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19年W杯開幕戦、日本の対戦相手はルーマニアが有力の欧州1位に決定!

永田洋光スポーツライター/週刊メルマガ『ラグビー!ラグビー!』編集長
2年後の11月2日がW杯決勝戦! ウェブエリス杯を手にする勝者は?(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」

そんなキャッチコピーが発表されたばかりの2019年ラグビーW杯日本大会の試合日程と会場が発表された。

19年9月20日、東京スタジアムでの開幕戦に臨む日本代表の対戦相手は、ルーマニアが有力視されるヨーロッパ地区予選1位勝ち抜きチームに決まった。キックオフ時間は19時45分だ。

これまで日本が初戦にどこを迎え撃つのか注目されていたが、今年6月に33―21と快勝した相手を選んだ形だ。

日本より格上のチームを開幕戦の相手に指名して全力を挙げて叩きに行く――というリスキーだが魅力的なカードではなく、勝利が見込める相手となった。これは15年W杯開幕戦で、ホストのイングランドがフィジーと対戦したパターンと同じで、これまでの大会の流れを踏襲している。

かつて91年W杯ではホストのイングランドがニュージーランドと開幕戦でガチンコ勝負を挑み、そこで敗れた歴史がある。ただ、このときのイングランドは、それ以外の試合にすべて勝って決勝戦に進出。オーストラリアと死闘を繰り広げ、敗れはしたものの、開催国の面目を施した。95年の南アフリカ大会も、同国代表が、前回優勝のオーストラリアと開幕戦で対戦し、このときは前半終了間際に見事な逆転トライを奪ってそのまま勝ち切り、アパルトヘイト後の混乱に揺れる南アフリカ社会を1つにする劇的な効果をもたらした。

99年は、ホストのウェールズが、それまでW杯で1勝しか挙げていなかったアルゼンチンと対戦。それ以降、ホストが同プールの強豪と激突するパターンは消えたように見えたが、07年にはホストのフランスがやはり開幕戦の相手に指名されたアルゼンチンに12―17と敗れた歴史もある。このときのフランスは、準々決勝でニュージーランドを破って4強へと勝ち上がったが、宿敵イングランドに敗れて3位決定戦に回り、アルゼンチンとまたもや顔を合わせて10―34と敗れ、4位に終わった。

だから、開幕戦の対戦相手にアイルランドやスコットランドがこなかったからといって、日本の勝利が約束されたわけではないし、ルーマニアがヨーロッパ地区予選を勝ち上がる仮定に立てば、6月に見たルーマニアのバックス勢――アイランダー系の選手が多かった――が大きな脅威へと化ける可能性もある。日本とルーマニアは、通算成績5勝1敗と日本が勝ち越しているが、一発勝負はやはり怖い。

それでも、日本代表が開幕戦に快勝して勢いをつけ、そのままグループリーグ突破へひた走って欲しいというのが、すべてのラグビーファンの切なる願いだ。

アイルランドとは28日に、スコットランドとは10月13日の最終戦で対戦!

そのジャパンの日程だが、第2戦は静岡のエコパスタジアムでプールでもっとも強いと目されるアイルランドと、28日に対戦する(16時15分キックオフ)。

これまで大会のたびに変則日程に泣かされ、15年大会でも南アフリカ戦から中3日でスコットランドと戦うハメになったジャパンだが、今回は中1週間と余裕たっぷりの日程だ。しかも、アイルランドは、22日にスコットランドとの激突を終えてから中5日とインターバルが短い。これぞ自国開催のメリット、ということだろう。

ジャパンは、アイルランド戦から中6日の10月5日に、愛知県の豊田スタジアムでヨーロッパ地区予選2位チームとサモアの勝者(サモアが有力)を迎え撃つ(19時30分キックオフ)。

そして、最終戦が、中1週間で迎えるスコットランド戦だ。

こちらは、決勝戦の舞台ともなる横浜スタジアムで、19時45分キックオフ。

理想的には、この試合までにアイルランドも含めて3連勝でプール突破を決め、前回大会で唯一苦杯を喫したスコットランドに雪辱したいところだが、果たして目論み通りに勝ち抜くことができるのか。

その他のグループリーグ注目カードは、なんと言っても開幕戦の翌日(21日)に行なわれるプールBのニュージーランド対南アフリカ戦だ(横浜スタジアム 18時45分キックオフ)。

日本がプールAを勝ち抜けば、1位通過の場合はこの試合の敗者と、2位通過の場合は勝者と、対戦することがほぼ決定的だからだ。

自国開催のアドバンテージを生かして余裕のある日程に恵まれた日本が無事にプールAを勝ち抜き、南半球の強豪と準々決勝で真剣勝負を繰り広げられるか。

いよいよ「一生に一度」のW杯がリアルになってきた!

 

 

スポーツライター/週刊メルマガ『ラグビー!ラグビー!』編集長

1957年生まれ。2017年に“しょぼいキック”を連発するサンウルブズと日本代表に愕然として、一気に『新・ラグビーの逆襲 日本ラグビーが「世界」をとる日』(言視舎)を書き上げた。出版社勤務を経てフリーランスとなった88年度に神戸製鋼が初優勝し、そのまま現在までラグビーについて書き続けている。93年から恩師に頼まれて江戸川大学ラグビー部コーチを引き受け、廃部となるまで指導した。他に『スタンドオフ黄金伝説』(双葉社)、『宿澤広朗 勝つことのみが善である』(文春文庫)、共著に『そして、世界が震えた。 ラグビーワールドカップ2015「NUMBER傑作選」』(文藝春秋)などがある。

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