2015年ラグビーワールドカップ・一次リーグ組分け決まる

ラグビー好きの知人から、「2015年に日本代表が決勝トーナメントに進出することを夢みて、お酒が飲めそうです!」というメールが届いた。同じような思いでいるラグビー愛好家は多いだろう。1987年大会以来、7大会に出場しながら1勝しかしていない国が、「なんと楽観的な」と笑う人もいるだろうが、比較的「可能性あり」の組に入ったことはたしかなのだ。

12月3日、2015年ラグビーワールドカップ(RWC)一次リーグの組分けが抽選で決まった。RWCは、参加20チームが、5チームずつの4組に分かれて総当たり戦を行い、各2位までが決勝トーナメントに進む方式。すでに、前大会(2011年)一次リーグの3位までの12チームは2015年の出場権を獲得しており、残る8チームは、世界各地の予選で決まっていく。日本が所属するアジアの枠は「1」。急速に力を伸ばすフィリピンなど、怖いチームもいるのだが、ここは日本が出場権を獲得する前提で話を進めたい。

◎2015年大会(於、イングランド)一次リーグ組分け(カッコ内は、12月3日現在の世界ランキング)

A=オーストラリア(3)、イングランド(5)、ウエールズ(9)、オセアニア1位、敗者復活戦勝者

B=南アフリカ(2)、サモア(7)、スコットランド(12)、アジア1位、アメリカ2位

C=ニュージーランド(1)、アルゼンチン(8)、トンガ(11)、欧州1位、アフリカ1位

D=フランス(4)、アイルランド(6)、イタリア(10)、アメリカ1位、欧州2位

こうしてみると、A組は激戦区。ウエールズは若い選手が多く、2015年の優勝候補とまで言われる国だ。ここに入っていたら日本のラグビーファンは暗澹たる気持ちになったかもしれない。B組は日本に近い順位のスコットランドもおり、サモアはパシフィックネーションズカップで毎年対戦していて、手の内も分かる。もう一つのアメリカ2位は、おそらく、アメリカかカナダ。カナダとは、2007年、2011年大会と連続して引き分け、アメリカにはRWCで2戦2敗だが、日本との実力差は大きくない。楽観的に見れば、日本が過去最高の準備をして臨めば、RWC参加史上初の2勝、あるいはそれ以上も「不可能ではない」ということになる。

エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは次のようにコメントした。

「日本にとって、よいプールと言えるだろう。南アフリカ、サモア共にフィジカルなチーム。スコットランドは現在調子を落としているが立て直してくるだろう。体が大きくてフィジカルの強いチームに対し、我々はボールを動かす自分たちのスタイルを貫かなくてはならない。世界のトップ10 に入るという目的のためには、全ての試合に勝つつもりで臨まなければならない」

ただし、「よいプールに入った」というのは、あくまで他の組と比較した話。ジョーンズHCの言葉通り、今回の相手は「フィジカル」の強いチームばかり。世界ランキング2位の南アフリカは、過去2度の優勝を誇り、オールブラックスさえも力でねじ伏せるパワフルなチーム。サモアは過去2度ベスト8入り。その強烈なタックルで骨折させられた選手は数知れない。昨年のRWCでは、南アフリカと8点差、ウエールズと7点差の大接戦を繰り広げている(ラグビーは1トライ5点なので、10点差以内は接戦)。スコットランドも身長2メートル、体重120キロ級の選手が揃う大型FW。過去7大会で6度決勝トーナメント進出の実力者だ。日本もフィジカルを極限まで高めて臨まなければ、スピードで翻弄する前に、パワーで粉砕されてしまうだろう。前回のコラムにも書いた「フィジカル」の重要性が、より高まったわけだ。

2015年大会までに日本代表がこなせるのは、多く見積もっても30試合ほど。その試合数で、これらのチームに勝つ強さを身に着けられるのか。日本代表の強化期間だけでは足りないのは明らかだ。各所属チームで、世界で勝てる体づくりを継続して行い、個々の選手を海外に派遣して経験を積ませるなど、強い個人を作らなければ目標はかなわない。ターゲットは決まった。すべての関係者が一丸となって強化を加速させるときだ。2015年大会の好成績なくして、2019年大会の成功はないのだから。