リトルなでしこの躍進にみる日本人の強み

日本を準決勝で苦しめたスペイン代表。スペインのこれからの発展に目が離せない。(写真:ロイター/アフロ)

2大会連続で決勝進出を決めたU-17女子日本代表

現在ヨルダンで行われている U-17 FIFA女子W杯。日本は、前回大会王者として挑む初めての大会であり、今大会もその強さは顕在だ。グループリーグ当たったガーナ、パラグアイには危なげなく快勝。3戦目のアメリカ戦では先制点を許したものの、しっかりと逆転勝利を収めている。

さらに、準々決勝ではイングランド、準決勝ではスペインを共に3-0で破り、19得点2失点で決勝進出を果たしている。今夜決勝戦が行われるが、相手は昨年のアジアカップ決勝で0-1で敗れた北朝鮮朝鮮民主主義人民共和国。アジアで敗れている相手だけにその時の悔しさは大きいだろう。GKの田中桃子は自身のTwitterで「このチームで最後の試合!もう勝つしかないよ!体張って、気持ちで勝つ!!!!」と意気込んでいる。

日本の技術力と攻撃時における連動性の高さが光る

17歳以下という年代では体格やスピードといった部分での差があまりなく、FW植木理子(日テレ・メニーナ)は持ち前のスピードを活かして相手DFの背後へ抜け出し独走したり、ドリブルでハーフライン手前から持ち込んでミドルシュートを決めたりと、この年代においては卓越した能力を発揮している。また、世界的にみても身体がまだまだ未発達であるがゆえ、スピードを上げて止まることが出来ずに倒れてしまったり、守備で対応しているときに足がもつれたりと、自分の身体をコントロールできていない場面が多く見受けられる。

さらに、全体的にみても守備のオーガナイズ力が低く、コーナーキックにおいては空間把握力が低く山なりの滞空時間のあるボールに対応できずに失点してしまったり、ボールに喰いついて簡単にスペースを空けてチャンスを与えてしまったり、相手を認知できずにボールウォッチャーになりやすい傾向がある。準々決勝の日本の1得点目となったイングランドの対応はその一つで、イングランドは5vs3という数的優位な状況にも関わらずボールホルダーに対して5人がボールウォッチャーになり、右サイドから上がってきた選手への対応が遅れ、DFラインとGKの間に質の良いボールを入れられて失点を招いてしまった。

そういったスピードや対格差がなく基本的な守備能力が不足していると、技術力の高い方が優位になり日本の良さが発揮しやすい。技術力が高いと余裕が生まれ、状況を認知しそれを的確に判断する力の質と、そのスピードにも差が生じる。アメリカ戦の2点目のシーンはその象徴で、ペナルティエリア手前の右サイドから、前線からタイミングよく中央の空いてるスペースに落ちてきたMF宮澤ひなた(星槎国際高湘南)に横パスが入り、それに対して相手DF2枚が喰いついてきてたことを宮澤はしっかりと認知し、ワンタッチで縦パスを入れ、相手DFラインに生じたギャップを利用しゴールを演出した。

守備力と日本の技術力が世界のサッカーを進化させる

今大会における各国の守備力は決して質の高いものとは言い難いが、その中でも日本の技術力の高さと連動性は評価に値すると思う。それくらいこの年代で攻撃時においては圧倒的な差を示している。ただ、グループリーグ3戦目のアメリカ戦では相手のゴールキックの処理を誤り、相手のスピードを活かされ失点。準決勝のスペイン戦では、サイドから崩され全体的にボールウォッチャーになってしまい相手に決定的なチャンスを作られる場面が何度かあり、シュート数もこの試合だけ唯一相手が上回った。

女子サッカーは、男子に比べると守備戦術において大きな遅れをとっている。ただ、リオ五輪においては、スウェーデン、カナダ、オーストラリアといったチームが組織的な守備をしてドイツやアメリカを苦しめたように、守備にフォーカスがされ始めているのも確かである。今夜(深夜2時キックオフ)行われる決勝戦では、若き日本代表選手達がこれからの日本の課題、そして未来への可能性を示す戦いをしてくれることに期待したい。