今秋の日本代表メンバー39名が発表された9月21日、同時にリストアップされたのがナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の計5選手である。

 NDSとはもともと、2016年に就任したジェイミー・ジョセフヘッドコーチの肝いりの事業。有望株をトレーニングや実戦で強化し、代表選手に相応しいレベルに引き上げるのが狙いだ。

 日本代表は今年5月まで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で約1年8か月も活動しなかった。

 さらに2019年の日本大会8強入りを支えたサンウルブズ(スーパーラグビーの日本チーム)、年代別代表の活動もないため、テストマッチで勝利を狙う代表本隊と予備軍たちとの関係構築に苦心してきた。

 複数の協会関係者は「このままでは、2023年(フランス大会)まではこの流れで問題ないとしても、それ以降に苦しい戦いを強いられかねない」といった旨で危惧する。

 今度のNDSのメンバーは、秋のテストマッチに向けた代表候補合宿へ参加。かような措置が取られたのは、代表陣営が中長期的な課題とも向き合っている証だろう。

 今回は藤井雄一郎ナショナルチームディレクターによると、「前回のトップリーグでの活躍を踏まえて、または色々な情報を得たなか」で下記5名を選出している。

◎=日本代表および同候補入りの経験者

右プロップ 淺岡俊亮(トヨタ)…186・121・1996/6/24・- ◎

フッカー 武井日向(リコー東京)…171・96・1997/6/17・–

ロック/フランカー ワーナー・ディアンズ(東芝東京)…202・122・2002/4/11・–

フランカー/ナンバーエイト 福井翔大(埼玉パナソニック)…186・101・1999/9/28・–

ウイング 中野将伍(東京サントリー)…186・100・1997/6/11・– ◎

 実際には、大学ラグビーの現場も見て回ったという代表スタッフもいるなど「NDSのそのまたNDS」に該当する選手はさらに多くいるかもしれない。

 本稿では、あくまで筆者の独断と偏見で「勝手にNDSベスト15」を編成する。今回の日本代表候補やNDSに入っていないノンキャップ組のうち、特に躍進が期待される戦士を並べた。

 現在開催中の大学ラグビー、2022年1月からのジャパンラグビーリーグワンを楽しむ材料とされたい。

1,谷口祐一郎(リコー東京)…180・106・1998/6/4

 2020年度に天理大学で初の大学日本一を達成。同部では「槍」をモチーフにした低くまとまったスクラムを実践。フィールドプレーでもタックル、カウンターラックと存在感を示した。

2,佐藤健次(早稲田大学)…178・100・2003/1/4

 桐蔭学園主将として昨季の全国高校ラグビー大会で2連覇。当時から現在までナンバーエイトに入るが、将来的にはフッカー転向を希望。タックル、ジャッカル、強くて軽快なランが光る。一部ではアウトサイドセンターへの転向を推す関係者もいるほど、マルチプレーヤーぶりが際立つ。

3,細木康太郎(帝京大学)…178・116・2000/1/28

 ひたすらボールを持って前に出られる。加速力がある。スクラムも強い。2021年度は帝京大学で主将を務め、混じりけのない勝利への意志をリーダーシップの源泉にしている。

4,秋山大地(トヨタ)…192・117・1996/11/14

 2018年度帝京大学主将。大きな身体で低く強いタックルを連発。グラウンドの中央で防御を引き締められそうだ。本人は「日本代表になるのは憧れですし、ワールドカップ出場は夢でもあります。(課題は)ハードタックルを繰り返してできるフィットネス、ラグビーの戦術理解度です」とさらなるレベルアップを希求する。

5,ワイサケ・ララトゥブア(東海大学)…191・118・1998/3/17

 2019年にフィジーから来日。もともと強さ、しなやかさを兼備させた走りで注目されたが、今季はモールの芯としての働き、抜けた味方をカバーする防御と下働きもいとわない。2018年度20歳以下フィジー代表。

6, アフ・オフィナ(東海大学)…187・107・2000/6/18

 東海大福岡高校から2020年度に東海大学入り。クラブの中長期計画に伴い、高校時代から日本の文化になじんできた。強烈なタックルを喰らわせてはすっと起き上がって次の防御ラインに参加。攻めては躊躇なくトップスピードで人垣へ突っ込める。激しくて勤勉。

7,山本凱(慶應義塾大学)…177・98・2000/3/17

 年代別代表時代から、足腰と上腕の強さを活かしたタックルとジャッカルで強豪国の球出しを遅らせてきた。つまり、小柄でも外国人を圧倒しうる日本人フランカーとして期待される。所属先の栗原徹監督のもとでは「ラグビーナレッジ」の向上を課題とし、さらなるスケールアップを図る。

8,箸本龍雅(東京サントリー)…188・106・1998/11/23

 球を持てば強靭さと加速力、フットワークの合わせ技で人垣をすり抜けながら前進。ピンチのエリアへ駆け戻ってのタックルも光る。明治大学の主将となる直前には、サンウルブズの練習生にもなった。「仕事もラグビーも頑張っているんだ、となると、応援されやすいのでは」と、現在は社員選手として奮闘する。

9,藤原忍(クボタ東京ベイ船橋)…171・76・1999/2/8

 前年度まで4年間、天理大学の背番号9をつけて最終学年時は頂点に立った。素早いテンポでパスをさばけるうえ、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる領域で相手の嫌がる所作を重ねられる。負けん気の強さも際立つ。

10,高本幹也(帝京大学)…172・84・2001/3/15

 落ち着きと遊び心を同居させたような風情で、時に仕掛け、時に味方へ球を預け、時に長短織り交ぜたキックを放つ。「全体を見る」を意識する延長で、目を向けている方角とは逆へ弾道を飛ばすこともある。相手の虚を突ける。

11,大畑亮太(筑波大学)…175・76.8・2002/7/2

 このまま国際舞台へ行けばかなり細身の部類に入るが、飛び切りの速さとコンタクトに躊躇のない気質は確か。要領もよさそう。思えばかの福岡堅樹さんも筑波大学時代、当時のエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチに「フィジカルは中学生です。ただ、ワールドクラスのスピードを持っている」と代表に抜擢された。今度の新星も、「脚力を保ったまま国際基準の強さを身に付けるプログラム」が与えられたい。

12,長田智希(早稲田大学)…179・90・1999/11/25

 2021年度早稲田大学主将。定評があるのは死角から相手を仕留めるキックチェイス、防御ラインの整備、人と人の間へ駆け込みながらの大外へのパス。いわゆる「気の利き方が尋常ではない選手」。今季は戦術上、ゲインライン上での突進役も担う。

13,ペニエリ・ジュニア・ラトゥ(大東文化大学)…189・102・2000/10/24

 大きさ、早さ、うまさに加え、防御時のリアクションでチームを助ける。

14,木田晴斗(立命館大学)…176・89・1999/4/9

 外国人選手のタックルを引きずって前進できる強さとボディバランス、捕まった後にボールを失わぬ身のこなし、空中戦へも躊躇なく飛び込める資質は、ジュニア・ジャパンなど年代別の代表活動でも際立った。少年時代は空手で黒帯。勉学重視の方針で私立の関西大倉中学を受験し、入学するや自分でラグビー部を作った。内部進学先でも全国的に無名の存在だったが、人を介して立命館大学の練習に参加。周りに自分を活かすようなサインプレーを出してもらうよう頼むなどし、スポーツ推薦を勝ち取った。ハングリー。

15,メイン平(リコー東京)…178・89・2000/9/5

 攻守の切り替えの速さ、タックル、フットワークと、現代ラグビーにおけるユーティリティバックスの必須項目を完全網羅。御所実業高校卒業後にニュージーランドへ武者修行に出て、2020年にリコー(当時名称)入り。

※参考資料

下剋上なるか? 日本代表候補&予備軍が2週間遅れの合宿&大一番へ【ラグビー旬な一問一答】 

コロナ禍で秋シーズンの日程変更…。大学ラグビー開幕前ベスト15【ラグビー雑記帳】※改正あり