高橋麻里(Dorothy Little Happy)×音沖まこ~それでも歌うことを選ぶ理由

高橋麻里(右)と音沖まこ(左)(撮影:ごいごい)

Dorothy Little Happyの高橋麻里が、声優・高橋麻里としてキャラクターソングを歌う取り組みを行っている。そのひとつが「ヒカリノサキヘ」だ。これは、2018年8月10日の「コミックマーケット94」で体験版が頒布されるゲーム「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」(ガチ恋ファクトリー)に収録されるものだ。キャラクターソングとは言え、高橋麻里の歌唱による音源が国内で聴けるのは約14か月ぶりとなる。

さらに「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」には、「新菜まこ」から改名してフリーとなった音沖まこによる「Take a step」(役名の『水崎愛栞』として収録)、音沖まことモデルの岩瀬唯奈によるユニット「なまちゃ」の「夢は始まったばかり」も収録される。

今回は、それぞれに新しい活動をする夏に向けてレコーディングを行った高橋麻里と音沖まこに話を聞いた。なお、取材場所で知ったのは、実はふたりが初対面であることだった。

「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」ヴィジュアル(提供:ガチ恋ファクトリー)
「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」ヴィジュアル(提供:ガチ恋ファクトリー)

高橋麻里も音沖まこも夏コミへ

――「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」は夏コミで頒布されますが、高橋麻里さんはやはり夏コミで頒布されるドラマCD「オフロコ」にも出演するので、2作品で参加するんですね。

高橋麻里 もう1作品、Kleissis(クレイ・シス)っていう私が参加している女性声優ヴォーカル・ユニットの作品も出ます。だから今回3作品で参加します。

――コミケにも行くんですか?

高橋麻里 参戦します! 去年の冬のコミケに先輩と見学に行ったときに「来年はお仕事で出られるといいな」って思って、それがすぐかなってすごくうれしいです。

音沖まこ 私もガチ恋ファクトリーのブースにいます。

――今回のゲームの中だと、高橋麻里さん演じる「古瀬ひかり」を、音沖まこさん演じる「水崎愛栞」が推す関係ですよね。会うのは今日が初めてだそうですが、お互いに会った印象はいかがですか?

音沖まこ もう「アイドル」っていう感じですね。私は全然アイドルっぽくないですよ。

高橋麻里 さっき同い年だって判明したんですけど、勝手にお姉さんだと思っていたんです。どういうふうに演じているのか、ボイスを早く聞いてみたいです。

高橋麻里(右)と音沖まこ(左)(撮影:ごいごい)
高橋麻里(右)と音沖まこ(左)(撮影:ごいごい)

エアコンを入れずに汗だくでレコーディング

――「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」で高橋麻里さんは「ヒカリノサキヘ」を歌っていますが、レコーディングで歌ってみていかがでしたか?

高橋麻里 歌うのがすごく好きなので楽しかったです。アイドルの古瀬ひかりちゃん役で、ライヴに立っている感覚はわかるので、スッて歌えました。

――レコーディングのスタジオが暑いのに、エアコンの音が入らないように冷房を入れずに歌ったそうですね。人を入れずにキャミソールで歌ったという話に、プロ根性を感じました。

高橋麻里 それもライヴ感があるな、って(笑)。スタジオではいつも汗だくで歌っていたんです。レコーディングのとき、1曲2時間ぐらいで録り終えるんですけど、普通に水を1リットルぐらい飲んでいました。今回は最初にセリフの収録をしてから歌を録ったので、「どんどん声が出るぞ!」みたいな(笑)。

――「ヒカリノサキヘ」は甘い歌い方だなと感じました。

高橋麻里 ちょっと歌い方が変わっています。Dorothy Little Happyのときは芯を入れているみたいに、強くしっかり歌っているんです。でも、今回は古瀬ひかりちゃんのキャラクター的にフワフワした歌い方にしたので、アイドルっぽいかもしれないですね。

音沖まこが「元気を与えたい」と歌う理由

――「キミを見つけた、ヒカリを灯すうた。」で、音沖まこさんは岩瀬唯奈さんとのユニット「なまちゃ」として「夢は始まったばかり」を歌っていますね。

音沖まこ 今まで歌ったことがないタイプの曲でした。先に私が自分なりに歌ってレコーディングして、岩茶(岩瀬唯奈)が合わせて歌ってくれた感じですね。岩茶とは何年も前から「一緒に何か歌える機会があったらいいね」って言っていて、今回歌える機会があってすごくうれしかったです。「夢」っていうワードもすごく出てくるので、なるべく明るく、遠くに向かう感じのイメージで歌いました。

――音沖まこさんだけで歌う「Take a step」は今日レコーディングだそうですが(取材は7月中旬)、どんな印象の楽曲ですか?

音沖まこ 私が演じるキャラクターの水崎愛栞ちゃんが、もともとはすごく暗くて、自分に自信がない子なんです。でも、アイドル現場に行きだして自分の居場所を見つけて心を開くという情景が歌に書かれているんです。だから、最初の歌詞はすごく暗い感じなんですけど、だんだん明るくなっていくイメージの曲ですね。

――音沖まこさん自身として歌う楽曲と、キャラクターとして歌う楽曲とでは、モードが変わっているものですか?

音沖まこ 違いますね、そのキャラクターのイメージや気持ちを考えながら歌うので。水崎愛栞ちゃんが私とは真逆の子なんです。敬語キャラだし、ふだんちょっと自信がないタイプなので、もう本当に水崎愛栞ちゃんをイメージして歌いたいなって思っています。

――音沖まこさんはフリーになったばかりですが、今後はどんな活動をしてみたいでしょうか?

音沖まこ 自分で歌詞を書きたいです。自分の気持ちが乗っている曲を歌えないと、正直意味がないって思うんです。今後はそういう自分の気持ちが乗っている曲を歌えたらいいなって思っています。

――音沖まこさんはフリーになるにあたって、YouTubeで歌い続けたいと言っていましたが、そこまで歌い続けたいのはなぜでしょうか?

音沖まこ 一番気持ちを伝えやすいのが歌だからです。芸能活動を何でやりたいのかって考えると、見ている人たちに元気を与えたいし、笑ってほしいんです。「じゃあ、一番届きやすいのは何だろう?」って考えたときに、強く歌がいいなって思いました。

――音沖まこさんが「元気を与えたい」と思うのはなぜでしょうか?

音沖まこ 私が学生の頃にいじめられていてつらかったときに、音楽にすごく助けられたんです。歌詞にもメロディーにも声にも励まされました。歌によって気持ちが明るくなったり、前向きになったりしたので、やっぱり歌が一番直で伝わりやすいものだなと思ったんです。LiSAさんは明るくて力強い楽曲が多いので、いじめられていたときによく聴いていました。

なまちゃ「夢は始まったばかり」/音沖まこ「Take a step」ジャケット(提供:せんちゃ)
なまちゃ「夢は始まったばかり」/音沖まこ「Take a step」ジャケット(提供:せんちゃ)

私は釣り師ではないので

――高橋麻里さんは声優として「古瀬ひかり」を演じてみていかがでしたか?

高橋麻里 私もアイドル活動をしているので、アイドルの役をいただけてうれしかったです。同じアイドルだけど自分とは違うタイプのアイドルなので、演じていてすごく楽しかったです。台本を読んで、「すごくファンの方の気持ちを代弁しているな」とか「アイドルって確かにこうだよな」と思いました。

――そう感じたポイントはどんなところでしょうか?

高橋麻里 ファンの方が、アイドルのために生誕祭の作業をしているうちに、女性のファンの方とだんだん仲良くなっていくのがすてきだな、って。私のファンの方も、現場で知りあってファン同士で結婚した方や、付き合っている方がいるのを聞いているので、これはありうる話だぞと(笑)。

――今回、高橋麻里さんが演じる「古瀬ひかり」は「無意識なボディタッチでガチ恋オタクを生み出しがち」という役どころですが、自分のキャラクターと重なる部分はあるでしょうか?

高橋麻里 いや、私は釣り師ではないので!(笑)

――そうなんですか?

高橋麻里 私のファンの方は優しく見守ってくださる方が多いんです。

――音沖まこさんにガチ恋のファンはいるのでしょうか?

音沖まこ 「告白マン」って呼ばれている、会うたびに絶対にプロポーズをしてくるオタクがいます。いつも「無理、ごめん!」って言っています(笑)。

音沖まこ(撮影:ごいごい)
音沖まこ(撮影:ごいごい)

ジェットコースターに乗りながら声を出す練習

――高橋麻里さんは昨年10月から声優活動を始めましたが、歌手と声優ではどんなところが違うでしょうか?

高橋麻里 アイドルは8年やっているんですが、アイドルは自分を一番に表現しなくちゃいけないし、自分を出してなんぼというか、自分を見てもらうお仕事じゃないですか? それに比べて声優さんは役があって、役を第一に表現しなきゃいけないというところが根本的に違うので、最初はすごく難しいなって思ったんです。でも、いろんなお仕事をさせていただいたり、先輩方とお話ししたりしていくうちに、表現の違いを自分なりにうまく表していけるようになりたいなと思うようになりました。

――音沖まこさんは、以前はアニソンシンガーや声優をしていましたが、ふだんどういう意識の使いわけをしていたのでしょうか?

音沖まこ 全然違うものですね。声優はいきなりやることになって、声優のレッスンをして演技力がついたら、歌のほうにも表現力がちょっとついてきました。だからすごく幅が広がったと思います。

――高橋麻里さんは、歌手活動と声優活動がリンクする部分はあるでしょうか?

高橋麻里 私は最近ボイス・トレーニングを始めたんですけど、今まで定期的に行ってこなかったので、すごく勉強させてもらっています。もっと歌でも演技でも表現の幅が広がればいいなと思っています。

――ちなみに声優の練習というのは、どうやってするものなのでしょうか?

音沖まこ 初めてレッスンしたときは、声だけでやるのかと思ったら、舞台みたいに動きながらやったんですよ。私の先生は、動きの表現から入っていきました。

高橋麻里 私の場合は、最初は何も演技をしないで台本を読んで、そこから演技をしました。最初は大げさにやって、後から引き算をしろと言われたんです。でも、私は最初から大げさにやることができなくて。私はふだん感情の起伏が本当にないんですよ。「ふんふんふん」ってフワフワして生きているので、あまり「超ムカつく!」みたいなことがなくて、人に怒ることもあまりないんです。でも、演技になると声を張りあげて怒らないといけなかったり、泣かないといけなかったりするので、そういう経験が自分にないなと思って訓練中です。

――それはアイドルとしては強みかもしれないですが、声優をやるとなると感情表現の幅が必要になってきますよね。

高橋麻里 それが本当に今の自分の課題です。「声を大きく出して」って言われても、人よりはるかに小さい声になっちゃいます。遊園地でジェットコースターに乗ったときも、声を出さないんですよ。ずっと「おー」って言う人なんです。でも、この間遊園地に行ったときに「ここは声を出すポイントだ」と思って、「いやー!」って叫びました(笑)。

高橋麻里(右)と音沖まこ(左)(撮影:ごいごい)
高橋麻里(右)と音沖まこ(左)(撮影:ごいごい)

すべてのアイドルコンテンツを制覇したい

――高橋麻里さんはKleissisでの活動が発表されて、8月28日にはシングル「Kleissis Chaos」もリリースされますが、どういう活動をしていく予定なのでしょうか?

高橋麻里 7人組の声優ヴォーカル・ユニットで、メディアミックスプロジェクトなんです。個々にキャラクターが付いているんですけど、キャラクターを演じていくというよりは、キャラクターとともに成長していくコンテンツなんです。私たちの強みとして「歌姫」というテーマがあるので、いろんな歌を歌っていって、どんどん活動していく予定です。

――Dorothy Little Happyは、白戸佳奈さんが卒業してからソロ・ユニットになったので、久しぶりのグループ活動ですよね。

高橋麻里 現場入りして、「おはようございます!」ってメンバーがいるのがすごく新鮮です! いつもはひとりで現場に入って、ひとりでメイクをするけど、Kleissisでは一緒にお仕事の話ができるので、すごく久しぶりの感覚です。楽しくて楽屋がとってもにぎやかです(笑)。

――高橋麻里さんほどのキャリアの人が、いわばゼロの地点からKleissisのオーディションを受けるのはどんな感覚だったのでしょうか?

高橋麻里 「歌姫」というワードを見たときに、絶対受かりたいなって思ったんです。スタジオオーディションがあるんですけど、全然うまくできなかったときに、スタッフさんがわざわざ事前特訓をしてくれたんですよ。だけど、そのときも演技が全然うまくできなくて、もどかしい気持ちで大号泣しました。でも、特訓のおかげでスタジオオーディションでは120%の力を出しきれて、「これでダメだったらショックだな」と思っていたら、合格のお知らせを聞いて、そのときも大号泣しました。お母さんに泣きながら「受かったよ」って連絡して。

――お母さんに代わってその大号泣を聞きたいです。

高橋麻里 お母さんがオーディションをすごく応援してくれて、歌唱オーディションの課題曲についてお母さんに話したら、お母さんも一緒に練習してくれたみたいで(笑)。謎じゃないですか、それ(笑)。「オーディションが終わったよ」って連絡したら、お母さんから「私も今日はその曲をずっと歌ってたよ」という謎のLINEが来て(笑)。最初は「うん?」って思ったんですけど、一緒になって応援してくれていたんだなと思って、すごくうれしかったです。

――すてきですね、お母さんの音源も聴いてみたいです。Kleissisではどんなふうに歌っていきたいでしょうか?

高橋麻里 グループとしてかっこいい世界観を持っているけど、私はどちらかというとかっこいい歌声ではなかったりするんです。でも、自分の声や歌で、7人の中でみんなとは違った個性を表現できたらいいなって、グループだからこそ思います。

――声優としてやってみたい役はあるでしょうか?

高橋麻里 ありがたいことに、アイドルとかかわいい女の子の役がすごく多いので、自分の長所を伸ばしていきたいなと思っています。すべてのアイドルコンテンツを制覇できるように頑張ります!

――すごいことを言いだしましたね!

高橋麻里 でも、そういう方もいらっしゃるじゃないですか? 「この作品にも出てる!」みたいな。そのぐらい自分の強みをいかせていけたらいいなと思っています。

声が出なくなるまで歌いたい

――高橋麻里さんは、声優をやるので歌をやめるという選択肢はありませんでしたか?

高橋麻里 ないですね。

――どうしてそんな歌いたいのか、自分で考えたりしますか?

高橋麻里 考えます。生きがいですね。今の自分がいるのは、自分の歌があったからだと思っているんです。自分の今の環境や出会いは、全部自分の歌が関係していると思っているので、それをやめたいなんて思ったことがないんです。「もう何もやりたくない」って思うときもあるじゃないですか? そんなときでも歌だけはやりたいって思います。つらいときも歌っているので。

――ある日誰かに「今日からもう声優だけだ、歌っちゃダメだ」って言われたらどうしますか?

高橋麻里 絶対その人のことを「ばちーん!」ってたたきます(笑)。「何言ってんだ、私の歌を聴け!」って言います(笑)。声が出なくなるまで歌いたいなって思います。それが自分のぶれないところですね。

――ファンの人もそれを聞いて安心すると思います。

高橋麻里 この気持ちをすごく伝えたいですね。自分の歌で人の人生を変えたいし、つらいときには元気にしてあげたいし、うれしいときにはさらにうれしくしてあげたいんです。私の歌で人生を支えてあげたいし、生かしてあげたいんです。すごく大きなことを言っちゃうと、生活の一部にしてもらいたいんです。そういう関係性をたくさんの人と作れればいいなって思っています。

高橋麻里(撮影:ごいごい)
高橋麻里(撮影:ごいごい)

ファンの皆さんを不安にさせているけれど

――高橋麻里さんも音沖まこさんも、いろいろ変わっていく夏だと思います。新しい高橋麻里さん、新しい音沖まこさんとして、今後どんな活動をしていきたいでしょうか?

音沖まこ これからは本当に素の自分を出して、楽しく面白くやりたいのです。変に作った自分じゃなくて、素の自分を出して、ファンの人になるべく近くで、友達みたいな感覚で見てもらえるようになりたいと思います。今後はいろいろ面白いことができるんじゃないかなって思っています。

高橋麻里 私はお仕事で本当にいろいろチャレンジさせていただいているので、もっともっと自分のできることを増やしていきたいなって思います。ファンの皆さんに会える時間を大切にして、皆さんに伝えられるものを、ちゃんと伝えていきたいです。ファンの皆さんを不安にさせてばっかりなんだろうと思うと、今も泣きそうなんです。それでも応援してくれる方もいらっしゃいますし、そういう方に一生をかけて私は恩返しをしたいんです。これからも自分の歌や姿や声で、ずっとみんなのそばにいるよって伝えたいです。