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韓国のWBC代表メンバー 門田博光さんの野球人生に感銘

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
現役当時の門田博光さん(写真:岡沢克郎/アフロ)

南海の主砲として活躍し、現役晩年はオリックス、ダイエーでプレー。通算567本塁打を記録した、門田博光さんが亡くなったことが24日わかった。74歳だった。

昨秋、その門田さんの名前が意外にも韓国の現役選手との会話の中から出てきた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)代表メンバーでもあるショートのオ・ジファン(32、LG)だ。

「門田選手の野球に取り組む姿勢に感銘を受けました」

オ・ジファンは門田さんを紹介する動画を、チームの先輩でWBCではキャプテンを務めるキム・ヒョンス(35)から勧められて見入ったという。

「40代になっても40本以上のホームランを打つ姿は、僕らにとって励みになります」

門田さんは南海球団最終年の1988年、40歳で44本塁打を記録。タイトルを獲得した。44歳まで現役を続け通算本塁打数は王貞治さん、野村克也さんに次ぐ歴代3位だ。

オ・ジファンはこう続けた。

「球場から地下鉄(電車)に乗って家に帰る姿も印象的でした」

門田さんが奈良市の自宅から大阪球場まで電車通勤していたことは、日本の古い野球ファンの間ではよく知られた話だ。右アキレス腱断裂後のトレーニングのためだったと言われている。それをまさか韓国の30代の選手から聞くとは思いも寄らなかった。

オ・ジファンが見た映像はYouTubeに投稿されたもの。日本のドキュメント番組をアップロードしたものではなく、日本の映像や写真を集めて編集し、韓国語でナレーションをつけた動画だった(※いずれにしても著作権上問題はあり)。

韓国の選手たちは動画サイトを情報源として、日本のプレーヤーのことをよく知っている。昨季は日本プロ野球新記録となる5打席連続ホームランを放った、村上宗隆(ヤクルト)のことが度々話題にのぼった。

そして彼らが生まれる前に活躍し、30年前に引退した門田さんの生き様も動画を通して心に響いた。

往年の名選手の存在。それは時を超え、国を超え次世代へと語り継がれていく。

(2022年12月公開の記事を加筆、再編集しました)

⇒ 2023ワールド・ベースボール・クラシック日程 韓国代表一覧(ストライク・ゾーン。PC版は昨季の個人成績も掲載)

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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