今年の高校ラグビーも面白い。春の王者・大阪桐蔭を軸にした冬の優勝争いは、どうなる?

4月7日、埼玉県の熊谷ラグビー場にて、第14回全国高校選抜ラグビー大会の決勝戦が行われ、大阪桐蔭が33-14で同じ大阪の東海大仰星を破って初めて頂点に立った。大阪桐蔭というと野球が強いイメージだが、ラグビー部は1983年に創部され、大阪府内では強豪高校の一角としてのポジションを確かなものにしてきた。近年は、大阪の有能な中学生も集まっており、今年の大阪桐蔭が強い、というのが関係者の声だった。

決勝戦でも活躍したNO8吉田杏(よしだ・きょう、186センチ、100キロ)、SO喜連航平(きれ・こうへい、173センチ、75キロ)、FB岡田優輝(おかだ・ゆうき、180センチ、80キロ)はじめ、将来の日本代表として期待できる選手も多い。喜連キャプテンは、「僕は体が小さいので、スクラムハーフとして日本代表を目指したい」と、意識も高い。3月の近畿大会で、東海大仰星に10-36で完敗し、その悔しさが強化を加速させる原動力になった。特に、昨季の全国2位、御所実業(奈良県)の胸を借りての練習で磨きをかけた組織ディフェンスは見事だった。決勝戦では7割ディフェンスの時間だったのだが、その粘り強さに驚かされた。

FWの平均体重も92キロと大学生並み。身体能力の高さは選抜大会ベスト4の中でも抜きん出ていた。綾部監督は「まだまだです。個々のレベルでいえば、仰星さんのほうがはるかに上」と謙虚に語るが、東海大仰星の土井監督(4月8日より総監督)は、「いやいや、パスの上手さとかそういう技術的なことは別にして、運動能力は大阪桐蔭のほうが上ですよ」と返した。「簡単に言えば、相撲をしたら向こうが強い。きょうは、そういうゲームでした」と、雨と風で思うようにボールが動かせず、コンタクトが多くなった決勝を振り返った。

今大会は史上初めて大阪勢がベスト4を独占した。全国を東北、関東、東海、近畿など9ブロックに分けて予選を行っている関係なのだが、東大阪市の花園ラグビー場で行われる冬の全国大会は、そうはいかない。開催地枠もあって大阪は3チームが出場できるが、それでも、今回のトップ4(大阪桐蔭、東海大仰星、大阪朝鮮、常翔学園)のうち、少なくとも1チームは出場できない。大阪の全国大会予選は、春の府総体の結果で上位3チームがシードされるが、4位が上位3校が分かれて入るトーナメントのどこかに入る。昨年は、常翔学園と東海大仰星が同じブロックに入って仰星が出場を逃した。選抜大会を見る限り、この4チームの実力は接近しており、どこが出場権を逃しても不思議はない。

さて、過去の記録を振り返ると、春に優勝したチームが冬にも優勝した事例は、過去13大会で5回ある。優勝はしなくても春の勢力図は冬にも反映されるが仰星の土井監督はこう話していた。「準決勝で戦った桐蔭学園は強かった。うちの選手もかなり傷みました。一番強いのではないですか。うちも、もう少し個々のパワーをつけないと、大阪桐蔭、桐蔭学園、秋田工業には勝てない。大阪勢が強かったのは近畿大会で接戦が多く、ディフェンスが整備されていたからでしょう。そういう意味では、ディフェンスが整備されていなくて負けたのは、桐蔭学園、東福岡、秋田工業だったと思います」

的確な分析力で知られる土井監督の言葉だけに説得力がある。冬までにはどのチームもディフェンスを整備してくる。どうやら、冬の花園は、このあたりのチームを軸に優勝争いが展開されそうだ。ただし、選抜大会は新入生が戦力として入っていないし、2年生になったばかりの選手は、これからぐっと伸びてくる。仰星ほか「隠し球」を持つチームは多い。そうした選手が組織の中で機能すれば、チーム力を格段に伸ばす。こうして考えていると、冬の大会が待ちきれない。このさい、高校ラグビーの面白さにどっぷりはまって、楽しんでみるとしよう。