですし、新陳代謝を失えば、コミュニティの内部に質的劣化をもたらすからです。コミュニティの質的劣化は、退出者の増加を招くでしょう。
僕は、いつも自分の関係するイベントで、冒頭、こう聴くことがございます。
「今日、はじめてご参加いただいた方は、挙手をお願いできますか?」
それは、今、コミュニティがどのような状態かを把握したいからです。
あなたのイベントやワークショップでは「古参プロ問題」が起きていませんか?
あなたのイベントやワークショップでは「衰退の序曲」がはじまっていませんか?
そして人生はつづく
(本記事は、中原淳研究室のブログ「NAKAHARA-LAB.NET」に掲載されていた記事を加筆・修正したものです)