新入社員の誰もが、この時期に感じる「心理あるある」!?

(写真:アフロ)

新年度です。

春といえば、恒例の話題、季節の風物詩は「新入社員」。

おそらく週明け4月3日以降には、まだ着慣れないスーツに身を包んだ新入社員の一団が、街を闊歩するのかなと思います。

僕の専門は「人材開発」

毎年この時期になると「新入社員に関する問い合わせ」が増えます。また、大学教員のひとりとして、これまで何人もの卒業生を「見送って」きました。

今日は、新入社員、ないしは、新たに組織で働き始める方々が、こんな時期に陥りやすい心理状態について書いてみたいと思います。彼らを応援したい気持ちから、そんな心理状態に陥っても、大丈夫だよ、と告げたい一心で。

これを読んでおけば、もし、そんな心理状態にさいなまれても、大丈夫。

だって、そうした気持ちに苛まれるのは「あなただけ」ではなく「みんな」がそうだから。

とりあえずは、「みんな、多かれ少なかれ、そんなもんなんだ」と明るく気持ちを切り替え、新たな組織に向かいましょう。

大丈夫だよ。

晴れぬ霧はない。

端的に申しますと、この時期、新たな組織に働き始める方々が陥りやすい心理状態は、以下の3つです。

1.入社前ブルー

2.リアリティショック

.日々の違和感

第一の「入社前ブルー(Entry blue)」とは、

これから入社する組織を目の前にして、心のどこかで「ためらい」を感じてしまうこと

をいいます。

「ほんとうに、このまま入社していいのかな」

「もしかして他に選択肢があったんじゃないかな?」

「自分のほんとうにやりたかったことは、この道じゃなかったのではないかな」

と、今の今になって、逡巡してしまうのですね。

要するに、このまま4月3日の入社式を迎えてもよいのか、一時的に自信が持てなくなるのです。これを「入社前ブルー」と僕は呼んでいます。

新入社員が置かれている状態は、学問の世界では「不確実性」とよばれています。

「不確実性」とは、要するに、右も左も前も後ろも、「何がなんだか、よく、わかんねぇ(笑)」という状態です。たとえていうなら、「真っ暗な洞窟」のようなものでしょうか。この洞窟に、人は、懐中電灯なしで飛び込んでいくことを求められます。

前も後ろも右も左もわからない状態は、さらにアイデンティティ的には「宙ぶらりんの状態」でもあります。そのような中では、人は「自分がわからなく」なり、、かつ、「自分がわからない自分さえも、わからなく」なります。

そして、一般に「宙ぶらりんの状態」に置かれたときに、人は、前に進むことをためらいます。

もし、皆さんが、明日から社会人になる人間なのとしたら、この数日間は、「宙ぶらりんの極地」みたいな時間です。

学生でも、社会人でもない

社会人でも、学生でもない

そうした「宙ぶらりんの状態」には、ついつい余計なことを考えてしまいます。その最たるものが「入社前ブルー」です。

「もしかして、もっとよい会社があったんじゃないかな?」

「本当はあっちにしておけばよかったかな?」

ついつい人は、「他に選択肢」を考えてしまいます。

大丈夫です、みんなそうだから。

しかしね、そんなとき、一寸だけ、地に足をつけて考えてみてください。

たいがいの場合、

「ほんとうの自分」は、「鏡にたったとき、目の前にいる自分」です。

「ほんとうのこと」は、たいてい「目の前にあること」です。

どうか性急、かつ衝動的な行動をとらないほうがよいことも多々あるような気がしますが、いかがでしょうか。

もし性急な行動をとりたくなったら、ちょっとだけ待って、この時期に同じように新たな組織に参入する同僚・同期に連絡をとってみてください。たぶん、同じような心理状態にあると思いますよ。「わかる、わかる」と盛り上がることもあるのではないかと思います。

第二に、リアリティショックです。

リアリティショックとは端的に申し上げますと、

「入社後に感じる、こんなはずじゃなかった!」という激しい衝動のこと

をいいます。

多くの場合、人は、新たな生活や役割に接するとき、ハネムーン期というべき「バラ色の日々」を夢見ています。しかし、そこには多くの場合「過大な妄想」が含まれています。そして「バラ色の夢」は、ごくごく短期間で打ち砕かれることになるのですね。

新しい生活の現実を知り、こんな気持ちが頭をよぎります。

「こんなはずじゃなかった!」

これが「リアリティショック」です。

僕は、人材開発の研究者として、数多くの組織調査を行ってきましたが、リアリティショックの調査項目は、いつも「n.s.(no significance : 統計的有意な差はない)」がつきまといます。

回答者をいろいろな属性(カテゴリー変数)にわけて分類して、リアリティショックの強さを調べるのですが、カテゴリー間に統計的有意な差はない、ということが非常に多いということです。 

ま、要するに何が言いたいかと申しますと、

「リアリティショックは、どんな人でも感じるものだ」

ということですね。

別の言葉で申しますと、

遅かれはやかれ、新たな組織に入ったときには、みんなリアリティショックを経験する

多かれ少なかれ、「こんなハズじゃなかった!」という気持ちに襲われる

ということですね。

だから、大丈夫です。

みんな、そんなものなので。

一時期、リアリティショックに襲われても、「ははーん、これがリアリティショックというやつかいな」と、いったんは笑い飛ばしましょう。そしてリアリティショックに出会えたことを喜びましょう。リアリティショックとは、新規参入者がみな経験する「通過儀礼」のようなものなのです。

いずれにしても、くれぐれも衝動的な対応をとらないほうがよいように思います。

リアリティショックにさいなまれたときは、気の置けない仲間と、ぜひ飲みに行って、「こんなはずじゃなかった自慢」をしてみてください。

大丈夫だよ。

みんな、そんなものだから。

三番目、それは「日々の違和感」です。

入社式をおえ、新入社員研修をこなし、現場配属がなされるころになると、この「日々の違和感」が、頭をもたげてきます。

「日々の違和感」とは、要するに、

「組織が暗黙の内にもっているルールや習慣に対する心理的抵抗」のこと

をいいます。

例えば、

うちの会社では会議で自由に発言して良いよ、と言われるけれど、発言しているのは「部長」だけ

とか(笑)

うちの会社では、廊下は左側を歩くことがきまっている

とか(細かい!)

組織には、そういう細々とした「顕在化しないルールや習慣」が存在しています。

組織の内部に長くいる人は、みな、それらが「アタリマエ化」しておりますので、とりたてて、「変な感じ」をもつことはありません。誰もがみな、そうした潜在的なルールや習慣に従順に従っているかのようにみえます。

しかし、組織に入ったばかりの人には、それが不思議で不思議でたまらないはずです。ときには、その違和感が高まって、最悪の場合、離職というケースもないわけではありません。

そんなとき、ぜひ僕がおすすめしたいのは、「違和感メモをつけること」です。

「違和感メモ」とは新入社員の皆さんが、自分の組織に入って感じる「日常の違和感」を、ほんの数文字でもいいので、メモ帳かスケジュール帳など、どこかに書きつけておくことです。毎日やっていれば、それがかなりの分量にもなるでしょう。

新入社員の方が、最初に感じた「違和感」をどこかにメモしておくと、あとで見返したときに結構面白いものです。違和感メモのもっともよいところは、「あとあと」見なおすと「自分の成長を実感できる」ということです。

「違和感メモ」に書かれていることは、おそらく3か月後から1年後には、まったく違和感を感じなくなるはずです。組織の中にいれば、組織に固有のルーチン(毎日繰り返されているもの)や文化は、毎日「アタリマエ化」しているからです。

しばらくして、そうした組織参入時の違和感を見詰めると、

へー、こんなこともわかんなかったんだ

と成長を実感できます。

また、1年たち、組織の中で働くことにくたびれ始めた頃には、初心を思い出すことができます。

社会では、成長実感は、他人がなかなか与えてはくれません。

社会には、先生はいません。

成長実感を感じる工夫をするのは「あなた」なのです。

今日は新入社員の皆さんを応援したい気持ちから、あえて、新入社員の皆さんが陥りがちな心理状態についてかきました。

なんだかネガティブなことばかりを書いたような気もしますが、そうしたネガティブな思いにさいなまれるのは、「みんなそうなんだ」「わたしだけじゃないんだ」と思っていただきたいと思います。

そして、組織新規参入したときに感じるストレスや違和感を俯瞰的に見る目をもっていただきたい。

そして願わくば、そうしたネガティブな気持ちに「耐える」のではなく「笑い」に変えてほしいのです。

おー、これが俗にいう、入社前ブルーか。

あーあー、来たよ、来たよ、リアリティショックが。

おっと、やべーぜ、今、日々の違和感感じてるかも

という感じで(笑)、どうか、悟ってください。

また、こうした気持ちは、社外の気の合う友人ーできれば同じ新入社員の境遇にある社外の友人などと共有すると、結構盛り上がるのではないかと思います。

へー、オマエの会社、変じゃねー

とか

うわっ、やべー。おれ、オマエの会社の方がいいな

とかね(笑)

僕は今年で41歳になりますが、「先輩風をビュービュー吹かせていただくこと」を、一瞬だけお許しいただけるのとしたら、こんな一言を皆さんにお贈りしたいと思います。

あのね、組織なんて、どこだって、たいした変わらないから(笑)

組織なんて、どこ行ったって「変」。

新たな組織に入って、「隣の芝生」が青く見えたときには、ぜひ、一寸だけ思いとどまってみてください。

新たな組織でのご活躍、どうか願っております。

教室を出たら、あとは「事を為すのみ」

心ゆくまで暴れなさいな

毎年「見送る」側にいるひとりの教員としては、それが一番うれしいことです。

そして人生はつづく

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