僕の専門は「人材開発」です。仕事柄、ビジネスパーソンの方々などを対象にしたワークショップなどを行うことがあり、参加者の皆さんに「仕事の振り返り」を促させていただくことがございます。
「仕事の振り返り」とは、
1.いったん「メタ(俯瞰)」の立場にたって、
下界(シャバ)で自分がどのように仕事をしているのか、を見つめなおし(What?)
2.何がよかったのか、何がわるかったのかを考え、(So What?)
3.何が近い将来、何をするべきかを構想すること (Now what?)
です。
要するに、振り返りとは「What-So What?-Now What?」のプロセスを回すことです。
このような振り返りを通して、人は、仕事のうえでの成長実感を高めることができますし、業務のノウハウを蓄積することができます。
人材開発では、特に若い層に対するワークショップや研修で、この「振り返りのワーク」が繰り返されます。何度も何度も、振り返りの練習をしてみることで、「振り返りを習慣化」させることをねらうのです。
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ところで、この「仕事の振り返り」、簡単そうでいて、いざやってみると、なかなか難しいところもあるものです。
「最大の難しさは何か」と申しますと、「過去の出来事を思い出すこと」にあると僕自身は思っています。
別の言葉でいうと、
人は、日常の仕事の様子を「覚えている」ようで、覚えていない
ということにあります。
たとえば、僕が、ワークショップなどで
「先週、皆さんはどのように仕事をしていらっしゃいましたか? その様子を教えてください」
と申し上げるとします。
そういたしますと、参加者の方から、かえってくるお答えの中には、
「先週ですか、先週ねぇ・・・バタバタしてましたね」
という答えが、含まれることがあります。
「でた、バタバタ!」(笑)・・・このままでは振り返りができません。
困った僕は、こう言葉を続けます。
「先週はバタバタですか・・・本当にお仕事、大変だったんですね。でも、具体的に、何が理由でバタバタしていたんですか?」
とさらにうかがってみたりするのです。
そういたしますと、
「いやぁ・・・もう、バッタバッタで、何が何だか、わかんないですね」
というお答えがかえってきます。

(バタバタ人間の図 図工2作)
ワンセンテンスで申し上げますと、これでは「仕事の振り返り」ができません。
なぜなら、先ほどの3つのプロセスのうち、もっとも基礎になる「What?」が思い出せないからです。
「思い出すこと」ができない場合には、それ以降の「振り返りのプロセス」がまわりません。
それ以降に、「何がよくて、何が悪かったのか(So what?)」を考えることも、「これからどうするか(Now what?)」を考えることもできないからです。
かくして、バタバタしている人は、「仕事の振り返りができない=業務が効率化・合理化できない」ので、こういう帰結に陥ります。
'''いつも「バタバタ」している人は、いつまでたっても「バタバタ」する運命にある(泣)
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今日は、仕事の振り返りについて自戒をこめて書かせていただきました。
願わくば、早く力強く走り抜けるために、「仕事の振り返り」のタイミングを何らかのかたちで持ちたいものです。
あなたの周囲に「バタバタ人間」いませんか?
いつもバタバタしていて、いつまでたっても、バタバタしていませんか?
自戒をこめて
そして人生はつづく