「ビジョン」とはそもそも何か?:「うちの社長のビジョン不足」を嘆く前に!?

(写真:アフロ)

ビジョン」という言葉があります。組織、経営、管理のいろいろな局面で、この言葉は用いられます。

 やれ、

 「うちの組織にはビジョンがない」

 「うちの社長は明確なビジョンをもってない」

 「あの部長には、ビジョンがない」

 などのように・・・。

 しかし、一般に広く用いられている、この言葉も、わかるようでいて、わからないところがあります。

 皆さん、そもそも「ビジョン」とは何ですか?

 皆さんだったら、ビジョンという言葉の意味するところを、どのように説明なさいますか?

 今日はこのことについて、先人達の言葉を引用させていただきながら考えてみましょう。

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 このことを考えるとき、先だって、僕の授業にご登壇いただいた、サイバーエージェント人事統括本部長の曽山哲人さんのお言葉が非常に参考になります(お忙しいところ感謝です!)。曽山さんは、講義の中でビジョンのことをこう定義なさっていました。

 ビジョンとは「映像(ビジュアル)をみせること」なんです。

 ビジョンを「未来をみんなの目の前にビジュアライズすること」と考えたら、わかりやすいのではないでしょうか?

 さすがは多読家の曽山さんですね。

 もともと大学時代は、ビジョンあふれる著名なリーダーの演説の分析をなさっていたそうですが、こんなところにも、その影響が垣間見えます。ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、ビジョンの語源とは「Vision : 見ること」であり、そこから派生して、ビジョンには「視野」とか「先見」とかいう意味が存在します。

 しかし、いろいろな意味はありますものの、

 ビジョンの本質とは「見ること」であり「見せること」です。

 つまり「目に見えること」「可視できること」です。

 こう考えると、「ビジョンを示す」とは

「メンバーの心に、未来の映像を見せること」

 です。

 別の言葉を使っていうのならば、

「メンバーの心に、未来はこうなるんだな、という映像が浮かぶ状態をつくる」

 といってもいいかもしれません。

 だから「ビジョンを示す」とは「言葉を重ねること」でも、「語気をつよく語ること」でも、「将来目標をストーリーテリングすること」でもありません。それらは「手段の一つ」かもしれませんが、「目標」ではありません。

 もっとも大切なことは、どのようなメディア、どのような手段を用いたとしても、

「メンバーの心に未来の映像を浮かばせること」

 

 です。

 ここで大切なことは、ビジョンが「映像である」ということの根源にかかわってくることです。それは「時間軸」の存在です。映像は「静止画」と異なって「時間軸」が存在しているのですね。よって、ビジョンにも「時間軸がなくてはなりません」よきビジョンとは「静止画(スナップショット)」ではなく、「時間軸を含む映像」なのです。

 つまり、ビジョンをつくるとは

「メンバーの心に、ポジティブな方向に変化していく未来の映像をつくりだすこと」

 を意味するのです。

 いかがでしょうか? 今日は曽山さんの秀逸な定義に学ばせて頂きました。この場を借りて心より感謝いたします。

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 今日は「ビジョンを描くこと」について書きました。

 自戒をこめて、よいビジョン、よい映像を描きたいものです。

 あなたの会社の経営者は「ビジョン」を描いていますか?

 あなたはメンバーに「ビジョン」を描けていますか?

 そして人生は続く

(本記事は、中原の個人ブログ「NAKAHARA-LAB.NET」に掲載され2014年9月19日の記事に、加筆・修正を加えたものです)