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プロ野球選手の暴力行為に30試合以上出場停止の韓国 制裁金の規定もあり。2つの事例を紹介

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
KBOリーグでは暴力行為の罰則が規約に記されている(写真:ストライク・ゾーン)

今月11日、日本ハムは後輩選手への暴力行為があったとして中田翔内野手(32歳)に、1、2軍全試合の出場停止処分を科した。その中田は20日に巨人への移籍が発表になり、翌21日から1軍公式戦に出場している。

移籍とともに解除された中田の出場停止処分。そのことに一部で批判の声が上がっている。

隣国のプロ野球、韓国KBOリーグでもこれまでに後輩選手に暴力を振るい、処分対象となったケースがある。KBOではリーグ規約に当該行為の出場停止日数、制裁金が細かく定められている。以下の通りだ。

◆KBO規約

◇第14章 有害行為

 第151条 品位損傷行為

「選手、監督、コーチ、球団職員または審判が麻薬犯罪、兵役不正、人種差別、暴力、性犯罪、飲酒運転、賭博、ドーピングなど試合以外で品位を損なう行為を行い、社会的に物議を醸した場合、リーグ総裁(コミッショナー)は下表の例の通り、失格処分、職務停止、参加活動停止、出場停止、制裁金賦課または警告処分など適切な制裁を加えることができる」

規約に記載の表の中から暴力行為を抜粋すると、以下にように記されている。

◇暴力行為

1.家庭内暴力、試合外の暴力

出場停止30試合以上、制裁金500万ウォン(約47万円)

2.性暴力

監督、コーチ:永久追放、1年以上失格処分、出場停止100試合以上、制裁金1000万ウォン(約94万円)以上

選手:永久追放、1年以上失格処分、出場停止72試合以上、制裁金1000万ウォン(約94万円)以上

3.再発した場合は上記の1、2の制裁に処罰が追加される

実際に制裁を受けたケースでは、2020年7月にSK(現SSG)の2投手(当時23歳と24歳)が後輩選手を暴行したとして、30試合出場停止と制裁金500万ウォンの処分を受けた。そして後輩に体罰を指示した投手1名(当時31歳)が10試合の出場停止となっている。

また過去にさかのぼって処罰を受けた例もある。2018年12月、ネクセン(現キウム)の38歳の外野手に対し、26歳の元外野手が3年前にバットで暴行を受けたと告発。暴行行為に対する制裁と隠ぺいの処罰が加わり、36試合出場停止となった。

KBO規約のその他の罰則規定には、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に関するトラブルについても記され、制裁金の額がトラブル1度目、2度目と定められているなど非常に細かい。またリーグの決定とは別に球団から処分が追加されることも少なくない。

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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