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プレーオフ争いに影響の「判断」とは&ディビジョン1第15節私的ベストフィフティーン【ラグビー雑記帳】

向風見也ラグビーライター
強靭な足腰と軽快なフットワークが魅力のタマニバル(写真は3月19日の第10節)(写真:松尾/アフロスポーツ)

 ラグビーのリーグワン・ディビジョン1の第15節では、かねて4分の3が埋まっていたプレーオフ出場枠の争いに進展が見られた。

 第13節まで4位だったイーグルスが2連敗で6位に転落。最後の第16節で4位以内に浮上できなくなり、チャンスがあるのは目下4位のブレイブルーパス、同5位のヴェルブリッツだけとなった。

 イーグルスは5月1日、シーズン中盤以降に大物を相次ぎ補強したスティーラーズに敗戦。後半10分以降、ミスが絡む失点でスコアを広げられた。得点機を逃し、直後に得られた中盤での自軍ラインアウトを確保できず、間もなく穴を突かれてトライを許した。19―31。スティーラーズの防御が揃いづらくなった終盤こそ追撃も、33―42と及ばなかった。

 かたやブレイブルーパスは同日、首位だったサンゴリアスを27―3と下す。雨天下とあってお互いに球を回しづらいなか、複層的な仕掛けで防御に風穴を開けて後半に2トライ。守っては鋭い出足のタックルを重ね、接点の球にタフに絡んだ。

 好タックルを放ったスクラムハーフの小川高廣共同主将は、このように述べた。

「自分たちには強いランナーがいっぱいいて、そこ(の勝負で)は勝てると思っていました。実際にやってみると、やはり強いキャリーができました。また、FWのディフェンスが本当に(相手を)前に出さなかったので、(システム上)外にいる自分としては『上がれば(走者に)当たる』という感じ。FWに感謝したいです」

 殊勲者はアウトサイドセンターのセタ・タマニバル。前節でレッドカードをもらっていたため、週明けの裁定で出場停止が告げられるリスクもあった。

 ふたを開けてみれば、お咎めはなし。トッド・ブラックアダーヘッドコーチはガッツポーズを作った。

「(不正なプレーなどへの制裁を決める)ジュディシャル・パネル側が正しい判断をしてくれた。彼が試合に出られることは週の早い段階でわかりました。結果、セタはこれまでで最大級と言えるパフォーマンスをしてくれました」

 さかのぼって4月30日には、ヴェルブリッツがブラックラムズに64―17で快勝。サンゴリアスとの最終節に望みを残した。

<ディビジョン1 第15節 私的ベストフィフティーン>

1,クレイグ・ミラー(ワイルドナイツ)…人員を大きく入れ替えて臨んだグリーンロケッツ戦を39―10で勝利。スクラムでは一時的に圧をかけられながら、後半19分に敵陣ゴール前左で組んだ相手ボールをはじめ、重要な一本を押し込んでいた。フィールドでは強烈なタックル、相手の反則を誘うスイープが見られた。

2, 有田隆平(スティーラーズ)…イーグルスとの打ち合いにあって、ロ―タックル、敵陣でのスクラムのプッシュで存在感を発揮した。サンゴリアス戦に出たブレイブルーパスの橋本大吾は、好ラインブレイクでトライを演出。

3, 木津悠輔(ヴェルブリッツ)…ブラックラムズを64―17で快勝。序盤のラインブレイクをトライにつなげ、スクラムでは好プッシュを重ねる。スピアーズのオペティ・ヘルは相変わらずの突破力。

4, ワーナー・ディアンズ(ブレイブルーパス)…空中戦、接点で奮闘する。前半7分頃には自陣ゴール前左で相手ボールラインアウトをスティール。コンビを組んだジェイコブ・ピアスは突進役として相手タックラーの反則を誘い、守っては後半7分頃、自陣でセカンドタックルを決めるや起立。間もなく目の前の走者を羽交い絞めにして、相手のミスを誘った。

5,パトリック・トゥイプロトゥ(ヴェルブリッツ)…トライをおぜん立てする突進に強烈なタックルを重ねた。対戦したブラックラムズでは、柳川大樹も接点で気を吐いた。

6,リーチ マイケル(ブレイブルーパス)…こぼれ球への反応、抜け出した味方への援護で気を吐く。ヴェルブリッツの吉田杏は序盤に自陣の深い位置でターンオーバーを決め、試合を通して豪快な突進を重ねる。

7,マット・トッド(ブレイブルーパス)…グラウンド端側での走りとタックルをされながらのパスでチャンスを広げる。後半疲れのたまる試合終盤には、自陣22メートル線付近でロ―タックルを繰り出す。

8,アタアタ・モエアキオラ(スティーラーズ)…前半終了間際には自陣ゴール前で相手のモールを正当に崩し、パイルアップに持ち込む。中央、端側と場所を問わず突破力を披露し、状況に応じてキックで陣地を挽回した。ブレイブルーパスの山本浩輝は、サンゴリアス戦の前半25分頃に自陣で好ジャッカル。それを前後し、接点で際立った。

9,小川高廣(ブレイブルーパス)…サイドアタックとロングキックで雨天下でのサンゴリアス戦を優勢に進めた。交代する直前の前半15分頃には、防御ラインの左大外から飛び出してタックル。相手のミスを誘った。スティーラーズの中嶋大希は抜け出した味方への援護(インゴールノックオンが口惜しい!)、インターセプトからのトライが光った。

10,バーナード・フォーリー(スピアーズ)…シャイニングアークス戦は前半こそ8―13とリードされるも、要所でのロングキックで陣地を挽回。長短のキックを蹴っては望む位置からの攻め返しを実現し、防御をひきつけてのパス、オフロードパスは味方のビッグゲインを誘った。ブレイブルーパスの中尾隼太は、防御をひきつけながらのパスでラインブレイクを促したり、フェーズアタック中にバックスペースをキックでえぐったりと技術と判断で仲間の持ち味を引き出した。

11,高橋汰地(ヴェルブリッツ)…得意のハイボールキャッチで相手のチャンスを未然に防いだ。前半35分頃には好ターンオーバーでピンチを救った。相方の岡田優輝も堅実。

12,ルカニョ・アム(スティーラーズ)…イーグルス戦。ジェシー・クリエルとの1対1でトライを許したシーンは悔やまれそうだが、強烈な突進、圧力下での後方へのパス(前半35、後半8分にトライを演出!)、一瞬で複数名の動きに対処する守備範囲の広さを披露。スピアーズの立川理道はロングキックで試合を落ち着かせ、攻めに転じた際には多彩な手わざでチャンスを広げた。

13,セタ・タマニバル(ブレイブルーパス)…強烈なタックルとカウンターラックで、対するサンゴリアスの攻めの流れを立った。攻めてもしなやかで強い走りで防御を攻略。折に触れて密集地帯への駆け込み、チャンスを広げた。ヴェルブリッツのチャーリー・ローレンスは、抜け出した選手へのサポート、味方のターンオーバーや相手のミスを誘うタックルでワンサイドゲームを支えた。

14,根塚洸雅(スピアーズ)…アンストラクチャーからビッグゲインを連発。後半30分には、その走りで試合を決定づけるトライも決めた。スティーラーズの山下楽平は、人のいないタッチライン際で球をもらい、追っ手に捕まらない走りを連発。

15,野口竜司(ワイルドナイツ)…雨天のもと、相手の蹴ったハイボールを複数名と競り合いながら捕球。安定したフィールディングは、結果的に後半12分のトライの起点にもなった。コベルコスティーラーズの山中亮平もロングキック、外側のスペースを切り裂いてからのオフロードパスで魅した。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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