ラグビーのリーグワンは5月8日までにレギュラーシーズンの全日程が終了した。

 最終節では試合当日の中止があり、利害関係のあるクラブ間の調整役たるべき運営側の重要性が再認識させられた。

 その一方で、グラウンド内では5月21日からのプレーオフ行きを争う上位争いが白熱。サンゴリアス、ワイルドナイツ、スピアーズが第14節までにその切符を得るなか、残るひと枠をイーグルス、ブレイブルーパス、ヴェルブリッツの3チームが奪い合うこととなった。

 結局、イーグルスが第15節までに2連敗を喫して脱落。ヴェルブリッツが最終節をウイルス禍のため辞退したことで、ブレイブルーパスが果実をもぎ取った。

 本欄ではその激闘を彩った選手を私的に表彰する。

ディビジョン1第12~16節 私的アワード

★交流戦MVP 堀江翔太(ワイルドナイツ)

★交流戦MIP クワッガ・スミス(ブルーレヴズ)

★交流戦新人賞 根塚洸雅(スピアーズ)

★交流戦ベストフィフティーン

1、稲垣啓太(ワイルドナイツ)

2、堀江翔太(ワイルドナイツ)

3、ヴァル アサエリ愛(ワイルドナイツ)

4、ワーナー・ディアンズ(ブレイブルーパス)

5、ジェイコブ・ピアス(ブレイブルーパス)

6、クワッガ・スミス(ブルーレヴズ)

7、マット・トッド(ブレイブルーパス)

8、アタアタ・モエアキオラ(スティーラーズ)

9、中嶋大希(スティーラーズ)

10、フレッチャー・スミス(グリーンロケッツ)

11、高橋汰地(ヴェルブリッツ)

12、ヴィリアミ・タヒトゥア(ブルーレヴズ)

13、ルカニョ・アム(スティーラーズ)

14、根塚洸雅(スピアーズ)

15、野口竜司(ワイルドナイツ)

終盤戦に際立った切り札

 後半戦MVPは、後半戦で唯一の実戦全勝となったワイルドナイツから選んだ。堀江翔太は途中出場がメインも、リードされた試合を逆転する際には主導的な立場。いかなる衝撃を受けても身体の軸が一定のようで、要所での突破、タックル、ジャッカルが際立った。これからワイルドナイツに勝とうとする相手は、序盤までに相当な点差をつけなければならなくなりそうだ。

 印象的なプレーの多い選手が対象のMIPはクワッガ・スミス。ブルーレヴズの堅守をゴール(攻守逆転)に導くジャッカルを再三、繰り出し、攻めてはスピードとコンタクト時のボディバランスでゲインメーターを稼ぐ。ブレイブルーパスでの最終節では、味方のキックを後方から追いかけてノーバウンドで捕球。そのまま約60メートルを走り切り、トライを決めた。

 新人賞は交流戦に続き、スピアーズの根塚洸雅となった。防御の死角へ駆け込んではクリーンブレイクを重ね、居並ぶ防御と対峙した際も果敢にミスマッチを突く。相手キックの処理に確実性が増した。スピアーズの若手ランナーでは他に、フィジカリティと思い切りの良さで勝負するウイングの木田晴斗、タックラーと接触後も多彩なオフロードパスを繰り出せるアウトサイドセンターのハラトア・ヴァイレアも光った。

必勝リレーと看板スクラム&防御

 本欄で毎節選定してきたベストフィフティーンでは、開催された試合でチームの勝利に直結する(しうる)働きを全うした選手を優先的にリストアップしている。今回のラインナップには、その並びに入ったか、入ってもおかしくなかった回数の多いメンバーが揃った。

 左プロップではワイルドナイツの稲垣啓太がロータックル、ジャッカルで出色の存在感。リザーブスタートのクレイグ・ミラーも似た役回りで爪痕を残し、フッカーの坂手淳史主将、右プロップの平野翔平といった同部の他のフォワード第1列と並び、「必勝リレー」の風情を醸した。

 右プロップでスーパーサブ的な役割を担うのは、ヴァル アサエリ愛。イーグルスとの第14節では、14―17と3点差を追う後半15分にスクラムターンオーバーを披露している。

 フォワード第1列では他に、ブルーレヴズの河田和大日野剛志伊藤平一郎の3名が自軍の看板である低いスクラムで魅する。なかでも今季からレギュラーとなった河田は、後半戦では防御でも爪痕を残した。ブラックラムズとの第12節。相手がタッチライン際にできた接点から中央方向へ折り返し、直線的な攻めを選んだ際、この人が走者へ臆せず突き刺さっていた。

4強入り掴んだツインタワーと攻撃力あるバックロー

 ロックでは、ブレイブルーパスで4強入りの2名をリストアップした。

 ワーナー・ディアンズは空中戦のラインアウトを鋭く高いジャンプで安定させる。さらにはスクラムハーフから球をもらっての突進する際に、迫り来るタックラーの芯を逃れて前進できる。相手との間合いが近いなかでも、多彩な走りが披露できる。相方のジェイコブ・ピアスは中盤戦を怪我で欠場も、復調するや持ち味の運動量とパワーを活かす。モールで壁役を担い、防御時の接点では走者や球の出どころに圧をかける。

 ブレイブルーパスでは他に、フォワード第3列でマット・トッドを選定。エッジと呼ばれるグラウンドの端側でボールを持てば、タックラーを引きずりながら周囲へオフロードパスをつなぐ。ヴェルブリッツ戦では即興的な足技でトライを演出。試合終盤までロ―タックルを重ねるタフさも魅力だ。

 ナンバーエイトで光ったのは、スティーラーズのアタアタ・モエアキオラ。もともとはウイングでプレーも、終盤戦に入るとリーグ屈指の突破力とパス、キックのスキルをグラウンドのあちこちで活かす位置へ転向。終盤戦2連勝に喜んだ。

 バックファイブでは他に、イーグルスのロック、コリー・ヒルも空中戦、接点で軸となった。シーズン終盤に怪我で抜けたのが悔やまれた。イーグルスではフランカーのコーバス・ファンダイクもモールの壁役、ジャッカルで魅し、ヴェルブリッツの姫野和樹も第15節で故障するまでランナー、ボールハンターとして周りを鼓舞した。

攻撃的な司令塔団はじめ個性派が並ぶ

 ハーフバックス団には、復調の兆しを覗かせたクラブの2人が入った。

 スティーラーズのスクラムハーフ、中嶋大希は接点から球を持ち出して防御をひきつけ、大外の味方を存分に走らせる。グリーンロケッツのスタンドオフ、フレッチャー・スミスは混沌状況からスペースを破る走力、パス技術に長ける。司令塔では他に、スピアーズのバーナード・フォーリーが長短のキック、防御へ仕掛けながらのパスを披露した。

 センターではワイルドナイツを攻守両面で支えるディラン・ライリーを抑え、ブルーレヴズのハードヒッターであるヴィリアミ・タヒトゥア、防御を引き寄せられるスティーラーズのルカニョ・アムが隊列に並ぶ。

 ウイングでは空中戦に強い髙橋汰地が安定した働きを披露。最後尾のフルバックではシャイニングアークスのイズラエル・フォラウが問答無用の突破を繰り出し、サンゴリアスのダミアン・マッケンジーが縦への仕掛けと横へのパスの合わせ技で再三、チャンスを作った。ただし今回は、フィールディングに長けたワイルドナイツの野口竜司を選んだ。