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ひじの手術から順調回復の韓国代表左腕 中日・根尾に興味津々

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
韓国を代表する左腕投手の1人、LGチャ・ウチャン(写真:ストライク・ゾーン)

オーストラリアでの1次キャンプを終え、26日に沖縄・うるま市での2次キャンプをスタートさせたLGツインズ。そのLGで昨季12勝を挙げ、チームの勝ち頭となったチャ・ウチャン(31)と今年初めて顔を合わせると、こう尋ねてきた。

「根尾(昴=中日)はどうですか?」

日本のスーパールーキーへの関心は韓国球界でも高く、チャ・ウチャンにとっても気になる存在だった。そしてチャ・ウチャンはこう続けた。「根尾とカン・ベクホはどっちが上ですかね?」

カン・ベクホとは昨年の大物ルーキー。KTウィズに所属する外野手で、高卒新人ながら3割近い打率と29本塁打、84打点を記録した。

カン・ベクホは高校時代、投打に活躍した「二刀流」。プロでは公式戦のマウンドに立ったことはないが、大谷翔平(エンゼルス)の出現以降、韓国でも投打に秀でた選手が現れると二刀流の可能性が取りざたされることがある。

それだけに高校時代に投手、野手として実力を発揮した根尾のことは、チャ・ウチャンのみならず韓国の多くの選手が興味深く見つめている。

根尾フィーバーに沸いた中日2軍の読谷キャンプ。ノックを終えた立石光男巡回野手コーチは根尾について「エエものは持っている」と話した。その素材は誰もが認めるところだ。

その中日のファームにはチャ・ウチャンがサムスンライオンズ在籍当時にともにプレーし、また選手と指導者の関係でもあった門倉健コーチがいる。

チャ・ウチャンは門倉コーチと2軍投手部門を担当する浅尾拓也コーチにも関心を寄せ、「右肩を故障していたけど引退してコーチになったんですね」と話した。その会話を横で聞いていた投手のチェ・ドンファン(29)も興味を示し、話に入ってきた。

ブルペンで投手にアドバイスを送る、中日・門倉健コーチと浅尾拓也コーチ(写真:ストライク・ゾーン)
ブルペンで投手にアドバイスを送る、中日・門倉健コーチと浅尾拓也コーチ(写真:ストライク・ゾーン)

韓国の選手は日本のプレーヤーのことを本当によく知っている。

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チャ・ウチャンは昨秋、左ひじの軟骨除去手術を行ったがここまで順調に回復している。1日に行った今キャンプ3度目のブルペン投球でもストレートが走り、しっかりと低めに決まっていた。

専修大から84 年に韓国でプロ入りし、現役引退後、各チームで長年指導者として活動しているチェ・イルオン(山本一彦)投手コーチはチャ・ウチャンについて、「4月10日くらいには(公式戦で)投げられるのではないか」とし、チャ・ウチャン自身も「開幕から1週間くらい(4月上旬)したら投げたい」とプランを語った。

ランニングするチャ・ウチャンを見つめる、チェ・イルオン(山本一彦)コーチ(写真:ストライク・ゾーン)
ランニングするチャ・ウチャンを見つめる、チェ・イルオン(山本一彦)コーチ(写真:ストライク・ゾーン)

リーグ全体で先発投手の人材不足が深刻な韓国。今秋に控えるプレミア12、来年の東京オリンピックでの代表入りに名前が挙がる投手は限られている。そんな中でチャ・ウチャンはプレミア12について自ら「出たい」ときっぱりと答えた。チャ・ウチャンは4年前のプレミア12でも代表入りし好投。韓国の大会制覇に貢献している。

「手術をして痛みの不安もなくなったのでコンディションはいい」と話すチャ・ウチャン。今季、安定した活躍をすれば、日本との対戦が連覇の行方を左右するプレミア12での代表入りがおのずと見えてくるだろう。

韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FMコザ)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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