寺嶋由芙が福岡で歌った「YOU MAY DREAM」~全国ツアー福岡、広島ワンマンライヴレポート

広島公演での寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

寺嶋由芙にとって過去最大規模のツアー

アーティストが過去最大規模のツアーをするときは、可能な限り行ったほうがいい。久しぶりにそんな感覚に突き動かされたのが、寺嶋由芙のワンマンツアー「『寺嶋由芙の会いに行くつもり』supported by japanぐる~ヴ(BS朝日)」だった。グループ・アイドル全盛の現在において、前作のシングル「わたしを旅行につれてって」がデイリー9位を記録したソロ・アイドル、寺嶋由芙の全国ツアーである。

ここでは全国8公演のうち、2017年10月28日にLIVEHOUSE CBで開催された福岡公演、10月29日にCAVE BEで開催された広島公演をレポートしたい。

ツアーは10月14日の千葉公演からスタート。福岡、広島でのワンマンライヴは寺嶋由芙にとって初。特に福岡公演は、彼女にとって初めての九州でのワンマンライヴでもあった。

2017年10月28日福岡LIVEHOUSE CB

当日は台風22号の影響が懸念されたため、なんとしても博多にたどりつくために、私は飛行機をキャンセルして新幹線に乗り、関門海峡を渡って5時間をかけて博多に到着。なお、飛行機は普通に飛んでいたらしい。

福岡公演は、rionosが今回のツアーのために制作したオープニングSEが鳴り響いてスタート。そのSEとともにゆるキャラらがステージに登場すると、寺嶋由芙のレギュラー番組「japanぐる~ヴ」を模して、彼女が今日登場するゲストたちを映画評論家の松崎健夫に紹介する映像が始まった。

そして、11月8日リリースのニュー・シングル「知らない誰かに抱かれてもいい」のカップリング「世界で一番かわいい君へ」の白いコート姿の寺嶋由芙がステージに登場し、彼女のソロ・デビュー・シングル「#ゆーふらいと」でライヴは幕を開けた。同じく「知らない誰かに抱かれてもいい」のカップリング「好きがはじける」や、これまでのシングル曲「天使のテレパシー」「ふへへへへへへへ大作戦」「わたしを旅行につれてって」も歌い、さらにメドレーでフロアを湧かせていく。

そして「カンパニュラの憂鬱」では、有明ガタゴロウと大野ジョーがステージに登場。有明ガタゴロウは佐賀県で活動するゆるキャラ、大野ジョーは福岡県大野城市のゆるキャラだ。

寺嶋由芙、有明ガタゴロウ、大野ジョー(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙、有明ガタゴロウ、大野ジョー(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

佐賀県で活動するタレントの青木理奈もステージに招かれ、大野ジョーの楽曲「大野ジョー」を踊ることに。2パターンのダンスがあるうち、まず難しいヴァージョンを大野ジョーと寺嶋由芙がお手本として踊ったものの、ふたりのダンスがあまりにも激しいため、有明ガタゴロウは「死ぬ死ぬ! もっと簡単なのないの?」。

結局、簡単なヴァージョンで踊ることになり、大野ジョーが会場のファンにもレクチャー。その間に寺嶋由芙は「知らない誰かに抱かれてもいい」の衣装に着替え、有明ガタゴロウのテーマ曲「ガタちゃん」を有明ガタゴロウ、青木理奈とともに披露した。そして、有明ガタゴロウ、大野ジョーとの「ゆるキャラ舞踏会」も。

寺嶋由芙、有明ガタゴロウ、青木理奈(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙、有明ガタゴロウ、青木理奈(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

JOYSOUNDの最新ハイレゾカラオケ・JOYSOUND MAX2を九州まで持ちこんでのカラオケコーナーでは、松田聖子が福岡県久留米市出身ということで、「風立ちぬ」を寺嶋由芙、そして衣装を替えた青木理奈でデュエット。秋にふさわしい選曲となった。

今回のツアーでは、チケットの半券番号で指名されたファンがくじ引きをして、その日のセットリストに入っていない楽曲を寺嶋由芙が歌うコーナーも。この日は「猫になりたい!」が歌われることになった。

寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

また、草野マサムネが福岡県福岡市出身ということで、スピッツの「楓」のカヴァーも久しぶりに披露。レア曲である。ライヴ本編は「知らない誰かに抱かれてもいい」で終わった。

福岡に到着してから撮影された映像を流している間に「いやはや ふぃ~りんぐ」の衣装に着替えた寺嶋由芙は、アンコールを「YOU MAY DREAM」でスタート。福岡県出身のシーナ&ザ・ロケッツのカヴァーだ。

この日の会場であるLIVEHOUSE CBには、シーナ&ザ・ロケッツのポスターが大量に貼られていて興奮してしまったほどだった。それゆえに、福岡で寺嶋由芙が歌った「YOU MAY DREAM」もまた特別なものとして響いた。

福岡LIVEHOUSE CBに貼られたシーナのポスター。筆者撮影
福岡LIVEHOUSE CBに貼られたシーナのポスター。筆者撮影

シーナは2015年2月14日にこの世を去ったため、2015年5月20日にリリースされた寺嶋由芙のメジャー・デビュー・シングル「ふへへへへへへへ大作戦」のカップリング「YOU MAY DREAM」をシーナ本人が聴くことはなかった。

今回のツアーでは、寺嶋由芙がご当地のゆるキャラやタレントを招きつつ、さらにご当地にちなんだ楽曲のカヴァーを行なっている。スタッフからの意見を聞きつつも、最終的には寺嶋由芙自身がセットリストを組んでいることにも注目したい。努力の人だ。代表曲をしっかりと聴かせつつ、公演ごとに大きく選曲も変化している。この日の「ガタちゃん」「大野ジョー」「風立ちぬ」「楓」、そして「YOU MAY DREAM」のように。

アンコールでは、有明ガタゴロウを含むゆるキャラ10体と「寺嶋由芙 with ゆるっふぃ~ず」名義でリリースした2015年の「いやはや ふぃ~りんぐ」も有明ガタゴロウと歌われた。

ダブルアンコールでは、Tシャツ姿に着替えた寺嶋由芙など出演者全員で「世界で一番かわいい君へ」、そして「ぜんぜん」を歌い踊り、福岡公演はステージもフロアも全員が笑顔の中で終了した。

青木理奈、有明ガタゴロウ、寺嶋由芙、大野ジョー(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
青木理奈、有明ガタゴロウ、寺嶋由芙、大野ジョー(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

2017年10月29日広島CAVE BE

寺嶋由芙にとっては、ソロで広島を訪れるのはまだ2回目。そして、2回目にして早くもワンマンライヴ開催となった。

「知らない誰かに抱かれてもいい」の衣装でステージに現れた寺嶋由芙が1曲目に歌ったのは、今回のツアーで初披露されたばかりの「好きがはじける」。続けて「好きがこぼれる」を歌い、ロック・ナンバーでライヴ序盤を盛りあげた。

意外だったのは、ツアーのこれまでの公演では本編ラストで歌われていた「知らない誰かに抱かれてもいい」が、4曲目で早くも歌われたことだ。セットリストや構成を固定化させず、公演ごとに変化をつけようとする寺嶋由芙の姿勢が、広島公演の序盤で早くも明確になっていた。

寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

この日のカラオケコーナーは、プリンセス プリンセスの奥居香(現:岸谷香)が広島県広島市出身ということで、プリンセス プリンセスの「M」が歌われた。

そして、ゲストの呉氏が映像で紹介された後に登場。広島県呉市のゆるキャラだ。「わたしを旅行につれてって」の衣装に着替えた寺嶋由芙は、呉氏と一緒に「呉ー市ー GONNA 呉ー市ー」を踊ったのだが、これはTRFの「CRAZY GONNA CRAZY」の替え歌。呉氏のダンスのキレが良すぎて、まるで寺嶋由芙と呉氏による新ユニットのようだった。「ゆるキャラ舞踏会」での呉氏の動きも、まったくゆるくない。

呉氏、寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
呉氏、寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

この日、くじ引きで決まったのは、マドンナのカヴァー「ライク・ア・ヴァージン」。さらに公演ごとのレア曲として、「#ゆーふらいと(Shiggy Jr. Remix)」が歌われた。2014年にリリースされたShiggy Jr.によるリミックスだが、歌われたことはたった一度しかないレア曲。この日でやっと2回目だ。むしろ今後の対バンイベントで武器として使ってもいいのではないかとすら感じた。そして、メドレーと「ねらいうち」によりトチ狂った盛りあがりとなったまま本編は終了。

その直後、ファンのひとりが「それでは私がアンコールの音頭を取らせていただきます!」と叫ぶと、さらに他の複数のファンが「私がアンコールの音頭を取らせていただきます!」と叫ぶ、謎のアンコールの音頭の奪いあいが発生。そのわけのわからなさは、とにかく盛りあがった広島公演の熱さを物語る光景だった。

広島での撮って出し映像が流された後は、「世界で一番かわいい君へ」の白いコート姿になった寺嶋由芙がアンコールに登場。そして、2年広島に来られなかった間にリリースしたアルバム「わたしになる」からタイトル曲「わたしになる」を歌った。それは、2年という年月の重さを感じさせた瞬間でもある。

寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

ダブルアンコールでは、Tシャツ姿に着替えた寺嶋由芙が呉氏とともに「世界で一番かわいい君へ」、そして日曜日のライヴでの定番曲「ぼくらの日曜日」を歌い、寺嶋由芙と呉氏、そしてフロアのファン同士が肩を組み、大団円となった。

ところが、恒例の撮影OKタイムを忘れていた寺嶋由芙。スタッフと相談して、「もう一曲やります!」と、呉氏と2度目の「呉ー市ー GONNA 呉ー市ー」を踊ることになった。

「2」。それが広島公演のキーワードだった。

寺嶋由芙、呉氏(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)
寺嶋由芙、呉氏(提供:ディアステージ、撮影:島田憲典、梅本高志)

すべてが一期一会のライヴ

寺嶋由芙のツアーは今後、仙台、札幌、大阪、名古屋、東京でライヴを開催予定。公演ごとにどんな変化があるのか、今後も楽しみにしたい。次の11月4日の仙台公演には、Dorothy Little Happyの高橋麻里も出演予定。こういう日に限って私は行けないのだが……。

寺嶋由芙は、ご当地のゆるキャラやタレントとの共演、ご当地ソングのカヴァーなどで、公演で訪れた土地への敬意を表していく。何を歌うのかその場になってみないとわからない企画もあれば、公演ごとのレア曲の披露もあり、現地に到着してから撮った映像の上映もある。各公演で着る衣装は新旧4着。

そのうえで、寺嶋由芙というアーティストの個性もしっかりと伝えているのだ。誰もが楽しめる空間を作りあげようとする姿には、アイドルという枠を超えたエンターテイナーとしての寺嶋由芙の資質も浮かびあがる。「『寺嶋由芙の会いに行くつもり』supported by japanぐる~ヴ(BS朝日)」とはそんなツアーなのだ。

今もまだ、シーナ&ザ・ロケッツのシーナ亡き後に、福岡LIVEHOUSE CBで寺嶋由芙によって歌われた「YOU MAY DREAM」が耳の奥で鳴っている。私たちは夢を見ることができる。

福岡LIVEHOUSE CBに貼られたシーナ&ザ・ロケッツのポスター。筆者撮影
福岡LIVEHOUSE CBに貼られたシーナ&ザ・ロケッツのポスター。筆者撮影

セットリスト

2017年10月28日福岡LIVEHOUSE CB

1.#ゆーふらいと

2.好きがこぼれる

3.好きがはじける

4.天使のテレパシー

5.ふへへへへへへへ大作戦

6.わたしを旅行につれてって

7.メドレー :みどりの黒髪

8.~お願いバッカス

9.~contrast

10.~オブラート・オブ・ラブ

11.カンパニュラの憂鬱

12.大野ジョー

13.ガタちゃん

14.ゆるキャラ舞踏会

15.風立ちぬ

16.猫になりたい!

17.楓

18.初恋のシルエット

19.わたしになる

20.知らない誰かに抱かれてもいい

(アンコール)

21.YOU MAY DREAM

22.いやはや ふぃ~りんぐ

(ダブルアンコール)

23.世界で一番かわいい君へ

24.ぜんぜん

2017年10月29日広島CAVE BE

1.好きがはじける

2.好きがこぼれる

3.好きがはじまる

4.知らない誰かに抱かれてもいい

5.初恋のシルエット

6.M

7.天使のテレパシー

8.猫になりたい!

9.呉ー氏ーGONNA呉ー氏ー

10.ゆるキャラ舞踏会

11.わたしを旅行につれてって

12.カンパニュラの憂鬱

13.ライク・ア・ヴァージン

14.#ゆーふらいと(Shiggy Jr. Remix)

15.メドレー:みどりの黒髪

16.~お願いバッカス

17.~contrast

18.~オブラート・オブ・ラブ

19.ねらいうち

(アンコール)

20.わたしになる

21.ぜんぜん

(ダブルアンコール)

22.世界で一番かわいい君へ

23.ぼくらの日曜日