「大学生は分からない」。筑波大、準決勝進出確定の全国大学選手権に思う

今季のラグビー大学選手権は、昨季までの16チームによるノックアウト方式のトーナメントからシステムを変更。まずは、地域リーグの代表決定戦をファーストステージとして行った。その勝者を加えた16チーム(関東大学対抗戦、関東大学リーグ戦、関西大学リーグ戦の各5位まで)が、4チームずつの4組に分かれて総当たりで戦い(セカンドステージ=SS)、各1位がファイナルステージ(FS)に進む形になっている。

SSは第2節を終了し、4トライ以上のボーナス点を獲得しながら2勝した筑波大学(関東対抗戦1位)がFS進出を決めた。対抗戦2位で全国4連覇を狙う帝京大学も順当に勝ち進んでおり、第3節で対する立命館大学(関西2位)に勝てばFS進出が決まる。ここまでの戦いぶりを見る限り、前評判通り、筑波、帝京が2強。これを明治大学(対抗戦3位)、早稲田大学(対抗戦4位)、東海大学(リーグ戦1位)が追う形になっている。第3節の明治対東海(プールC)の対決は注目だ。筑波の個人能力の高さは誰もが認めるところだが、それだけではなく、ディフェンスのリアクションも速く、運動量も豊富、初の日本一は現実味を帯びている。

だが、歴史をひもといて考えれば、帝京の4連覇がもっとも可能性が高いと言うべきだろう。大学選手権の決勝戦に4年連続で進出している経験は何物にも代えがたい。決勝まで行けば帝京が圧倒的有利。波乱があるとすれば準決勝と考えるのが普通だろう。しかし、筑波の個人能力の高さは、過去の例では決めつけられない凄みがある。20歳以下日本代表などで世界の舞台を経験した選手も多く、FSになって格段にチーム力を伸ばす可能性もあり、その戦いぶりが今から楽しみだ。

大学ラグビーを長らく取材してきて、指導者からよく聞く言葉がある。「大学生は分からない」。心身ともに発展途上の選手達は、試合ごとの好不調の波が激しく、思わぬミスを連発したかと思えば、練習では見たことがないようなスーパープレーを見せたりもする。SS第2節で流通経済大学を圧倒していた早稲田も、後半に入ると失速した。逆に「最近の学生は勝敗に淡白なだけに、切り替えも早い」と、敗戦を引きずらない良さもあるらしい。いよいよ佳境の王座争いの中では何が起こるか分からない。ここからは、いかにいいコンディションで選手をグラウンドに送り出せるか、修正点をいかに絞り込んで学生に伝えるか、コーチングスタッフの手腕も、これまで以上に問われることになる。

さて、今回の新システムは、各リーグでの順位によるアドバンテージポイントや、組分け方法などに様々な批判があるが、関西リーグのチームからは、「長い目で見ればプラス」と歓迎する声が多い。SS第1節で早稲田に完敗した天理大の小松節夫監督も、「早稲田と試合できて良かった。東海や帝京とはタイプが違う。これを経験できたのは大きいです」と、今後の強化に生かしたいと語る。慶応大、法政大という関東の伝統校に惜敗した関西学院大は関西リーグでは考えられなかった判断ミスが多く、プレッシャーのかかった試合の経験不足を露呈した。だからこそ、この経験が今後の糧になる。萩井好次監督は関西全体のレベルアップの必要性を訴える。「SSをいかに突破するか。SSと同じ勝ち点制にするなど、関西リーグの制度を変えるなどして一校でも多くFSに進出できるようにしなくては」。SSの利点を生かして関西がレベルアップすれば、大学ラグビー全体の活性化につながるだろう。

勝ち点制についても、さまざまな意見があるが、勝ち点計算をしながらFSを見据えているのは一握りのチームだということも書き添えておきたい。多くの大学は、今季取り組んできた練習の成果を出し切ることに焦点を絞り、未来の飛躍につなごうとしている。自分自身の大学時代の経験をもとに言えば、大学生は、公式戦のグラウンドに立つことが目標の選手がほとんどだ。100名以上の部員を抱えるチームのレギュラー争いは熾烈である。リザーブ(控え)の選手が途中出場するとき、観客席の部員から大歓声があがる。きっと苦労したのだろうと、その選手の背景を想像する。試合の勝敗とは別に、そんなことも思いながら観戦すると、また違った面白さが出てくるかもしれない。

セカンドステージの最終節は、12月23日。出そろった4強は、24日に対戦カードを決める公開抽選会に臨む。準決勝は、1月2日、決勝戦は、1月13日である。