「痴漢」が、性犯罪であるにもかかわらず軽視されている現状を変えるため、高校生や大学生が声を上げている。

若者の声を政策に反映させることを目指して活動している、日本若者協議会ジェンダー委員会では、これまで「日常化」し、「仕方ない」と言われてきた痴漢を本気で問題解決し、来学期に学校に通う時には痴漢なんてない世の中にしたい!そんな思いで署名を立ち上げている。

本気の痴漢対策を求めます!来学期からは#NoMoreChikan(change.org)

8月に立ち上げた本署名は、わずか2週間で2万人近くから賛同が集まり、現時点(10月13日14時10分)で、28,692人が賛同している。

これまで、公明党、立憲民主党、日本共産党、文部科学省、そして都心での被害が多いことから、都議会公明党、都民ファーストの会、に要望書を提出し、10個の対策を求めている。(詳細は末尾)

日本共産党に痴漢対策を求める要望書を提出する日本若者協議会(画像:日本若者協議会)
日本共産党に痴漢対策を求める要望書を提出する日本若者協議会(画像:日本若者協議会)

日本共産党に「本気の痴漢対策を求めます!来学期から #NOMORECHIKAN 」の要望書・署名を提出しました(日本若者協議会)

そうした中、10月13日、日本共産党の小池晃書記局長が参院本会議の代表質問で痴漢問題を取り上げ、政府による実態調査を求めた。

以下、小池書記局長の質問と、岸田文雄総理の回答を文字起こしで紹介したい。

痴漢被害に、本気で取り組むことを政治の課題にすべきではありませんか?

日本共産党・小池晃書記局長:

もっとも身近な性暴力の一つであり、性犯罪である痴漢被害への対策について聞きます。

これまで痴漢はささいな問題あるいは女性が注意すれば済むこととされ、多くの被害者が泣き寝入りさせられてきました。

しかし、その実態は非常に深刻です。

昨年わが党の東京都委員会ジェンダー平等委員会が行った痴漢被害へのウェブ調査では、初めて被害に遭った年齢が18歳以下という回答が7割を超え、中高校生の「通学中ほぼ毎日被害に遭う」という回答も目立ちました。

痴漢は子ども、未成年への性暴力でもあるのです。

被害の後、電車に乗ろうとすると、過呼吸になり、仕事を辞めた、頻繁なフラッシュバックに遭い、苦しみ続けているという声も多数寄せられました。

被害が、一人一人の人生に大きな苦しみをもたらしていることを、私たちは重く受け止めるべきではないでしょうか?

電車に乗る、道を歩く、そんな当たり前の日常が、性暴力の危険に晒されていることを、政治が無視し、軽んじていいのか。

痴漢被害に、本気で取り組むことを政治の課題にすべきではありませんか?

お答えください。

今、高校生、大学生のみなさんが始めた「本気の痴漢対策を求めます!」というオンライン署名が広がっています。

ここで求められているのは、国の責任による痴漢の実態調査です。国が本格調査に乗り出すことは、この問題が決して迷惑行為というような問題ではなく、政治の責任で根絶しなければならない性犯罪であることを明らかにするメッセージともなります。

実態調査の必要性について、この問題に取り組む人々に、勇気と希望を与える答弁を求めたいと思います。

痴漢被害の実態調査を行う

岸田文雄総理:

痴漢被害への対策についてお尋ねがありました。

まず痴漢は犯罪であり、決して許されるものではありません。特に電車内における痴漢については、今後も徹底した取り締まりを行うなど、厳正に対処して参ります。

また今年度、内閣府において、痴漢を含む、若年層の性暴力被害の実態調査を行う予定にしてあります

政府については、性犯罪、性暴力対策の強化の方針に基づき、令和4年度までの3年間を集中強化期間として、性犯罪、性暴力対策の強化を進めて参ります。

※太字は筆者

一般社団法人日本若者協議会

本気の痴漢対策を求めます!来学期から #NoMoreChikan 要望書

<求める具体的な対策>

(1)痴漢事件の実態調査を行う

現在痴漢についての十分な実態調査が行われていません。そのため、痴漢についての実態調査が行われることを求めます。

(2)痴漢報告後のプロセスを見直す

痴漢を報告した後のプロセスは被害者の時間や労力が費やされます。それに加え、被害者が被害現場で写真に写らないといけなかったり、取り調べで被害者の信用性を問われたりなど、痴漢報告後のプロセスは二次被害となっている部分があります。そのため、痴漢報告後のプロセスを見直すとともに一般人にプロセスを公開することを求める。

(3)ワンストップ支援センターの増設と告知を行う

日本の各都道府県には性暴力や性犯罪について電話相談ができるワンストップ支援センターがありますが、この施設は十分認知されていないため、ワンストップ支援センターの告知に力を入れてほしいです。また、国連の規定では人口5万人あたり一箇所の性犯罪・性暴力被害者のための支援センターが必要となっているため、センターの数が足りていません。そのため、ワンストップ支援センターの数を増やすことを求めます。

(4)痴漢事件の迷惑防止条例での取り締まりを見直す

痴漢被害は各都道府県の迷惑防止条例または強制わいせつ罪によって取り締まられていますが、二つの境界が曖昧なのに加え迷惑防止条例は各都道府県によって異なるため、取り締まりや統計が統一していません。他にも迷惑防止条例で取り締まる場合の罰則が軽いことと迷惑防止条例で取り締まられる場合は加害者が性犯罪再発防止プログラムを受講できないことが問題としてあげられます。そのため、痴漢事件を迷惑防止条例で取り締まることを見直すことを求めます。

(5)性犯罪についての充実した教育を行う

痴漢の被害にあった人からは「何をすればいいのかわからなかった」という声が多くあげられます。痴漢にあったらどうすればいいか、痴漢を目撃したらどうすればいいかなど、痴漢を含めた性犯罪の教育を教育現場で行うことを求めます。

(6)学校での痴漢ルールを作成する

通学中に痴漢の被害にあったことによって学校に遅刻した場合、被害者は遅刻または欠席扱いになってしまいます。また、教師に痴漢の相談をしたら不適切な発言が返ってきた体験をした被害者もいました。そのため、痴漢被害が理由での遅刻・欠席の免除や痴漢について相談できる場所を用意するなど、学校での痴漢に対するルールを作成することを求めます。

(7)チカンの加害者が早期に長期で再発防止プログラムを受けられるようにする

痴漢は再犯率が高く、加害者は痴漢依存症のケースが多いため、再犯防止プログラムを早い段階から長期で受ける必要があります。加害者が早期に長期で性犯罪再発防止指導 R3をしっかりと受けられるようにすることを求めます。

(8)女性専用列車を増やす

女性専用列車に乗らないと安心して目的地まで行けない女性が多数いる中、女性専用列車の数が少なく、一握りの車線にしか設置されていません。女性の安心した交通移動のために女性専用列車の増設を求めます。また防犯カメラの増設も求めます。現在一部鉄道会社等でアプリの開発が進んでいますが、電車内で被害にあった際に、被害者がスマホで通報したら「*両目から痴漢被害の通報がありました」といったアナウンスを車内で行うようにして欲しいです。

(9)省庁横断型の連絡協議会の設置

痴漢の問題は法務省・警察庁、国土交通省、文部科学省など様々な省庁に担当部署がまたがっており、また民間の鉄道会社などとの連携も欠かせません。そのため、関係省庁や民間企業などが連携し、痴漢による性暴力をなくすための取り組みを進める連絡協議会の設置を求めます。

(10)性被害を受けた時の対応をまとめた資料(学校安全参考資料)を各家庭に配る

現状、痴漢被害を受けた時に、友人、母親等に話をして「私の代わりにたくさん怒ってくれて救われた」「一緒に警察に行ってくれた」という肯定的な経験になっている人は少なく、その多くが「どうすることもできないから忘れろ」「よくあることだから諦めろ」と言われたり、「触れられるうちが華」「尻ぐらいいいだろ」「その程度で騒ぐな」など軽視、矮小化されたり、嘲笑されたりしています。こうした現状を踏まえると、家族の理解を深める必要や、家庭で相談しやすくする施策が必要です。しかし、文科省が作成している「文部科学省×学校安全」というサイトや「生命の安全教育」教材には、電車やバス内の痴漢犯罪に関する具体的な対応策等については掲載されていません。そのため、性被害を受けた時にどうすればいいのかをまとめた資料を上記サイトや教材に掲載した上で、学校を通じて各家庭に配布することを求めます。