Yahoo!ニュース

22時10分試合終了、翌朝8時に選手村出発の韓国 13年前はハンバーガーで結束した【東京五輪・野球】

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
ドミニカ共和国戦で9回の集中打にわく韓国ベンチ(写真:ロイター/アフロ)

東京オリンピック(五輪)の野球で韓国は、8月1日19時開始のドミニカ共和国戦にサヨナラ勝ちした。試合が終わったのは22時10分。その後監督と2選手は公式記者会見を行った後、横浜スタジアムから東京・晴海の選手村へと移動した。

劇的な勝利を収めた選手たちは自室でホッとひと息つきたかったことだろう。しかし彼らにそんな時間はなかった。韓国-ドミニカ共和国戦の勝者は、翌2日昼12時からのイスラエル戦に進むことが決まっていたからだ。

2日、韓国の選手村出発は朝8時。球場に到着後、9時5分にウォーミングアップを開始し、9時35分から打撃練習を開始した。国際大会特有の厳しい試合日程。しかも2日の横浜の予想最高気温は32度で、疲労に加えて暑さとも戦うことになる。

韓国は金メダルを獲得した前回の2008年北京大会でも、ナイトゲームの翌日に11時半開始の試合を行ったことがある。睡眠不足、食欲不振の選手が出る中、ある選手の気遣いがチームを結束させた。

外野の控えとして代表入りしていた外野手のイ・テククン(当時28歳)は、朝食をろくに取らずに球場に向かう選手のために早起きをした。選手村の中にあるマクドナルドに行くためだった。イ・テククンは約10分の距離を歩き、人数分のハンバーガーを手配。それを球場に向かうバスの中でメンバーに配った。

イ・テククンと同期で代表選手だったイ・ジンヨン(現SSGコーチ)によると、「食欲のなかった選手や、遠慮がちだった後輩たちもバスの中に漂うハンバーガーの匂いに誘われてついつい手を伸ばした」という。

イ・スンヨプの一発に肩を組み喜ぶイ・ジンヨン(左)とイ・テククン
イ・スンヨプの一発に肩を組み喜ぶイ・ジンヨン(左)とイ・テククン写真:YUTAKA/アフロスポーツ

北京でもチームを率いたキム・ギョンムン監督はドミニカ共和国戦後の会見で、「スケジュールが大変なのは6チーム条件は同じ。逆転勝ちしたので選手に疲れはないと思う。初のデーゲームなので集中して戦いたい」と話した。

2勝がいずれもサヨナラ勝ちという接戦が続く韓国。2日のイスラエル戦に勝利すると4日に行われる準決勝(日本-アメリカの勝者)への進出が決まる。

◇韓国-イスラエル戦はNHK BS1で放送予定。また民放テレビ局によるインターネットでのオリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」で生中継が予定されている(実況なし、現場音声のみ)。

⇒ 野球 ノックアウトステージ第2ラウンド イスラエルvs韓国(gorin.jp)

(関連記事:拙攻続きだった韓国打線が9回につながりサヨナラ勝ち(監督・選手のコメントも)【東京五輪・野球】)

(関連記事:左のエースが築いた韓国の栄光の歴史 19歳の高卒ドラ1がその後を継ぐか【東京五輪・野球】

東京五輪日程・概要と韓国代表一覧

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

室井昌也の最近の記事