体重差10キロ以上! 大学ベスト4の勝敗を分ける鍵は、セットスピードと2人目の寄り。

12月24日、東京都品川区の大崎ゲートホールで行われた公開抽選会には、4大学の監督、キャプテンが集った。その控室では、面白い一コマがあった。会議室の中央には長机が固められ、8人で座るには広すぎる長方形のテーブルができあがっていた。その一番奥に、筑波大学の古川拓生監督と、東海大学の木村季由監督が向かい合わせに座って談笑している。早稲田の後藤禎和監督は、木村監督とは対角線上の角に座った。その距離、約5メートル。その間に、各キャプテンが所在なげに座る。

最後にやってきた帝京大学の岩出雅之監督は、後藤監督と並んで座った。2人は言葉をかわすわけでもなく、ラグビー雑誌、プログラムなどに目を通している。図らずも、東海・筑波組と、早稲田・帝京組が距離を置いていた対峙したわけだ。コーディネーターとしてその場にいた僕は、張りつめた空気に、まったく味わえない弁当を黙々と平らげた。

その後行われた「抽選会&トークバトル」では、この通りの組み合わせとなり、岩出監督が「抽選会って、近くに座った者同士が当たることが多い。だから木村監督は僕に寄ってこなかった。ほんとは仲がいいのに」と会場を笑わせた。

2013年1月2日 国立競技場

12:15~ 早稲田大学 対 帝京大学

14:00~ 東海大学 対 筑波大学

4連覇を狙う帝京大学にとって、準決勝でスピーディーな早稲田、そして、東海大と筑波大というフィジカルの強いチームとの決勝戦は、岩出監督の言葉を借りれば「やり甲斐のある」戦いだろう。僕は、大学選手権セカンドステージの最終戦では、早稲田(対大阪体育大)と筑波(対関西学院大)の試合をライブ観戦、帝京(対立命館大)大と東海(対明治大)の試合は映像でチェックした。この4試合を見る限り、筑波が最も強いと感じた。

感心するのは、「セットスピード」と「2人目の寄り」の早さである。「セットスピード」とは、攻撃ライン、防御ラインを整える素早さのことで、筑波の選手はこの意識が卓越している。特に防御ラインについては、関西学院のテンポの早い攻撃に対して常に綺麗に揃った防御ラインで素早くプレッシャーをかけていた。「2人目の寄り」とは、タックルした選手の次、またはタックルされた選手の次に駆けつける選手の動き。2人目が相手より早ければ接点の攻防を有利に戦うことができる。ボール争奪戦が連続するラグビーという競技では、2人目の寄りが勝敗に直結する。筑波はウイルス性胃腸炎でレギュラー選手の14名が満足に練習できず、メンバーも大幅に変更してこの試合に臨んでいたのだが、それでも意識は高かった。先発にHO彦坂圭克、FL水上彰太、SH内田啓介が復帰すればチーム力はさらに上がる。

帝京の4連覇を予想するのが普通なのだが、僕は優勝争いを、筑波を軸に見たいと思う。もし、この筑波を東海大が破るとすれば、東海の大型FWの圧力が、筑波のセットスピードを遅らせ、BKの攻撃スペースを作る展開だろう。それができれば、東海は優勝するにふさわしい実力を備えていることになる。

帝京対早稲田は、今季3度の対戦があり、いずれも帝京が勝っているが、実力は徐々に接近してきている。大体大戦で、CTB布巻竣介が復帰してきたのは何より大きい。大学随一のハードタックラーであり、ボールハンターである布巻を、早稲田は自由に動かすべきだ。彼の本能的な動きは帝京を苦しめるだろう。帝京のSO中村亮土との対決も楽しみ。この2人はいずれ日本代表でともにプレーすることになるかもしれない。

大学屈指の大型チームが揃った印象があるが、セカンドステージ最終戦のFW8人の平均サイズを見てみると、以下の通りとなる(小数点以下は四捨五入)。

帝京大=身長184センチ、体重104キロ

早稲田大=身長181センチ、体重93キロ

筑波大=身長180センチ、体重97キロ

東海大=身長181センチ、体重109キロ

帝京はバランスのとれた大型チーム。もっとも重い東海は身長がやや低い。そして、筑波は意外に小さい。8人で平均10キロの差は、ほぼ一人分の違いがある。準決勝は、平均10キロ差へのチャレンジでもある。だからこそ、セットスピードと2人目の寄り。苦しい時間帯に足を動かし続けるチームが勝つ。