筑波大学、初の決勝進出。三連覇王者・帝京大学に勝つ可能性は?

早稲田大学から5トライを奪った帝京大学の、まさに横綱相撲だった。試合後の記者会見では、「いいところも課題も見つかったので、それを修正して決勝戦に臨みます」。泉敬(いずみ・ひろ)キャプテンがそうコメントすると、報道陣から「課題とは何ですか?」と、声があがった。好漢・泉キャプテンは口ごもった。「ああ、はい、FWでゲームをコントロールできたのは良かったです。課題は…、細かなミスもあって…」。

僕はJSPORTSの放送席から試合を見ていたのだが、帝京大学は個々の選手が当たり負けないため、常にグラウンドの横幅いっぱいに選手がポジショニングすることができていた。この結果、攻めては簡単に数的優位を作り出し、早稲田がターンオーバーから攻め始めても、すぐに危険なスペースを誰かが埋めた。最大の強みは、FLイラウア、NO8李、SO中村、CTB権ら、ボールを持てば確実に前に出られる「ランナー」の多さ。一人平均10キロ以上重いFWが、スクラム、モールで圧力をかけて早稲田のスタミナを奪い、力強いランナーが次々に走り込んだ。この試合だけ見ていると、帝京の4連覇は濃厚に思える。

東海大学を劇的逆転で破った筑波大に勝機はあるのか。早稲田と同じように、東海大とはFWの一人平均が10キロ軽かったにもかかわらず、筑波は勝った。防御を崩す術と、個人技を併せ持っていたのが要因だが、一対一の接点で当たり負けない強さがあるのも見逃せない。東海大の選手からも「筑波のブレイクダウン(ボ―ル争奪局面)は低く、ボール出しのところで圧力をかけられた」という言葉が聞かれた。低いだけでなく、FL鶴谷、FL水上らボールを相手からもぎ獲る力のある選手も多い。筑波の強さを「個人能力の高さ」とする他チームのコーチが多い所以である。ただし、筑波の強さはそれだけではない。古川監督が説明する。「ディフェンスが筑波の色。この選手達だからできるラグビーは、ディフェンスから相手を崩すラグビーです。ディフェンスになれば、皆チャンスだと思っている。切り返しの意識が高いのです」

決勝戦は、帝京のパワーと筑波の個人技の戦いになる。筑波の選手にボールを持たせたくない帝京は、ボールをキープしながら手堅く前進するだろう。それを粘り強く守り、ターンオーバーから一気の切り返しでトライを獲りきることができれば、筑波にも勝機が出てくる。パワフルな彦坂、俊足の福岡と両WTBの決定力もあり、帝京を上回る才能もある。帝京がミスなくボールをつないでトライを獲りきるか、筑波が少ないチャンスを確実にものにするか。長所をよりよく発揮したチームが勝つ。そんな展開を予想する。

両チームには、将来、日本代表の軸になるような才能ある選手が多い。質の高い決勝戦を期待したい。

■準決勝の試合結果

早稲田大学●10-38○帝京大学(前半10-7)

東海大学●26-28○筑波大学 (前半21-5)