【第1章: 育成編】JFAプレミアカップ2016でさらに顕著な誕生月の偏りに迫る!!

そもそも育成の狙いは勝つことなのか? 可能性を広げることなのか?(写真:アフロ)

育成年代入口の大会(JFAプレミアカップ2016)で登録選手情報を調べてみると・・・

GW後半の3連休、J-GREEN堺(大阪府)ではJFAプレミアカップ2016が開催されている。今日、5月5日の決勝戦に駒を進めたのは、清水エスパルスジュニアユースと鹿島アントラーズジュニアユース。この大会、全国の各地域で予選大会が実施され、晴れて本大会への出場権を獲得した12チームが集い、この年代での国内トップレベルの戦いが繰り広げられてきた。そもそも、この大会に出場可能なのは「2001年(平成13年)4月2日以降に生まれた選手」である。つまり中学3年生以下の育成年代が対象となり、チーム名にはジュニアユース(JY)またはU15(15歳以下)という表記がチーム名の後に記載されることが多い。ざっと言ってしまえば中学生のクラブ全国大会である。今回出場する12チームのうち10チームはJリーグに所属するクラブである。つまりは将来トップチームで活躍を見越して選抜されたエリートたちだ。本稿では、日本サッカー協会(JFA)公式サイトからプレミアカップ2016出場チームの登録選手(n=300)の誕生月を抽出し、2016年4月2日時点(2016年度の学年)の年齢を含めてデータを整理した。前回の【序章: Jリーグ編】のデータとも比較しながら、育成年代の入口の時点で起こっている誕生月の影響について触れておきたい。

育成年代でも見られた誕生月の偏り

概ね予想はしていたものの、下の図1のように4月から1月にかけて綺麗な下り階段のグラフが描かれると多少がっかりもする。4月生まれは最多の52名(17.3%)で、最少だった3月生まれの7倍以上となっていた。このようなスポーツの相対的年齢効果は1985年頃に世界的に調査が進められ、日本でも2000年頃には盛んに研究が進められていたが、学校教育法にも関わる大きな社会システムに対して文化的な解決策を見出せていないのが現状のようだ。

図1: プレミアカップ2016出場選手(n=300)の誕生月人数(年齢別)
図1: プレミアカップ2016出場選手(n=300)の誕生月人数(年齢別)

多少の違和感が残る誕生月の偏り

さらに不思議に思うことがあった。もう少し詳しく年齢別に見た際、主戦力となっている14歳(中3)と13歳(中2)で、同年齢の中でも4月から3月へと誕生月の人数が減少傾向である。つまり14歳(中3)の3月生まれが6名に対して、13歳(中2)の4月生まれが15名と倍以上になることに、少なからず違和感を覚えた。相対的年齢効果を受け入れたとして、この3学年、いや、せめて2学年で構成されるチーム2016を適切に編成するのであれば、14歳と13歳の切り替えではなく24か月を連続するものとして捉えるほうが、勝つことにつながるのではないだろうか。これはプレミアカップ2016で各チーム25名の登録選手数と、各学年で選抜している人数上限とのミスマッチかもしれないが、この点は、複雑な問題がありそうなのでここで深掘りするのはやめておきたい。

Jリーガーよりも顕著な誕生月の偏り

今回のプレミアカップ2016を前回の【序章: Jリーグ編】と合わせてみると、下の図2のような結果となった。

図2: JFAプレミアカップ2016とJリーガーの誕生月人数の比較
図2: JFAプレミアカップ2016とJリーガーの誕生月人数の比較

プレミアカップ2016では、4月から6月でJリーガーよりも高い割合となっていた。一方で、11月から3月では低い割合になっていた。つまり、育成年代のプレミアカップ2016の方が相対的年齢効果が顕著であることを示している。確かにプレミアカップ2016に出場しているチームのセレクションは小6時に実施されるとすれば、その時点で、4月生まれは3月生まれに対して約9%ほど実年齢で上回ることになる。セレクションの結果は明らかに4月に偏るだろう。その後、ユースカテゴリーで一時的に期待はされたが早熟的な選手は淘汰され、Jリーグのような誕生月人数の割合に落ち着くのだろう。それ以上に嘆くべきは、この時点で11月生まれ以降の子どもたちの可能性が奪われていることだろう。

スポーツで解決できる問題なのか!?

これまで述べたように育成世代の入口ですでに誕生月に偏りがあり、Jリーガーよりもその傾向が強いことに危機感を覚えずにはいられない。それがスポーツ以上の大きな社会システムに起因するものならば、どうやっても解決できないものだろうか!? おそらく、スポーツにはスポーツでしかできない、スポーツオンリーな解決法があるはずだ。まずはこの現状を改めて広く認知していただき、育成年代の入口から変えるアイデアを急募したい。また次回以降も、引き続き、この問題について触れてみたい。

そして最後に、今日のプレミアカップ2016決勝、11月、12月、1月、2月、3月生まれの選手たちよ、頑張れ!!