躍動するドイツの攻撃。オランダに4-2で勝利【国際親善試合】

メンディー・イスラッカーの得点を喜ぶドイツ女子代表(DFB)

攻撃の起点となるマロジャン

先週から女子も代表ウィークということで、各地で試合が行われた。ドイツ女子代表はオーストリア、オランダと2試合を行いともに勝利を収めている。今日(現地時間25日16時10分)行われたオランダとの一戦は、リオ五輪が終わって監督が交代してから4試合目。ドイツの布陣は4-4-2。対するオランダは4-3-3。前半立ち上がりからドイツがボールを支配し、マロジャン(リヨン)を中心に良い攻撃を組み立て再三チャンスを作った。

先制ゴールが生まれたのは前半21分。マロジャンがペナルティエリア外からドリブルで仕掛け相手を引きつけ、左サイドでフリーになったイスラッカー(フランクフルト)にパス。これをイスラッカーが落ち着いて決め先制。27分には、マロジャンがペナルティエリア外でワンタッチで180度ターンして前を向き、そのままミドルシュートを放ち、バーを直撃。跳ね返ったこぼれ球を再びイスラッカーが決め2-0。38分にPKを与え失点するものの、その後も立て続けに40分にミッターク(ヴォルフスブルグ)、44分にケンメ(ポツダム)がゴールを決め前半を4-1で折り返した。

攻撃の組み立て方に変化

リオ五輪とは全く別のサッカーを展開するドイツ。リオ五輪ではクロスボールやロングボールを単純に放り込む攻撃が多く見られたが、この試合ではワンタッチプレーや少ないタッチでのプレーが増え、3人目の動き出しや連動性が多く見られた。攻撃時、FWからDFまでの縦の距離感が縮まったことにより中盤の距離感が良くなり、センターバックから中盤を経由してFWに縦パスを入れたり、センターバックから直接FWにグラウンダーのボールを供給したりと、DFラインからしっかりとボールを動かしながら縦パスをタイミング良くいれ効果的な攻撃を行っていた。

さらに、FWに縦パスが入った時のサポートのが徹底して行われていた。FWに当てて落として3人目の動き、またはFWが当てられたボールに対してそのまま落とすのではなくダイレクトで斜め前方向にボールを供給し、サイドのスペースを突破していた。斜め前方方向へのパスの供給が多いため、オランダは対応に苦しんでいた。そして、成功確率の高いプレーを選択するようになり、以前のような無謀なチャレンジをしなくなったことも大きな変化として見られた。サイドバックも積極的に攻撃参加を繰り返すので、オランダは前半で修正できず押し込まれる展開となってしまった。

技術力と認知力の高い選手を各ポジションに配置

この試合における監督の采配で特筆すべきは、まずは各ポジションに技術力と認知力の高い選手を配置しある程度攻撃をパターン化したことだろう。多少プレッシャーをかけられても慌てずにしっかりとボールを丁寧に扱っていたので、簡単にボールを失うシーンは少なく、再現性の高い攻撃が見られた。さらに、自分以外の味方や相手、そしてスペースを認知する力が高い選手が多かったため、リオ五輪ではあまり見られなかった予測してプレーする動きが増え、それにより連動性が生まれ、少ないタッチ数で相手のラインを突破するシーンを多く創り出せていた。

センターバックの質の高いボール供給

ドイツのビルドアップを質の高いものにしているのは、センターバックの影響がかなり大きい。リオ五輪を最後に代表を退いたセンターバック2人に代わり、センターバックの一角を務めるのは23歳のデーマン(ホッフェンハイム)。恐らくドイツ代表のDFの中で縦パスを供給する能力に最も優れた選手だろう。相手にパスコースを読ませずに縦パスを通すので、ボールを受けた中盤やFWは相手のプレッシャーをまともに受けずに余裕をもって前を向いたり、次のプレーを選択することができていた。

縦パスを出す際、自分が出したいコースに自分のお腹を向けた状態で出すとコースは読まれやすくなってしまうが、見せずに出すと相手はどこに出すのか読みにくい。これは相手の逆をとるときに使う基本的な技術だ。こうした縦パスを供給できる選手がセンターバックに入ったことで、ドイツのビルドアップは抜群な安定感を生み出している。

規律の中の自由度が高くなった後半

前半は、各選手が与えられたポジションでの規律を守り、しっかりと役割を果たしていたことによりゴールが生まれ、相手にほとんどチャンスを作らせなかった。しかし、後半から選手交代が行われていくにつれ、規律の中の自由度が高くなってしまい、組織として効果的に機能しなくなってしまった。監督は試合後のインタビューで「多くのことを試したかった」と言っていたことから、後半の出来に関しても予想内だったのだろう。自分たちのミスから後半1失点をしてしまったことも含め、後半はパスミスが多かったが試合全体に関しては「満足している」と答えている。

規律を守りその中にあるわずかな自由度の中でプレーできる選手が多いと、組織としてしっかりと機能する。この試合で唯一自由を与えられていたのはマロジャン。これは、技術力に優れ発想力があり、得点力の高い選手に与えられる特権。現にこの試合も試合をリードし、2アシストの活躍を見せている。

リオ五輪から少しずつメンバーが代わり、以前とは違ったクオリティの高さを見せるドイツ。来年オランダでおこなれるヨーロッパ選手権に向けて着々と準備が進んでいる。