【第2章: 続・育成編】サッカー: 2016ナショナルトレセンU-14前期メンバーの誕生月は!?

近視眼的にしか見れないと育成の本質を見失ってしまうのでは!?(写真:アフロ)

2016ナショナルトレセンU-14前期メンバーが発表

 5月26日(木)から29日(日)にかけて、全国3地域にわかれて実施されている「2016ナショナルトレセンU-14前期」の参加メンバーが日本サッカー協会HPで公開されている。本稿では引き続き、メンバーの誕生月に着目してみた。

そもそもナショナルトレセンの目的は!?

調査結果を見る前に、ナショナルトレセンU-14の概要や目的を見てみよう。日本サッカー協会の公式HPには、以下のように記載されている。

概要:

個の育成の充実を図るトレセンの役割は高いレベルの指導・環境と選手同士の刺激による活動から得たものを自チームに還元していくことや指導者へのJFAの発信機会として重要度を増している。

そこで、選手育成・強化の観点から、より多くの選手に質の高いトレーニング機会を与えるために、前期は東日本、中日本、西日本の3地域開催とし、後期は地域対抗戦を実施する。

目的:

  • 日本サッカーの強化・発展のため、優秀な選手の発掘・育成を図る
  • 全国の選手・指導者の交流を図る
  • 選手・指導者のレベルアップを図る
  • トレセン(トレーニングセンター)制度の充実・発展を図る
出典:日本サッカー協会HP

また、トレセン概要では以下のような文面が確認できる。

トレセンでは、チーム強化ではなく、あくまでも「個」を高めることが目標です。世界で闘うためには、やはり「個」をもっともっと高めていかなくてはなりません。レベルの高い「個」が自分のチームで楽にプレーができてしまって、ぬるま湯のような環境の中で刺激なく悪い習慣をつけてしまうことを避けるために、レベルの高い「個」同士を集めて、良い環境、良い指導を与えること、レベルの高い者同士が互いに刺激となる状況をつくることがトレセンの目的です。テクニックやフィジカルの面から、その「個」のレベルに合ったトレーニング環境を提供することは、育成年代において非常に重要な考え方です。

出典:ナショナルトレセン概要(日本サッカー協会公式サイトより)

文中には、レベルの高い「個」を集めてとあるが、そのレベルを判断する材料はテクニックやフィジカルと読み取れる。ただ、実情は誕生月の偏りに起因するフィジカル面に偏って選ばれているのかもしれないことが、次に示す調査結果からも示唆される。

やはり誕生月には大きな偏りが見られた

次に示す図は、ナショナルトレセンU-14前期に参加した217名の誕生月をグラフにまとめた。ちなみにU-14とあるが、メンバーにはU-14とU-13が同程度含まれている。U-14とU-13を混合して選定した形ではなく、各年代を分けて選定した点では少し評価できる。

図1: ナショナルトレセンU-14前期参加メンバー(n=217)の誕生月(1)
図1: ナショナルトレセンU-14前期参加メンバー(n=217)の誕生月(1)

さて、グラフを見てすぐにわかるように、4月と5月生まれが圧倒的に多く、11月から3月生まれが圧倒的に少ない。予想通り、これまでに公開した【序章: Jリーグ編】【第1章: 育成編(U-15)】と同様な特徴が見られた。では、もう少し、データをまとめて相対的年齢効果の差をわかりやすく整理してみよう。

図2: ナショナルトレセンU-14前期参加メンバー(n=217)の誕生月 (2)
図2: ナショナルトレセンU-14前期参加メンバー(n=217)の誕生月 (2)

上のグラフは、4月から6期に分けて(ふた月をまとめた形式で)誕生月別の人数を集計したものである。圧倒的に4月+5月生まれの人数が多いことが一目瞭然だろう。その差は、6・7月、8・9月の2倍強10・11月、12・1月、2・3月の5倍強と、綺麗な降り階段となっている。余計な説明はこれ以上不要だろう。

低年齢でさらに顕著な誕生月の偏り

せっかくなので、ナショナルトレセン参加メンバー(n=217)と【第1章: 育成編(U-15)】で取り上げたプレミアカップの出場メンバー(n=300)と、誕生月ごとの人数割合を比較してみよう。

図3: プレミアカップU-15の誕生月比較
図3: プレミアカップU-15の誕生月比較

これを見てもナショナルトレセン前期参加メンバーの4月と5月生まれの人数割合は、プレミアカップU-15よりもナショナルトレセンU-14の方が多く、相対的年齢効果が低年齢層でさらに顕著となっていたことが確認された。特にナショナルトレセンU-14の5月生まれの割合は飛び抜けている。そして、11月以降3月生まれの選手は圧倒的に少ない。つまりこの時点で育成(強化)のレールから外されてしまっていることに改めて危機感を抱かずにはいられない。

「前期」と「後期」の意味を見直すと面白いかも!?

現在、リオオリンピックへの出場が決まっているU-23代表チームがトゥーロン国際大会に出場しているが、苦戦を強いられている。その要因の一つに選手層の薄さが挙げられるだろう。その選手層の問題は、U-14(加えてU-13)からの特定の誕生月に偏った選定に遡って解決する必要があるかもしれない。さらに言えば、今回がナショナルトレセンU-14前期であれば、後期は前期から絞り込むのではなく、前期を4月から9月生まれ中心とし、後期を10月生まれ以降の選手にプレーの機会を与えるべく制度を見直しても良い気がする。より多くの才能を秘めた若い選手にチャンスを与えることこそが育成のスタートでは重要なのではないだろうか。